12ヶ月間、1700人超のデータが語ること
「食事を気をつけているのに、なかなか体重が落ちない」——そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は、体重の変化には食事や運動だけでなく、お酒との付き合い方も大きく関係しているかもしれません。
2026年に欧州の公衆衛生学術誌『European Journal of Public Health』に掲載された研究は、フィンランドで行われた「ヘルシーウェイト・コーチング」という12ヶ月間のデジタルライフスタイルプログラムをもとに、飲酒習慣・喫煙と体重・腹囲の変化との関係を分析したものです。参加者は1719名(83%が女性、中央値年齢51歳)。全員が肥満に相当するBMIを持つ方々でした。
飲酒量を「整えた人」ほど、体重が落ちやすかった
研究チームはまず、参加者を飲酒パターンによって3つのグループに分けました。
- お酒を飲まない人(禁酒):全体の約21%
- 低リスクの飲み方をしている人:多数派
- リスクの高い飲み方をしている人:約16%(男性は週14ドリンク超または1回6ドリンク超、女性は週7ドリンク超または1回5ドリンク超)
プログラムを通じて参加者全体の飲酒量は減少しましたが、その変化をけん引したのは、もともと「リスクの高い飲み方」をしていたグループでした。
注目すべき結果は2点あります。まず、もともとリスクの高い飲み方をしていた人が飲酒量を減らすほど、体重の減少幅が大きく、腹囲も引き締まる傾向が見られました。1回あたりの飲む量を減らした場合に特にその効果が顕著でした。
一方で、もともとお酒を飲まなかった人が12ヶ月の間に少しずつ飲むようになると、腹囲の減少が小さくなる傾向もわかりました。「飲まない」という選択を続けることが、お腹まわりのサイズ変化にとってプラスに働く可能性を示しています。
喫煙の「積み重ね」も腹囲に影響する
この研究ではお酒だけでなく、喫煙習慣についても調べています。参加者の約12%が現在喫煙者、約22%が過去に喫煙していた元喫煙者でした。
分析の結果、「パック・イヤー」(1日に吸った本数と喫煙年数を掛け合わせた指標)が多いほど、腹囲が縮みにくいことがわかりました。長年にわたる喫煙の積み重ねが、お腹まわりの変化を妨げる方向に働くようです。
これは、現在進行形の喫煙だけでなく、過去の喫煙習慣がボディシェイプに影響し続ける可能性を示唆しており、「やめたから大丈夫」とは単純に言えない複雑さも見えてきます。
「整える」視点でお酒と向き合う
この研究が私たちに伝えてくれるのは、体重や体型を「整える」プロセスにおいて、お酒との付き合い方を見直すことが重要な選択肢のひとつになり得る、ということです。
特に「多めに飲んでいるかも」と感じている方にとっては、飲む量を少しずつ減らしていくだけで、体重や腹囲の変化が加速する可能性があります。極端に「やめなければ」と考えなくても、1回あたりの量を意識して選ぶだけでも、体への影響は異なってくるかもしれません。
また、これまでお酒を飲まなかった方は、その「飲まない選択」がすでにお腹まわりのサポートになっている可能性があります。ノンアルコール飲料や低アルコール飲料を上手に取り入れながら、自分のペースで楽しめるスタイルを探してみるのもいいでしょう。
デジタル介入×ライフスタイル習慣の可能性
今回の研究は、スマートフォンやウェブを通じたデジタルコーチングプログラムの中で行われた点も注目に値します。参加者は毎週体重を自己報告し、3ヶ月ごとに腹囲を計測。オンラインのアンケートで飲酒や喫煙の習慣も記録しました。
研究チームは「デジタルライフスタイル介入において、飲酒と喫煙への働きかけを取り入れることが、体重管理の成果をより高める可能性がある」と結論付けています。
遠隔でのサポートが普及する現代において、「何を食べるか」だけでなく「何を飲むか」も含めた総合的なアプローチが、これからのウェルネスの形になっていくのかもしれません。
自分のライフスタイルを少しずつ整えていくヒントとして、今日の一杯と向き合ってみてはいかがでしょうか。
本記事は研究紹介であり、医療的助言ではありません。




