「飲まないから節約できてるはず」は、わりと思い込みだった
正直に言う。自分はもともとお酒が飲めない体質で、ビール半缶で顔が真っ赤になるタイプだ。だから最初からノンアル一択で生きてきた。その分「お酒代がかからない=お金に余裕がある」と、どこか漠然と信じていた。
でも先月、友人にざっくり「月の食費いくらくらい?」と聞かれて、すぐに答えられなかった。ノンアルクラフトビールの新作を試したり、輸入スピリッツを少量買ったり、そのあたりの出費は把握していたけれど、全体の輪郭がぼんやりしていた。
お酒を飲む人が「飲酒ログ」で支出を可視化するように、自分にも「支出の地形を測る」作業が必要だと気づいた。そこで試したのが2つの方法——家計簿アプリによる自動集計と、スプレッドシートによる手入力管理だ。どちらも1か月ずつ本気で使い込んだ。
方法①:家計簿アプリで「自動的に全部見る」
どんな使い方をしたか
銀行口座とクレジットカードを連携させて、支出を自動カテゴリ分けしてもらうタイプのアプリを使った。設定さえすれば、あとはアプリが勝手に「食費」「交通費」「エンタメ」などに仕分けしてくれる。毎日ログインしなくてもいい、という手軽さが最大の売りだ。
良かった点と、引っかかった点
圧倒的に楽だった。1か月後にアプリを開いたら、グラフ付きでざっくりした支出の全貌が出てきた。自分の場合、「食費」の中にノンアル飲料代がまるごと含まれていて、食費の数字が思ったより高く見えた。そこで初めて「ああ、ノンアルって食費扱いなんだ」と気づいた。
一方で、カテゴリの粒度が粗い。たとえば「エンタメ」に、Netflixの月額・カメラのフィルター代・ノンアルスピリッツの試し買いが一緒に入ってしまう。何にお金を使っているかの「質感」まではアプリが教えてくれない。マジで全体像はつかめるけど、「なぜそこに使ったか」は自分で考えないといけない。
向いている人は、まずざっくりした現状把握から始めたい人、記録に時間をかけたくない人、スマホ操作が苦でない人だと思う。
方法②:スプレッドシートで「自分の言葉で分類する」
どんな使い方をしたか
GoogleスプレッドシートにA列から「日付/品目/金額/カテゴリ/メモ」の列を作って、毎晩2〜3分でその日の支出を手入力していく方法だ。カテゴリは自分で決める。自分は「ノンアル飲料」「食材」「外食」「学習費」「趣味・体験」「サブスク」という6項目に分けた。
良かった点と、引っかかった点
圧倒的に「解釈の自由」がある。ノンアルクラフトビールを新作レビュー目的で買ったとき、自分は「趣味・体験」に入れた。これがアプリだと食費に自動分類されてしまうところだ。自分の"使い方の意図"がそのまま数字に反映されるのが、スプレッドシートの醍醐味だと思う。
1か月後に集計してみると、「学習費」の欄が思ったより少なかった。ぶっちゃけ、毎日入力しながら「今月これしか学習に使ってないな」という感覚が積み上がってくる。記録が行動の鏡になる感じ、というか。
ただ、継続のハードルはある。外出先で買い物しても、夜に入力し忘れることが週に1〜2回あった。レシートを溜めておく習慣がないと、記憶が曖昧になる。細かい作業が好きな人、自分なりの分類で管理したい人、月末に「分析する時間」を楽しめる人に向いている。
2つを並べて見えてきたこと
どちらが「正解」かより、何を知りたいかが先
1か月ずつ試してわかったのは、どちらが優れているかという話ではなく、「自分が支出から何を読み取りたいか」によって手段が変わるということだ。
- 現状把握が目的なら:アプリの自動集計が最短ルート。まず全体を把握してから次のステップへ。
- お金の使い方の"質"を問い直したいなら:スプレッドシートの手入力。自分の言葉でカテゴリを決めることで、支出に意志が宿る。
- 両方いいとこ取りしたいなら:アプリで自動集計しつつ、気になるカテゴリだけスプレッドシートで深掘りする、という二段構えも悪くない。
「ノンアルだから節約できてる」の思い込みが崩れた先にあったもの
自分の場合、2か月間の記録を見比べて気づいたことがある。お酒代ゼロの代わりに、ノンアルクラフトビールや輸入スピリッツに月4,000〜6,000円前後使っていた。これが食費に埋もれていたから、長らく「見えていなかった」。
ただ、この支出を「無駄だった」とは思わない。毎週新作をレビューして記事を書いていること、それが自分の仕事の一部だと思えば、むしろ"業務体験費"に近い。スプレッドシートで自分のカテゴリを作ったことで、そういう「使い方の意図」が初めて数字の上で可視化された。
見える化の本当の目的は、支出を削ることだけじゃなくて、自分がどこに価値を置いているか確かめることだと、今は思っている。
まず1週間だけ試してみるなら
どちらの方法も、最初からフル活用しようとすると続かない。自分がおすすめする入り方はこうだ。
- まず今週1週間、財布から出したお金・カードで払った金額を、メモアプリに箇条書きするだけ。カテゴリ分けもしなくていい。
- 7日分が溜まったら眺めてみる。「多いな」「少ないな」と感じた項目に印をつける。
- その印のついた項目を起点に、アプリかスプレッドシートか、自分に合う方法を選んで次の1か月に進む。
道具を選ぶ前に「観察する」ステップを挟むと、どちらの方法も格段に馴染みやすくなる。ノンアル一択の自分が最初にやっておけばよかったと思う順序だ。
支出の地形を測ることは、お金を増やすための準備運動みたいなものだ。何が今の地面にあるかわからないまま、次のステップへ走っても、どこかで足をすくわれる。測ってから、動く。その順番で自分はやっと前に進めた気がしている。
※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。健康上の懸念がある場合は、医療機関にご相談ください。

