「ポリフェノール=ワイン」は思い込みだった?

健康志向の高い方なら「ポリフェノール」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。赤ワインやダークチョコレートに豊富に含まれるイメージが強いこの成分ですが、最新の研究が少し違う景色を見せてくれています。

2026年に学術誌『Journal of Human Nutrition and Dietetics』に掲載された研究は、オーストラリア全土の7,735人を対象にした大規模な食事調査を分析したものです。その結果、ポリフェノール摂取の最大の担い手として浮かび上がったのは、アルコールではなくお茶・コーヒー・コーヒー代替飲料といったノンアルコール飲料でした。

そもそもポリフェノールって何?

少しだけ基礎知識をおさらいしておきましょう。ポリフェノールとは、植物が持つ色素や渋み・苦みのもととなる化合物の総称です。自然界には数千種類以上が存在し、フラボノイド、フェノール酸、スチルベン、リグナンなどいくつかのグループに分類されます。緑茶の渋み成分(カテキン)も、コーヒーのクロロゲン酸も、広い意味でポリフェノールの仲間です。

日々の食事を通じてどれくらい摂れているかを国レベルで把握しようという試みは、世界的にまだ数が少なく、オーストラリアでも今回が本格的な全国規模の調査として貴重なデータになっています。

調査の概要:7,000人超の食事記録を分析

研究チームはオーストラリア健康調査(2011〜12年)の一環として実施された「全国栄養・身体活動調査」のデータを活用しました。対象は2歳以上の7,735人で、平均年齢は約41歳。参加者が24時間に食べたものをすべて記録した「食事想起法」を2回分用いて、それぞれの食品に含まれるポリフェノール量を専用のデータベースで算出しています。

結果として算出されたオーストラリア人1日あたりのポリフェノール総摂取量の中央値は約479mg。摂取カロリーの差を調整した場合は1,000kcalあたり約253mgという数値でした。

最も多く摂られていたのは「フラボノイド」

ポリフェノールのグループ別に見ると、フラボノイドが全体の約55〜65%を占めてトップでした。フラボノイドはお茶・りんご・柑橘類・玉ねぎなどに豊富に含まれるグループで、日常的な食卓によく登場する食材たちです。

そして食品グループ別の分析でもっとも注目すべき点は、ポリフェノールの主要供給源が「ノンアルコール飲料」だったこと。その内訳の中心は紅茶・緑茶・コーヒーといった身近な飲み物です。アルコール飲料ではなく、毎朝のコーヒーや午後のお茶タイムが、ポリフェノール摂取を支えているという事実は、ノンアルコールな暮らしを選んでいる人にとってとても心強いニュースではないでしょうか。

お酒をやめてもポリフェノールは十分摂れる

「赤ワインをやめたらポリフェノールが不足するのでは?」と感じている方もいるかもしれません。しかし今回の研究が示すように、ポリフェノールの主役はお茶やコーヒーです。ヨーロッパ、アメリカ、イギリスで行われた同種の調査でも同様の傾向が確認されており、これは一部の国に限った話ではありません。

ノンアルコールの飲み物を日常的に楽しむライフスタイルは、ポリフェノール摂取の観点からも合理的な選択といえそうです。たとえば、こんな飲み物を日々の中に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

  • 緑茶・ほうじ茶・紅茶:カテキンやフラボノイドを豊富に含む定番の選択肢
  • コーヒー:クロロゲン酸などのポリフェノールが多く、今回の調査でも上位にランクイン
  • ハーブティー・ルイボスティー:カフェインが気になる方にも整えやすいノンアル飲料
  • フルーツ・野菜ジュース(無添加):果物や野菜由来のポリフェノールをまとめて補える

「整える」視点で飲み物を選ぶ習慣を

この研究はオーストラリアの食生活に基づくデータですが、お茶やコーヒーが日常に深く根付いている点は日本でも共通します。毎日のコーヒーブレイクや緑茶の時間を、単なる「休憩」ではなく「からだを整える時間」として意識的に楽しむ。そんな小さな視点の転換が、健康的なライフスタイルをより豊かにしてくれるかもしれません。

お酒の量を見直したり、ノンアルコールの選択肢を増やしたりすることは、ポリフェノール摂取においても決してマイナスではありません。むしろ、毎日の飲み物を意識的に選ぶことで、自然にポリフェノールを取り入れる生活が整っていくのです。