最初の一杯、何を頼めばいいのか分からなかった話
ノンアルを平日の定番にしはじめて間もない頃、同僚との飲み会で居酒屋に入るたびに、メニューを開いて少し固まっていた。アルコール類のページは分厚いのに、ノンアルコールの項目といえば「ウーロン茶・コーラ・オレンジジュース」と並んでいるだけ、みたいな店も珍しくなかったから。
「とりあえずウーロン茶で」と頼みながら、なんとなく物足りなさを感じていたのを今でも覚えている。別にお酒が飲みたいわけじゃないんだけど、「乾杯にふさわしい一杯」がほしかったんですよね。それがなかなか見つからなくて、最初の半年くらいはちょっとモヤっとしていた。
でも、3年かけてそのモヤが晴れてきた。お店の選び方、メニューの読み方、場合によっては一言聞き方を変えるだけで、外食でのノンアル体験ってこんなに変わるんだと実感している。今日はその変化を時系列で振り返りながら、私なりに気づいたことを全部書いてみようと思う。
「ノンアルビール」を軸に置いてから、景色が変わった
炭酸+麦感が「乾杯の形」を作ってくれる
転機になったのは、居酒屋のドリンクメニューにノンアルビールが載っているかどうかを、入店前に確認するようにしたこと。チェーン系の居酒屋は公式サイトやアプリにメニューが出ていることが多いので、調べてから行けば「着席→メニューで固まる」という展開を防げる。
ノンアルビールがある店を選ぶようにしてから、乾杯の瞬間がグッと楽しくなった。グラスに注がれた黄金色の液体と、シュワっとした炭酸の感触。アルコールが入っていなくても、「乾杯」という儀式にちゃんと参加できている感覚があるんですよね。これが、ウーロン茶のときには得られなかった感覚だった。
銘柄を指定せず「ノンアルビールってありますか?」と聞くのがコツ
メニューに書かれていなくても、厨房の在庫にあることが割とある。私は今では「ノンアルビールって置いていますか?」とフラットに聞くことを躊躇わなくなった。断られても全然傷つかないし、「あ、こちらになります」と出てきたときの嬉しさは地味に大きい。店員さんも意外と親切に教えてくれることが多くて、「缶のならありますよ」とか「グラスに出しましょうか」と提案してもらえることもある。
最初は「わざわざ聞くのも…」と遠慮していたけど、もう完全に気にしなくなった。自分の飲み物を自分で選ぶのは、普通のことなんですよね。
2杯目以降、「ノンアルカクテル」という選択肢を使い倒す
「モクテル」「ノンアルカクテル」という言葉が通じる店が増えてきた
ここ1〜2年で実感しているのは、「モクテル」「ノンアルコールカクテル」という言葉が居酒屋やダイニングバーでも通じやすくなったこと。以前は「何それ?」という反応が返ってくることもあったけど、最近はメニューに明記している店も増えているし、「ノンアルで何かフルーティーなものはありますか?」と聞くと、バーテンダーさんが作ってくれることもある。
特に気に入っているのは、柑橘系のジュースとシロップを組み合わせたノンアルサングリア風のドリンク。お店によって味が変わるから、毎回ちょっとした発見があって楽しい。「ノンアル=同じ飲み物」という思い込みが崩れた瞬間だった。
料理に合わせてドリンクを変えてみる楽しさ
これも外食だからこそ気づいたことなんだけど、料理の種類でノンアルを変えてみると食事の満足度がぐっと上がる。揚げ物が続くときはキレのある炭酸系を、刺身や冷ややっこには和ハーブ系のクラフトドリンクを、デザートの前後には甘さ控えめのフルーツ系を——そんなふうにペアリングを考えはじめてから、2杯目・3杯目を頼むのが楽しみになったんですよね。
一緒にいる人がお酒を楽しんでいるのと、私がドリンクをペアリングで楽しんでいるのと、どちらが豊かかってもはや測れないくらいだと思っている。
お店選びの段階で「ノンアルの充実度」を基準に入れる
3年目にして、自分のなかにしっくりくる居酒屋の選び方ができあがってきた。幹事を任されたときはもちろん、誘われて行く店でも「ノンアルの選択肢があるかどうか」を事前にチラっと調べるようになった。
具体的に見るのは、以下の3点。
- 公式メニューやSNSに「ノンアル」「アルコールフリー」「モクテル」の記載があるか
- Googleマップのクチコミに「運転手OK」「妊婦さんも来ていた」など、飲まない人への言及があるか
- クラフトビールや自然派ワインに力を入れている店は、ノンアルにもこだわっていることが多い
この3点を見るだけで、「着いたらウーロン茶だけだった」という事態をかなり防げるようになった。完全に外れることもゼロではないけど、それはそれで「次回はここは外そう」という情報になる。失敗も蓄積だと思えるようになったのは、3年続けてきた副産物かもしれない。
「何を飲むか」より「どう過ごすか」に意識が向いた3年間
正直に言うと、ノンアルを外食で頼むことに慣れてきたいちばんの変化は、「飲み物」への意識が薄れたことだと思う。最初の頃は「何を飲もうか」が気になって仕方なかったのに、今は一緒にいる人との会話や、目の前の料理の方にずっと集中できている。
飲み物の選択肢が広がったというより、自分の「外食の楽しみ方」そのものがアップデートされた感覚がある。お酒を飲んでいたときと比べて、翌朝の目覚めの鮮明さとか、帰り道の余裕とか、そういうものが変わったのは確かだけど——それ以上に、「自分のペースで場を楽しめている」という手応えが積み重なってきた。
居酒屋でのノンアル選びは、最初はちょっとした障害みたいに感じていたことも正直あった。でも今の私にとっては、「その日のベストな一杯を選ぶゲーム」になっている。メニューを見るのが楽しくなったし、店員さんに聞くことへの抵抗もとっくになくなった。
もし今、居酒屋でのノンアル選びにモヤっとしているなら、ひとまず「ノンアルビールありますか?」の一言から始めてみてほしい。そこからちょっとずつ、自分だけの攻略法が育っていくから。
※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨ではありません。健康に関するご不安は専門の医療機関にご相談ください。

