「飲めない自分」が気づいた、お金の"分散"という発想
自分はALDH2低活性型——いわゆるアジア人に多い、アルコールをうまく代謝できない体質だ。ビール半缶で顔が真っ赤になるので、学生のころからずっとノンアル一択。飲み会でもノンアルビールやソーダを頼むのが当たり前で、「飲まない選択」をしているというより、「最初からそっちしかない」という感覚で生きてきた。
だから正直、「お酒代を投資に回す」という話を聞いたとき、最初は「自分には関係ない話かな」と思っていた。でもよく考えてみると、飲み会のたびに周りが3,000〜5,000円払っている中、自分は割り勘でも圧倒的に使っていない。その差額、年単位で積み上げると……けっこうな額になる。
で、気づいたのだ。「お金が浮いている」という事実はあるのに、それをどこに使うか、ちゃんと考えていなかった、と。なんとなくサブスクに消えて、なんとなく外食に消えて。もったいない。
そこから自分が取り入れたのが、「ポートフォリオ思考」でお金を配分するという習慣だ。投資の世界では「一点集中ではなく分散する」が鉄則とされているけど、これって人生のお金の使い方にもそのまま使えると思っている。
自分が組んだ「3つのバケツ」
やったことはシンプルで、毎月の"ノンアル分"の浮きを3つのバケツに振り分けることにした。それぞれ「スキルバケツ」「体験バケツ」「金融バケツ」と名付けている。
バケツ①:スキルバケツ(月3,000〜4,000円)
ここに入れるのは、直接スキルアップにつながる出費。今は英語の発音トレーニングアプリと、デザインツールの有料プランに課金している。月3,500円くらい。マジでこれだけ?と思うかもしれないけど、毎日使うサービスへの投資は、コスパ換算すると破壊的に安い。
以前はサブスクをなんとなく積み上げていたが、今は「スキルに直結するか?」を基準に精査している。動画配信サービスは一時解約した。その分、手を動かす学習系に絞ったら、3ヶ月でポートフォリオに載せられる成果物が増えた。
バケツ②:体験バケツ(月2,000〜3,000円)
自分にとっての「体験」は、記憶と話せる引き出しになる。展示会の前売り券、新しいカフェのクラフトノンアルドリンク体験、一人旅の交通費積み立て——こういうものに使う枠だ。
ぶっちゃけ、飲み会で5,000円払って翌朝記憶がぼんやりしているより、2,500円の現代アート展に行って3年後も話せる体験を持っている方が、自分には価値がある。これはノンアル体質だからこそ自然に辿り着いた結論かもしれない。
バケツ③:金融バケツ(月5,000〜8,000円)
NISAのつみたて枠に毎月定額で入れているのがここ。正直、金額だけ見るとそんなに多くない。でも大事なのは「継続の確度」だと思っていて、無理のない額を仕組みで動かすことに意味がある。
飲み会がない週末は外食費も下がるので、余剰分をここに追加入金することもある。月によってバラつきはあるが、年間トータルで見ると着実に積み上がっているのが嬉しい。
ポートフォリオ思考を持つと「選択の質」が変わる
この3バケツ方式を始めてから一番変わったのは、お金を使う前に「どのバケツか?」と一瞬考える癖がついたことだ。これが思っていた以上に効いている。
衝動買いが減った。「なんとなく課金」が減った。逆に、明確に「スキルバケツから出す価値がある」と判断したときは迷わず課金できるようになった。お金の出口を意識するだけで、入口の使い方も整ってくる感じがある。
投資の世界でよく言われる「アセットアロケーション」——資産配分の割合を決めておくこと——は、実はライフスタイル全体に応用できる考え方だと思う。金融庁のNISA・資産形成の基礎資料でも、長期・分散・積立の重要性は繰り返し強調されている。お金の「分散」は、金融商品だけの話じゃない。
20代のうちにやっておきたい「3種の複利」
自分が今意識しているのは、3種類の複利だ。
①お金の複利(金融資産)
これは言わずもがな。NISAで積み立てた資産が運用益を生み、その益がさらに運用される。時間が武器になる20代のうちに始めておくことに意味がある。
②スキルの複利(人的資本)
身につけたスキルは、次のスキルを学ぶコストを下げる。デザインの基礎を学んだら、次のUI/UX学習がスムーズになった。英語の発音が整ったら、リスニング精度が上がった。学習は積み上がる。
③体験の複利(社会資本・話せる引き出し)
これが意外と重要で、体験の積み重ねは「会話の引き出し」になる。仕事でもプライベートでも、「あのとき行ったあの展示で…」と話せるエピソードは、人との接点を作る。記憶に残る体験はじわじわ効いてくる。
3つの複利を同時に動かしておくと、お金・スキル・人間関係がゆっくり育っていく感覚がある。飲めない体質だからこそ、飲み会という「一時的な消費」に振り切られなかったのが、自分にとっては結果的にラッキーだったかもしれない。
「ノンアル代」を起点に、ポートフォリオを見直してみる
ノンアル生活をしていると、飲み会での出費が周りより少ない分、気づかないうちに手元に余白が生まれていることがある。でもその余白、なんとなく使っていたらもったいない。
大きな金額じゃなくていい。月5,000円でも1万円でも、「スキル・体験・金融」の3バケツに分けて意識するだけで、お金の動きが見えやすくなる。ポートフォリオ思考は、証券口座の中だけの話じゃない。自分の人生のお金をどう配分するか、という設計の話だ。
最初からノンアル一択の自分にとって、この発想は「飲まない選択」から自然に生まれた。でもきっと、どんな立場の人にも使える考え方だと思う。今月の「浮き」、3つのバケツで整理してみてほしい。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。資産運用には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任と判断のもとで行ってください。


