「お酒を飲まなくても」脂肪肝になる時代
脂肪肝というと、お酒の飲みすぎによるイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし近年、アルコールをほとんど飲まない人にも広がっているのが「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」です。肝臓に余分な脂肪が蓄積されるこの状態は、放置すると肝炎や肝硬変へ進行するリスクもあり、食習慣との関係が世界中で研究されています。
2026年に英国の権威ある栄養学誌『The British Journal of Nutrition』に掲載された研究では、地中海食への取り組み度合いが高いほど、非アルコール性脂肪肝のリスクが大幅に低下することが示されました。
252人を対象にした研究でわかったこと
この研究はトルコの成人252人(脂肪肝あり126人・なし126人)を対象に行われたケースコントロール研究です。参加者の食事内容を24時間の食事記録で詳しく調べ、地中海食への取り組み度をスコアで評価しました。
結果は非常に明確でした。地中海食への取り組みが低いグループでは64.6%の人が脂肪肝を抱えていた一方、取り組みが高いグループでは30.5%にとどまり、統計的にも有意な差が確認されています。
- 地中海食への取り組みが「中程度」のグループ:年齢・性別・BMI・摂取カロリーなどを考慮した上で、脂肪肝リスクが57%低下
- 地中海食への取り組みが「高い」グループ:さらに持病なども加味した条件下で、脂肪肝リスクが86%低下
これは、食べ方を整えることが肝臓の健康に直結する可能性を示す、非常に示唆に富む数字です。
リスクを高める食品・下げる食品
研究ではさらに踏み込んで、特定の食品と脂肪肝リスクの関係も分析されています。
リスクを高める食習慣
- バター・マーガリン・生クリームを頻繁に使う:脂肪肝リスクが約2.75倍に上昇。飽和脂肪酸の過剰摂取が肝臓への負担を増やすと考えられています。
- 砂糖入り飲料を日常的に飲む:リスクが約2.87倍に。甘いジュースやソーダなどが肝臓に脂肪を蓄積させやすくする可能性が示されています。
リスクを下げる食習慣
- ナッツ類を週3回以上食べる:脂肪肝リスクが約54%低下。くるみやアーモンドなどに含まれる良質な脂肪や抗酸化成分が、肝臓を守るのに役立つと考えられます。
- 果物の量をほどよく整える:1日3皿分未満(食べすぎない範囲で)果物を取り入れているグループでリスクが低下。果糖の摂りすぎには注意が必要であることも示唆されています。
地中海食って、どんな食べ方?
地中海食とは、オリーブオイルを中心に、野菜・豆類・全粒穀物・魚・ナッツ・果物を豊富に取り入れ、赤身肉や加工食品を控えるシンプルな食スタイルです。特別な食材を揃える必要はなく、日々の食事の「選び方」を少しずつ整えていくだけで実践できます。
たとえば、おやつをスナック菓子からひとつかみのナッツに置き換える、砂糖入りドリンクを水や無糖のお茶に切り替える、炒め物にバターではなくオリーブオイルを使う——こうした小さな選択の積み重ねが、長い目で見て肝臓の健康を支えることにつながるかもしれません。
お酒を飲まない選択と、食べ方を整える選択
ノンアルコールや節酒を選んでいる方にとって、この研究は特に心強いメッセージを持っています。アルコールを減らすだけでなく、砂糖入り飲料や飽和脂肪酸を含む食品にも目を向けながら、地中海食のエッセンスを日常に取り入れること。それが肝臓をはじめとした全身の健康を整える、もうひとつの選択肢になります。
食事を「制限する」のではなく、「何を楽しんで選ぶか」という視点で考えると、毎日の食卓が少し豊かに感じられるかもしれません。ナッツをつまみながら、お気に入りのノンアルドリンクを楽しむ。そんな小さなシフトから始めてみてはいかがでしょうか。




