飲み会が「敵」に見えていた、節酒初期の私

健康診断の結果票を持って診察室に入ったとき、医師からはっきりこう言われました。「γ-GTPが基準値の2倍を超えています。飲酒量を減らしてください」。その一言で、以前は当たり前だった週5日の晩酌を見直すことになりました。

ところが、食事制限や運動よりもずっと難しく感じたのが、飲み会への対応でした。断れば気まずい。出席すれば飲み過ぎてしまう。当初の私にとって、飲み会は「節酒の大敵」という位置づけでした。

しかし節酒1年目を経て、考え方が変わりました。飲み会そのものは問題ではなく、飲み会の中での「立ち回り方」に課題があったのだと気づいたのです。今では週3日の飲まない日と1日2杯までというルールを維持したまま、飲み会にも普通に参加できています。

その試行錯誤の中で固まった実践項目を、今回は10項目のチェックリストとしてまとめました。場の空気を壊さず、自分のペースも守る。その両立のための手順です。

【前日・当日の準備】チェック項目①〜④

①その日を「飲む日」のカウントに入れて週全体を設計する

私が最初に覚えたのは、飲み会の日を単独で見ないということです。週単位で「飲む日・飲まない日」を前もって配置し、飲み会の日が自然に「飲む日」の枠に収まるよう調整します。以前は「今週は飲み会があったから仕方ない」と事後に言い訳していましたが、事前に週全体を設計するようにしてから、週の総量が格段に安定しました。

②参加前に必ず食事を取っておく

空腹で席に着くと、最初の1杯が異常に早く飲み干されます。これは私自身のログを振り返っても明らかで、食事なしで参加した日はほぼ例外なく2杯の上限に達するペースが速くなっていました。飲み会の1〜2時間前に、炭水化物と少量のたんぱく質を組み合わせた軽食を済ませておくと、最初のグラスを手に取るタイミングも、飲む速度も変わります。

③「今夜は2杯まで」と声に出して決めてから出かける

これは少々恥ずかしいのですが、自宅を出る前に鏡に向かって「2杯まで」と一言つぶやく習慣をつけました。声に出すと、脳の中で「今夜の上限」が明確になる感覚があります。心の中で決めるだけでは、場の雰囲気に流されたときにあっさり忘れてしまうものです。

④大きめの水のボトルを持参する

会場や状況によっては難しいこともありますが、可能な場合はバッグに500mlのペットボトルを入れておきます。席でアルコールを飲む合間に水を口にする習慣があると、グラスが空になる速度が自然に落ちます。「何か飲んでいる状態」を保つことで、つぎ足しを促す空気も発生しにくくなります。

【乾杯〜中盤の立ち回り】チェック項目⑤〜⑦

⑤乾杯の1杯目は「小さく注いでもらう」よう一言添える

ビールジョッキを満杯にされると、それだけで1杯分のカウントが一気に進みます。幹事や隣の人に「少なめでお願いします、今日は胃の調子が」と事前に伝えるだけで、注がれる量がかなり変わります。理由は何でも構いません。角が立たない表現を一つ手元に持っておくと便利です。

⑥グラスを「常に空にしない」ことを意識する

以前は気づいたらグラスが空になっていて、そこにすかさず注がれる、というパターンを繰り返していました。今は意識的にグラスに少し残した状態を維持するようにしています。「まだあるので」と言えるだけで、注がれるタイミングを大幅にコントロールできます。これは飲む量よりも「注がれる量」を管理する発想の転換です。

⑦2杯目を頼むタイミングを「料理の節目」に合わせる

料理が変わるタイミング、つまりコース料理であれば次の皿が来たときや、居酒屋であれば追加注文のタイミングに合わせて2杯目を頼むようにしています。時間の流れに任せると気づかぬうちに3杯、4杯と進んでしまいますが、「料理の節目」という外部の基準を使うことで、自分の中に一定のリズムが生まれます。

【終盤・帰宅後の確認】チェック項目⑧〜⑩

⑧「お開き前の1時間」は追加注文しない

飲み会の終盤、場が盛り上がってくるタイミングは最もペースが乱れやすい時間帯です。私はスマートフォンで帰りの電車の時間を確認するふりをしながら、同時に「あと1時間を切ったら追加しない」というルールを自分に課しています。締めのドリンクを断るのが難しければ、ノンアルコールの炭酸飲料に切り替えます。炭酸が入ったグラスを持っていれば、見た目の違和感もありません。

⑨帰宅後に飲んだ量を必ずログに記録する

記録は翌朝ではなく、帰宅した当日の夜に行います。翌朝になると記憶が薄れ、実際より少なく記録してしまう傾向が自分にはあります。スマートフォンのメモアプリに「日付・飲んだもの・グラス数」を3行で残すだけです。このログが翌週の設計に直結しており、飲み会のある週とない週での総量の差を客観的に確認できます。

⑩翌日の朝の体感を「採点」して次回に活かす

私が節酒を継続できている最大の理由は、翌朝の体感の変化に気づいたことです。2杯以内に収めた翌朝と、以前のように3〜4杯飲んだ翌朝では、頭のすっきり感と血圧の値が明確に違います。飲み会の翌朝に、10点満点で体感を採点してメモしておくと、「あの立ち回りはうまくいった」という手応えが記録として残ります。データが積み重なると、次の飲み会への自信につながります。

「節酒している」と言わなくていい

この10項目を実践していると気づくことがあります。それは、どれも「節酒しています」と宣言する必要がないということです。食事を先に取る、グラスを空にしない、料理の節目に頼む——これらはいずれも、場の雰囲気を変えず、説明なしで自然に実行できる行動です。

以前の私は節酒を「何かを我慢すること」と捉えていましたが、今はむしろ「飲み会を賢く楽しむための設計」だと感じています。γ-GTPの数値は節酒を始めて半年で基準値内に戻り、医師から「このペースを続けてください」と言われました。その手応えが、飲み会のたびにこのチェックリストを開く動機になっています。

飲み会は減らさなくていい。飲み方を設計するだけで、場も数値も両方手に入ります。

※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。健康上の懸念がある方は、医師や専門家にご相談ください。