結論。「飲んではいけない」の根拠は、場面ごとにまったく違います

結論から書きます。ノンアルコールを飲んではいけない理由は一つではなく、場面ごとに根拠の出どころが違います。運転前は法律、妊娠中は国の公的ガイドライン、服薬中は製品の説明書、断酒中はまだ研究が割れている段階です。ところが検索して出てくる記事の多くは、この4つを同じ強さで並べてしまっています。私が気になっているのはそこで、強さの違いを潰してしまうと、本当に守るべき線までぼやけてしまうと思うのです。以下、根拠の強い順に並べ直します。

そもそもノンアルコール表示は、飲みものだけの話ではありません

今月、ノンアルコールをうたうマウスウォッシュが発売から1年で累計出荷130万個を突破する見込みだと発表されました(出典)。当たり前ですがマウスウォッシュは飲むものではありません。それでも「ノンアルコール」と書かれています。

つまりこの表示は「安心して飲めます」という意味ではなく、「エタノールを主役にしていません」という意味なんですね。子どもがいると、棚に並ぶ横文字の表示をひとつずつ確認する場面が増えました。表示が示している範囲を取り違えないことが、いちばん最初の一歩だと思っています。

要点: ノンアルコール表示は用途の保証ではなく、成分の話です。

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法律ではっきり線が引かれているのは、運転前だけです

4つの場面のうち、法律で数字が決まっているのは運転だけです。ここがいちばん根拠が強く、そして唯一「自分の感覚で判断してはいけない」場面でもあります。

基準は呼気1リットルあたり0.15ミリグラム

酒気帯び運転の基準は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上と定められており、これを下回っていても酒気を帯びた状態での運転は禁止されています(警察庁)。つまり「少しなら大丈夫」という余白は制度上ありません。

0.00%と0.5%未満は別物です

酒税法上、酒類はアルコール分1度以上の飲料と定義されています(国税庁)。1度未満なら酒類ではないので、日本では0.5%の飲料も法律上は酒ではありません。海外では0.5%未満を non-alcoholic と呼ぶ国もあり、輸入品の棚には0.00%ではない商品が普通に並んでいます。表示の読み分けは0.00%と0.5%表記の違いを法律から整理した記事と、缶の裏の3か所を見る手順にまとめてあります。

0.00% … 運転前に選ぶならここ0.5%未満 … 海外の「ノンアル」に多い1度未満 … 酒税法では酒類ではない※バーの長さはアルコール分の大小のイメージです

図: 「ノンアルコール」と呼ばれる範囲は一段階ではありません

要点: 運転前に選ぶなら、表示が0.00%かどうかだけを見てください。

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妊娠中は、量の話を国がしていません

妊娠中については、厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が、少量でも、妊娠のどの時期でも影響を及ぼす可能性があるとして、完全にやめるよう求めています(厚生労働省)。胎児性アルコール・スペクトラム障害には治療法がなく、唯一の対処が妊娠中に飲まないことだという説明もあります(e-ヘルスネット)。

ここで大事なのは、国が「少なければいい」という書き方をしていない点です。だからこそ、0.00%ではない商品をこの時期に選ぶ理由は見当たりません。私は授乳期にノンアルへ移りましたが、選ぶ基準は味より先に表示でした。

要点: 妊娠中は量の議論ではなく、0.00%以外を選ばないという線引きです。

断酒中と服薬中は、断定できるほどの材料がありません

断酒中は、むしろ減ったという国内の試験があります

断酒中のノンアルは「引き金になるから危ない」と書かれがちです。けれど筑波大学の研究グループは、過剰飲酒の傾向がある働く世代にノンアルコール飲料を無料で提供する無作為化比較試験で、提供を受けた群の飲酒量が減り、メンタルヘルスや慢性的な疲労感といった主観的な健康指標の悪化が抑えられたと報告しています(筑波大学)。

一律に禁止できるほどの根拠は、少なくとも今はありません。飲みたい気持ちが強くなる人がいるのも事実なので、ここは他人の結論ではなく自分の反応で決める場面だと思います。

服薬中は、自分で調べるより聞いたほうが早いです

薬とアルコールの関係は薬ごとに違い、判断材料は製品ごとの説明書です。ノンアル飲料に微量のアルコールが含まれる場合もあるので、服薬中は自己判断で線を引かず、処方した医師か薬剤師に確認してください。ここだけは、記事で一般化しないほうが安全です。

要点: 断定できない場面では、禁止か許可かではなく確認先を持つことが答えになります。

今日からできること

  • 運転する日は、表示が0.00%の商品だけを選ぶ
  • 輸入品は度数表示の位置が違うので、棚で裏面まで見る
  • 妊娠中・授乳中は、味の好みより先に表示を確認する
  • 服薬中は、飲む前に処方元へ聞く

4つの場面を同じ強さで怖がる必要はありませんが、根拠が法律にある場面だけは自分の感覚を挟まないこと。今夜買う一本の裏面を、まず見てみてください。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。