25年間で「心臓病+大量飲酒」の人が倍に
アメリカで約4万3000人を対象に25年間追跡した大規模な健康調査(NHANES)の分析結果が、2026年に医学誌『JACC. Advances』に発表されました。その内容は、お酒と心臓・血管の健康について考える私たちにとって、見逃せないものです。
調査によると、心臓や血管に関わる病気(以下、心血管疾患)を持つ人のうち、「大量飲酒」に該当する人の割合が1999〜2000年の17.1%から2021〜2023年には33.4%へと約2倍に増加しました。一方で、心血管疾患を持つ人のなかでお酒を飲まない方や、少量〜適度に飲む方の割合は下がっています。
「大量飲酒」ってどのくらい?
この研究では、飲酒量を次の3つに分類しています。
- 飲まない:週0杯
- 少量〜適度:女性は週7杯以下、男性は週14杯以下
- 大量飲酒:女性は週7杯超、男性は週14杯超
1杯(1ドリンク)はビール中瓶1本程度に相当します。つまり「大量飲酒」とは、女性なら毎日1杯以上、男性なら毎日2杯以上のペースを上回る飲み方を指します。日常的に「もう1杯」を重ねやすい習慣が、気づかぬうちにこの基準を超えているケースは少なくないかもしれません。
特に注目すべきグループとは
全体として心血管疾患と大量飲酒が重なる割合は1.4%から3.0%へと上昇し、年間平均で約3.4%ずつ増加していました。さらに分析を細かく見ると、増加が特に目立ったグループがあります。
- 40〜59歳:2007年以降、増加ペースが加速
- 女性:男性と比較して増加の傾向がより顕著
- 非ヒスパニック系白人
- 収入や学歴が比較的低い層
働き盛りの40〜50代や、女性でこの傾向が強まっているという点は、現代の生活スタイルやストレスのかかり方と無関係ではないかもしれません。
心不全・狭心症・脳卒中との重なりも増加
心血管疾患といっても種類はさまざまです。今回の研究では、疾患の種類別にも分析が行われました。
- 心不全との重なり:年間平均3.8%増加
- 狭心症(胸が締め付けられるような痛みが出る状態)との重なり:年間平均1.7%増加
- 脳卒中との重なり:年間平均5.2%増加と最も急増
脳卒中との重なりが最も急激に増えているという事実は、脳の血管への影響という観点からも、飲み方を見直すきっかけになりそうです。
「飲まない選択」をした人たちの動向
興味深いのは、心血管疾患を持ちながら「お酒を飲まない」という選択をしている人の割合は、この25年間で減少傾向にあったという点です。つまり、病気を抱えていても飲酒を続ける、あるいは飲む量を増やす方向に向かっている人が増えているとも読み取れます。
一方、少量〜適度な飲み方を選んでいる人と心血管疾患の重なりは、ほぼ横ばいで安定していました。
この研究が私たちに教えてくれること
今回の研究はアメリカのデータに基づくものですが、飲酒習慣と心臓・血管の健康の関係は、日本に暮らす私たちにとっても無関係ではありません。毎日の晩酌、週末の深酒、仕事後のリフレッシュとしてのお酒——そのトータルの量が、気づかないうちに積み重なっていることがあります。
「お酒をどう楽しむか」「どう量を整えるか」を自分ごととして考えるうえで、こうした大規模な研究のトレンドは一つの参考になります。毎週の飲む量を可視化してみる、週に数日をノンアルの日として選んでみる——そんな小さな選択の積み重ねが、長い目で見た自分の健康を支えていくことにつながるかもしれません。
本記事は研究紹介であり、医療的助言ではありません。




