自分がお酒を飲まない理由は、体質だ

ビール半缶で顔が真っ赤になる。ALDH2低活性型——つまりアセトアルデヒドをうまく分解できない体質で、飲み会のたびに「飲まなくていい人」として自然とノンアル一択に落ち着いた。後悔はゼロ。むしろラッキーだとすら思っている。

そのかわり、ずっと気になっていたことがある。飲まないことで浮いたコスト——飲み会の割り勘差額、缶ビール代、宅飲みセット代——をどこへ向けるか、という問いだ。「将来の健康に使う」とはなんとなく言えるけど、具体的に何をどの順番でやるかが、正直ぼんやりしていた。

だから今回は、自分なりに「予防にお金を先にかける派」と「症状が出てから動く派」、この2つのアプローチを整理してみることにした。どちらが正解か決めつけるつもりはない。ただ、比べてみると見えてくるものが確実にある。

アプローチA:症状が出てから動く「後払い型」

体が声を上げてから動くスタイル

「まだ若いから大丈夫」「痛くなってから考える」——これが後払い型の基本的な考え方だ。病院に行くのは症状が出てから。健診は会社の義務だから受けるけど、結果をじっくり読み込むことはしない。検査費用も、かかったときに払えばいい、というスタンス。

このアプローチの最大の利点は、今すぐ出費が発生しないことだ。20代の手取りが厳しいなかで、「今は元気だから」と後回しにしたくなる気持ちは、正直わかる。目に見えない将来より、今週末の体験に使いたいと思うのは普通の感覚だと思う。

ただ、後払いにはコストの非対称性がある

ここがポイントで、後払い型は「小さい問題を大きくしてから払う」構造になりやすい。たとえば歯科治療。初期の虫歯を早期に処置するのと、神経まで進んでからの根管治療では、費用も時間も大きく変わってくる。腸活や睡眠の質も、後から崩れた状態を立て直すコストは、最初から維持するコストより重くなることが多い。

症状が出てから動くのは確かに「現実的」に見えるけど、後払いが必ずしも「安く済む」とは限らない——これが自分の率直な感想だ。

アプローチB:元気なうちに手を打つ「先行投資型」

予防にかけるお金の種類を整理する

先行投資型とひとくちに言っても、中身はいくつかに分かれる。自分なりに整理すると、こんな感じだ。

  • 検査・スクリーニング系:人間ドック、血液検査オプション、腸内フローラ検査など。現状把握が目的。
  • 日常習慣系:良質な睡眠環境(枕・マットレス)、歩数を増やすためのデバイス、食事の質を上げる食材選び。継続コストが発生するタイプ。
  • 知識・リテラシー系:予防医療や栄養に関する書籍、オンライン講座。一度インプットすれば長く使える。

この3つは性質がまったく違う。一時的な出費で終わるものと、毎月コストがかかるものと、初期投資だけで資産化されるものが混在している。だから「先行投資型」といっても、何にどれだけかけるかはかなり個人差が出る。

向き不向きがはっきりしている

先行投資型が特に効くのは、「自分の体の現在地を知りたい人」だと思う。マジで、データがあると動き方が変わる。たとえば血液検査で鉄分が低めと出てれば、食事を見直す理由が具体的になる。何もないまま「なんとなく健康的に」と言うより、数字があるほうが行動しやすい。

逆に、検査結果が気になりすぎて不安が増してしまう人には、必ずしも向いているとは言えない。先行投資は「安心を買う」面もあるけど、情報量が増えるほど悩みが増えるタイプの人には、少し慎重な選択が必要かもしれない。

自分が「先行投資を選ぶ」と決めた理由

飲まない体質が、先行投資に向いていた

ぶっちゃけ、自分が先行投資型を選んだのは「体質的にお酒のリスクを避けてきた延長線上」という感覚が大きい。ALDH2低活性型で飲まない選択をしたのも、ある意味で体へのダメージを最小化する先行判断だった。だとすれば、他の部分でも「崩れる前に手を打つ」発想は自分に合っていると思った。

具体的に自分がやったのは、まず年に一度の血液検査オプションを追加したこと。それと、睡眠トラッカーを導入してスコアを記録し始めたこと。どちらも大きな出費ではなく、ノンアルクラフトビールを毎週買うのと同じくらいの感覚で始められた。

「今すぐリターンが見えない」をどう乗り越えるか

先行投資の難しさは、効果が見えにくいことだ。予防がうまくいくと「何も起きない」という結果が出るだけで、達成感が薄い。これは正直、モチベ維持のうえでネックになる。

自分が意識したのは、「リターンをデータで追う」こと。睡眠スコアが改善されたとか、血糖値の変動が落ち着いてきたとか、数値で変化を確認できると「投資した感」が生まれやすい。リターンを体感するには、記録が必要——これはお金の話と同じ構造だなと気づいてから、少し面白くなってきた。

2つのアプローチ、向き不向きをまとめると

最終的に、どちらが正解かは人による。ただ、自分なりに向き不向きを整理するとこうなる。

  • 後払い型が合う人:今のキャッシュフローが厳しい、データより感覚で動くほうがストレスが少ない、健康状態に大きな不安がない。
  • 先行投資型が合う人:数値や記録で行動を動かしたい、将来の医療費リスクを早めに減らしたい、飲まないことで可処分所得に少し余裕がある。

自分は明らかに後者だ。飲まない選択で得た余白——お金も、思考リソースも——を、体への先行投資に向けるのは、体質的にも性格的にも筋が通っている気がしている。

「健康に投資する」という言葉は、なんとなく意識高い系っぽく聞こえることもある。でも自分にとっては、飲めない体質で飲み代を払わずに済んできた分を、自分の未来の体に返す感覚に近い。特別なことでも、我慢でもなく、ただのお金の行き先の選択だ。

どのアプローチを選ぶにしても、「知らないうちに使っていた」より「意図して使った」ほうが、絶対に後から納得できる。それだけは確かだと思う。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。健康状態や医療に関するご判断は、必ず医師・医療専門家にご相談ください。