健診票に「血圧:要指導」が並んだあの日

昨年の春、私が節酒を始めたきっかけはγ-GTPでした。基準値の2倍を超えていて、医師からはっきりと「減らしてください」と言われた。それ自体は以前の記事でも触れてきたことです。

ただ、健診票をあらためて見直してみると、もう一つ気になる数値がありました。収縮期血圧(上の血圧)が135mmHg前後をうろついていたのです。「正常高値」と呼ばれる領域——つまり高血圧の一歩手前。その欄にも薄く「要注意」の印が入っていました。

以前は「血圧はまあ、年齢のせいだろう」と流していました。でも節酒を続けて約1年が経った今、同じ項目を見ると125mmHg前後まで落ちています。体重が少し減ったことも関係しているでしょうが、飲み方を整えたことは確実に関係していると感じています。今回はそのあたりを、私なりに数値と体感で整理してみたいと思います。

アルコールと血圧——何が起きているのか

「少量なら下がる」は本当か

お酒を飲んだ直後、血管が拡張して一時的に血圧が下がることがあります。「飲んだほうがむしろ血圧に良い」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。私も以前はそれを半分信じていました。

ただ、これは短期的・急性の話です。継続的に飲み続けると、交感神経の活性化やホルモン系への影響などを通じて、慢性的に血圧を押し上げる方向に働くことが知られています。WHO のファクトシートでも、アルコールは高血圧の主要なリスク因子の一つとして挙げられています。

私の場合、毎晩350mlの缶ビールを2〜3本飲んでいた頃は、翌朝の血圧が高めになることが多かった。当時は「夜更かしのせいかな」と思っていましたが、今振り返ると飲酒量と連動していたように思います。

「量」と「頻度」どちらが血圧に効くか

節酒を始めて最初に試したのは「1日の量を半分にする」こと。それだけでも体感は変わりました。翌朝の頭の重さが減り、朝イチで測る血圧の数値が少しずつ落ち着いてきたのです。

次に取り入れたのが週3日の休肝日です。連続して飲まない日を作ることで、肝臓だけでなく血管への負荷も抜ける感覚がありました。量を減らすことと、飲まない日を設けること——この二つが組み合わさったとき、数値の変化が目に見えて現れてきた印象があります。

  • 飲酒日:1日2杯まで(350ml缶換算)
  • 休肝日:週3日(連続2日以上を意識)
  • 測定タイミング:毎朝起床後、座って1〜2分安静にしてから計測

この運用に切り替えて3か月ほど経った頃、家庭用血圧計の平均が130mmHgを下回り始めました。もちろん塩分管理や軽い散歩も並行していましたが、「飲み方を整える」ことが起点にあったのは間違いないと感じています。

血圧を「記録する」ことで節酒が続く

数値は「結果」であり「モチベーション」になる

私が節酒を続けられている理由の一つは、数値を記録していることです。γ-GTPの変化は3か月に一度の採血でしかわかりませんが、血圧は毎朝確認できる。「昨日は飲まなかった→今朝の血圧が落ち着いていた」という小さな因果関係が、日々の行動と結びついていきます。

以前は「飲むか飲まないか」を気分や疲れだけで決めていました。でも血圧の記録をつけてみると、連休明けに飲み続けた翌朝は数値が跳ね上がっていることに気がつく。そうすると「今日は飲まない日にしよう」という判断が、感情ではなくデータから自然に出てくるようになりました。

記録のコツ——シンプルに続けるために

私が使っているのは、市販の上腕式血圧計と、スマートフォンのメモアプリです。測定値・飲酒の有無・飲んだ量をひと行で書くだけ。凝ったことは何もしていません。

  1. 毎朝同じ時間・同じ条件で測る(起床後5〜10分、座位で安静にしてから)
  2. 測定値と前夜の飲酒量を並べて記録する
  3. 週末に1週間の平均を眺めて、飲み方との傾向を確認する

この習慣をつけてからは、「なんとなく飲む」が減りました。飲む日はちゃんと楽しむ。飲まない日は翌朝の数値を楽しみにする。そういう切り替えが自然にできるようになってきたと感じています。

脂肪肝・γ-GTPとの「三角関係」を整理する

血圧の話をしていると、γ-GTPや脂肪肝とも切り離せないことに気がつきます。アルコールを継続的に摂取すると、肝臓での脂肪代謝が乱れ、脂肪肝が進行しやすくなります。脂肪肝はインスリン抵抗性を高め、それが血圧の上昇にも関係するとされています。

私の場合、γ-GTPが改善し始めた時期と、血圧が落ち着いてきた時期がほぼ重なっていました。体のいろいろな数値は、バラバラに動いているわけではなく、飲み方という一つの行動を通じてつながっているのだと、今は実感しています。

「血圧を整えたい」「γ-GTPを下げたい」「脂肪肝を改善したい」——これらは別々の目標のように見えますが、「飲み方を整える」という一つのアクションで、同時に向き合える可能性があります。それが、私が節酒を「整える」という言葉で語り続けている理由です。

整えることは、楽しみを手放すことじゃない

節酒を始める前、私は「量を減らしたら楽しみが減る」と思っていました。でも1年経った今、その感覚は完全に変わっています。

飲む日は本当においしいと思うものを選ぶようになりました。以前は惰性で缶ビールを開けていましたが、今は「今夜は何を飲もうか」と少し考える。そうすると、1杯の満足度が明らかに上がっています。翌朝の数値が落ち着いていると、気持ちよく1日をスタートできる。そのサイクルが心地いいのです。

数値を味方につけながら、飲み方を少しずつ整えていく。それは何かを我慢するというより、自分にとって気持ちいい選択を増やしていく作業だと、今の私は感じています。健診票の数字が少しずつ動いていくのを眺めながら、今日も休肝日を一つ積み上げるつもりです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。血圧や肝機能の数値が気になる方は、必ず医療機関にご相談ください。