「なんで自分、こんなに夜が使えるんだろう」と思った夜
去年の秋ごろ、深夜12時を回っても頭がはっきり動いていた。副業でやっているWebライターの原稿を書きながら、ふと手が止まった。ぶっちゃけ、怖かった。「普通の夜ってこんなに頭が回るものじゃないよな」と。
自分はALDH2低活性型、いわゆるアセトアルデヒドをうまく分解できない体質だ。ビール半缶で顔が真っ赤になるし、頭がズキズキする。飲み会でノンアルを頼むのは「選んでいる」というよりも「最初からそれしかない」感覚に近い。だから断酒とか節酒とか、そういう話とは少し角度が違う。
ただ、その夜に気づいたのは、自分が「集中できている」のではなく、「集中を阻む何かが最初から存在していない」という事実だった。これはけっこう大きな発見だった。
「集中力を上げる」より「集中を削る要因がない」が正確
アルコールが脳にかけるブレーキの話
自分はお酒を飲まないので、アルコールの影響を「比較」で体感したことがない。ただ、周囲の話や自分なりに調べた情報をつなぎ合わせると、アルコールは摂取後に脳の前頭前皮質の働きに影響を与え、判断力や集中力の質を下げることがある、というのは広く知られている話だ。
自分がマジで驚いたのは、それが「飲んだ当日の夜だけ」の話ではないという点だ。週に何度か飲む習慣がある場合、睡眠の質への影響が翌日以降にも続くことがあると、複数の睡眠研究で報告されている。正直、この話を聞いたとき「ああ、自分の夜が使えるのはそういうことか」と点と点がつながった。
夜9時から12時の「3時間」の価値が違う
自分の場合、仕事終わりの夜9時を境に、完全に「自分の時間」に切り替わる。ノンアルクラフトビールを冷蔵庫から出して、デスクに座る。そこからの3時間は、頭のモードがほぼ変わらない。昼間に打ち合わせで使っていた判断力と、夜に原稿を書くときの判断力が、体感としてほぼ同じ温度感にある。
これを「集中力が高い」と表現するのは、少し違う気がする。むしろ「集中力のベースラインが削られていない」という状態だ。筋トレで言えば、毎日ちゃんと回復できているから、翌日また同じ負荷をかけられる、みたいなイメージ。
体験として変わったのは「量」ではなく「密度」だった
副業の作業時間は増えていないのに、アウトプットが変わった
昨年1年間を振り返ると、副業に使った時間そのものは大きく増えていない。週に10〜15時間くらいのペースは変わっていない。でも、同じ時間でできる仕事の量と質が、明らかに変化している感覚がある。
原稿1本を書くのにかかる時間が、1年前より短くなった。しかも、書き上げたあとの見直し回数が減った。これは「慣れ」もあると思う。でも、それだけじゃないとも感じている。夜に作業するとき、頭が「今から集中モードに入ります」という切り替えコストをほとんど払っていない。座ったら、もうそこにいる。
「翌朝のコスト」がゼロに近い
友人から聞く話で一番多いのが「昨日飲んだから午前中がぼんやりした」というやつだ。自分にはその感覚がない。翌朝7時に目が覚めたとき、頭の中のノイズがほぼゼロの状態でスタートできる。
これは地味に見えて、積み重なるとデカい。1日あたり午前中の2時間を「ぼんやりタイム」に使うかどうかは、1週間で10時間の差になる。1か月で40時間。1年で480時間。数字で見るとちょっとしびれる。自分はその480時間を最初から手放していない、ということになる。
ノンアル生活が「集中の地金」になるまでのステップ
振り返ると、自分の集中力が「使える状態」になったのは、一夜にして起きた変化じゃない。いくつかのフェーズがあった。
- 夜のルーティンが固まった:ノンアルを飲みながら作業するパターンが定着し、「飲む=仕事モード」という脳内の紐づけができた。
- 睡眠の質が安定した:毎朝同じ時間に同じコンディションで起きられるようになり、午前中の思考がぶれにくくなった。
- 翌日へのキャリーオーバーが消えた:「昨日の疲れ」を翌日に持ち込まない状態が習慣化し、毎日フラットなベースラインで動けるようになった。
このステップは、意識してやったわけじゃない。飲めない体質だから、自然にそうなっていた。だから「飲まない選択をしている人がうらやましい」とは思わない。自分は最初からそのレールの上にいた。ただ、そのレールがどこに向かっていたか、気づくのが遅かっただけだ。
「体質の制約」が「生産性のアドバンテージ」に反転する話
ALDH2低活性型であることは、飲み会のたびにちょっとしたコンプレックスだった時期がある。20代前半、「なんで自分だけ飲めないんだろう」と思っていた。でも今は、正直それが資産だと思っている。
集中力は「鍛えるもの」というイメージが強い。でも自分の経験から言うと、それと同じくらい「削られないようにするもの」でもある。毎日コンディションのベースラインが一定に保たれていると、積み上げたものが崩れにくい。スキルも、副業の収益も、学習の進捗も。
飲めない体質だからノンアル一択、という話が、気づけば「集中の地金を持っている」という話になっていた。これがマジで今の自分の実感だ。体質を選べなかったけど、その体質が連れてきてくれたものは、かなり大きかった。
ノンアルのクラフトビールを片手に、今夜も原稿を書く。それだけでいい。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。体質や健康状態に関するご不安は医療専門家にご相談ください。

