健診票を見て、初めて「飲み方」を疑った日

昨年の春、会社の定期健診の結果を封筒から出した瞬間を、今でも鮮明に覚えている。γ-GTPはすでに何年か前から気になっていたが、その年はとうとう基準値の2倍を超えていた。それに加えて、体重の欄にも赤いアンダーラインが引かれていた。

かかりつけ医に相談すると、開口一番に言われたのは「まずお酒の量を半分にしましょう」だった。禁酒ではなく、「半分に」という言葉が、正直なところ少しだけ救いだった。以前は週に5〜6日、晩酌でビールをジョッキ2〜3杯飲むのが当たり前だったが、それを「週3休肝・1日2杯まで」というルールに切り替えることにした。

γ-GTPが改善していくプロセスについては以前の記事で触れた。今回は、あまり注目していなかった体重の変化と節酒の関係を、6ヶ月分の健診数値と体感をもとに振り返ってみたい。

「飲んでいたカロリー」を初めて計算してみた

お酒のカロリーは「見えにくい」

節酒を始めてまず取り組んだのは、自分がこれまでどれだけのカロリーをお酒から摂っていたかを、おおよそで把握することだった。缶チューハイのラベルを初めてじっくり読んだのも、そのタイミングだったように思う。

ビール中瓶1本がおよそ180〜200kcalほど、酎ハイ350ml缶が銘柄によって100〜160kcalほどあると知ったとき、「毎晩2〜3杯飲んでいた」という事実が、急に重く感じられた。食事の献立には気を配っていたつもりでいたのに、お酒のカロリーは完全に「ノーカウント」にしていたのだ。

週5日・1日あたり約500kcal飲んでいたとすれば、1週間でおよそ2,500kcal。これを週2日に減らし、かつ1日2杯上限にすれば、1週間あたりのアルコール由来カロリーは大幅に下がる計算になる。数字にしてみると、「体重が少しずつ増えていた理由のひとつ」がはっきりと見えてきた気がした。

つまみの量も、お酒と一緒に減っていた

飲む日が減ると、自然と夜のおつまみの量も減っていることに気づいた。以前は飲みながら枝豆・チーズ・揚げ物と手が伸びていたのが、飲まない夜はお茶と軽い夜食で十分だと感じるようになった。

お酒がないと、食べる量自体をコントロールしやすくなる。これは個人差があるとは思うが、私の場合はかなり明確な変化だった。飲まない夜の夕食は早めに終わり、食後の満足感がむしろ高い。以前は「飲み終わっても何か口寂しい」という感覚があったのに、それがなくなっていた。

6ヶ月で何が変わったか。数字で振り返る

体重と腹囲の変化

節酒を始めた時点での体重は約76kg(身長170cm)。6ヶ月後の再検査では73.2kgになっていた。差にすると2.8kg。劇的な変化とは言えないが、「特別な食事制限や運動をしていない中での変化」と考えると、体感としては大きかった。

腹囲は92cmから87cmになり、内臓脂肪の目安とされる85cmのラインに近づいた。健診結果の「要観察」だった項目がひとつ消えたのは、純粋にうれしかった。血圧の推移については別の機会にじっくり書きたいと思っているが、上の血圧も少し落ち着いてきている印象がある。

体重が「減りやすくなった理由」を考えてみた

特別なことをしたわけではないのに体重が動いた理由を、自分なりに整理するとこうなる。

  • アルコール由来のカロリーが週あたりで大幅に減った。
  • 飲まない夜のつまみが減り、全体の食事量が自然に整った。
  • 睡眠の質が改善し、翌朝のだるさが減ったことで、日中の活動量が増えた。
  • 飲んだ翌日の「罪悪感ランチ」(揚げ物や丼物で気分転換しようとする習慣)がなくなった。

どれかひとつが効いたというより、節酒をきっかけにした「生活の連鎖」が少しずつ積み上がった結果だと感じている。節酒は「飲む量を減らす」だけでなく、1日の設計そのものを変えるきっかけになる。

「週3休肝・1日2杯」を続けるためのマイルール

節酒のルールを設計したとき、「厳しすぎて続かない」と「ゆるすぎて意味がない」のバランスをどこに置くかが一番悩ましかった。私が今も運用しているシンプルなマイルールをまとめると、次のようになる。

  1. 休肝日は「週に3日以上」と決め、曜日を固定しない。固定にするとスケジュールの都合でプレッシャーになりやすいため、週の頭に「今週どこを休む日にするか」を決める方式にした。
  2. 飲む日の上限は2杯。グラスは小さめに変えた。量の感覚を変えるために、以前の大きめのグラスをやめた。小さいグラスで2杯飲む方が、意外と「飲んだ感」がある。
  3. 飲まない夜に「代わりの楽しみ」を用意する。ルイボスティーや炭酸水にレモンを搾ったものを飲みながら、以前は飲みながら観ていたドラマや映画を「飲まない夜の時間」に移動した。
  4. 月に1度、体重・血圧・体感をノートに記録する。スマートフォンのアプリでも構わないが、手書きの方が「自分ごと感」があって私には合っていた。数字を見ると、節酒を続けるモチベーションになる。

「整える」感覚が、節酒を続かせてくれる

以前は、健診結果の数字を「見たくないもの」として少し距離を置いていた。悪い数字は見ないふりをしていたと言っていい。しかし節酒を始めてからは、数字が「次の行動のヒント」に変わった。γ-GTPが改善したという事実は、単なる数値の変化ではなく、「自分の選択が体に返ってきた」という確かな手ごたえだった。

体重の変化も同じだ。2.8kgという数字は小さく見えるかもしれないが、50代の男性が食事制限なしで6ヶ月かけて動かした数字だと思うと、なかなか悪くない。むしろ、「お酒の量と頻度を整えるだけで、体はちゃんと応答する」という実感が持てたことが、一番の収穫だったかもしれない。

節酒は「我慢するもの」ではなく、「飲み方を自分でデザインするもの」だと、今は思っている。週3日の休肝日は、もはやつらい日ではなく、「体を整える日」という感覚に変わっている。飲まない日があるから、飲む日のグラスが少しだけ特別に感じられる。そういうリズムが、1年目の今の私には心地よい。

※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。飲酒に関する健康上の不安や数値の変化については、必ずかかりつけ医や医療専門家にご相談ください。