Q. 「2杯まで」と決めているのに、なぜか翌朝がスッキリしない?

医師から減酒指導を受けたとき、私が最初に設定したルールは「1日2杯まで」でした。以前は毎晩ビールを3〜4本、週末は焼酎をロックで何杯も、という飲み方をしていたので、「2杯」という数字だけ聞けば相当な節制に思えました。

ところが、実際に運用し始めてしばらくしても、翌朝の頭の重さがなかなか取れない。γ-GTPの数値も思ったほど下がらない。「ちゃんと守っているのに、なぜだろう」とログを見返してみると、問題はすぐに見つかりました。

「1杯」の中身が、毎回バラバラだったのです。

居酒屋のジョッキビール(500ml・5度)と、自宅の缶ビール(350ml・5度)は、同じ"1杯"という数え方をしていても、含まれるアルコールの量がまったく違います。焼酎のロックに至っては、注ぎ方次第で1杯のアルコール量が2倍以上にも変わります。「杯数」を管理することと、「アルコール量」を管理することは、別の話だったのです。

Q. 「アルコール量」って、どうやって計算するの?

純アルコール量という考え方

飲み物に含まれる純アルコールの量は、「飲料量(ml)× アルコール度数(%/100)× 0.8(アルコールの比重)」という式で求められます。以前はこんな計算をしたことも、しようと思ったこともありませんでした。しかし、医師から「1日の純アルコール量を意識してください」と言われたのをきっかけに、手帳の隅でざっくりと試算するようになりました。

たとえば、缶ビール350ml・5度なら、350 × 0.05 × 0.8 = 約14g。500mlのジョッキなら約20g。焼酎25度を100ml飲めば約20g。こうして並べてみると、「350ml缶2本」と「焼酎ロック2杯(各100ml)」では純アルコール量が同じになることもあれば、グラスの注ぎ方次第で2倍近くの差が出ることもわかりました。

「杯数」より「グラムで考える」習慣

この計算を覚えてから、私は「2杯まで」という杯数管理を「1日あたりの純アルコール量を一定の範囲に収める」という発想に切り替えました。具体的な目標値は医師と相談して決めたものですが、大切なのは「何杯」ではなく「何グラム」という単位で自分の飲み方を眺める視点を持つことでした。この視点の転換だけで、ログの精度がぐっと上がりました。

Q. 度数の高いお酒と低いお酒、どちらを選ぶべき?

度数が下がれば「飲んでいる感覚」も下がるのか

「度数の低いものに変えればいい」と単純に考えていた時期がありました。しかし、試してみると、低度数のお酒に変えただけでは量が増えてしまい、結果的な純アルコール量は変わらない、ということが起きました。グラスを重ねる手が止まりにくくなる感覚が、確かにありました。

ここで気づいたのは、「度数を下げる」という操作は、「一杯あたりのアルコール量を減らす」という目的のためであって、「たくさん飲む許可を得る」ためではないということです。度数を下げたうえで、容量もしっかり決める。この両輪が必要でした。

「飲んでいる満足感」を保ちながら量を減らすコツ

私が実際に試してみると効果的だったのは、グラスのサイズを小さくすることでした。以前は大きめのタンブラーに焼酎水割りをたっぷり注いでいましたが、小ぶりのロックグラスに変えると、同じ「1杯飲んだ」という満足感がありながら、容量は自然と抑えられます。グラスを「器の大きさ」ではなく「1杯分の基準」として使う、という感覚です。

また、度数の高いお酒(焼酎・ウイスキーなど)をストレートやロックではなく、炭酸水で薄めるだけで、飲む時間がゆっくりになり、同じ量を消費するのに時間がかかるようになりました。「早く飲み干してしまう」という行動パターンが崩れるのが体感できました。

Q. 見直しを続けたら、健診数値は実際に変わった?

正直に言えば、量と度数の見直しだけで劇的に数値が変わったわけではありません。週3の飲まない日を設けることとの組み合わせで、半年後の健診でγ-GTPがじわりと落ちてきたのは事実ですが、「一杯の再定義が効いた」という単純な話ではなく、生活全体の変化の一部だと思っています。

ただ、数値の変化よりも先に変わったのは、翌朝の体感でした。以前は「2杯しか飲んでいないのに、なんとなくだるい」という朝がありましたが、純アルコール量を意識するようになってから、同じ「2杯」でも翌朝の状態がずいぶん安定してきました。「量と度数を見直す」という行為は、健診数値のためだけでなく、翌日の自分のコンディションを整えるためにも、手ごたえがあるものでした。

50代になると、若い頃とは明らかにアルコールの処理が変わってくることを体で感じます。以前と同じ飲み方を続けることに意味はなく、今の自分の体に合った「一杯の形」を作り直すことが、節酒をただの我慢ではなく、自分を大切にする行為に変えてくれるのだと、この1年で実感しています。

Q. 今の「一杯の基準」を、どう決めればいい?

まずは「いつもの一杯」を数値で把握するところから

いきなり完璧な基準を設けようとすると続きません。私が最初にやったのは、「いつも飲んでいる一杯」を一度だけ正確に計量してみることでした。缶ビールなら容量を確認し、焼酎なら計量カップで注ぎ量を測る。その一回の計測が、自分の「感覚的な一杯」と「実際の一杯」のズレを教えてくれます。

「量と度数」の両方を記録に残す

杯数だけを記録していたときより、銘柄・度数・ml数をざっくり記録するようにしてから、ログが体感と連動するようになりました。「あの夜は翌朝が重かったな」と振り返ったとき、純アルコール量が普段より多かったことが一目でわかる。記録の解像度が上がると、次の飲み方への手がかりが自然と増えていきます。

「一杯」という言葉は便利ですが、その中身は人によっても、グラスによっても、その日の状況によっても変わります。自分なりの「一杯の基準」を持つことが、量と頻度を自分でコントロールする節酒の、最初の一歩になると私は思っています。

※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。飲酒に関する健康上の不安や数値の変化については、必ず医師や医療専門家にご相談ください。