結論:飲まない日が増えると、1日2時間・年間730時間が戻る
「禁酒すると時間が増える」と聞いたことがあるかもしれない。実際に何時間増えるのか、数値で先に答える。
試算の前提は後ほど詳しく説明するが、「飲む夜にかかる時間を1日あたり2時間と置いた場合、年間365日すべて飲まなければ730時間、週4日飲まなければ年間約416時間が手元に戻る計算になる。この数字が何を意味するかというと、週4日の飲酒をゼロにするだけで、英語学習に置き換えると週10時間・年間520時間の学習に相当する水準だ。
自分(ソラ)は30代男性で、完全禁酒ではなく週末2日のみ飲酒・週4日は飲まない定量管理派だ。Apple WatchとUntappdで飲酒ログを取り続け、飲む夜と飲まない夜の時間の使い方を2年以上追ってきた。この記事では、その実データをもとに「禁酒や節酒で増える時間」を前提ごとに全部計算して公開する。
「飲む時間」の正確な測り方——試算前提を全部開示する
1日あたりの試算前提:何を「飲む時間」に含めるか
時間試算でよくある落とし穴は、「グラスを口に運んでいる時間だけ」を計上して過小評価することだ。飲む行為には以下の工程がセットで付いてくる。この6ステップをすべて足すと、実態が見えてくる。
- 購入・準備:コンビニや酒屋への往復、冷蔵庫から出してグラスを用意するまで。宅飲みで15〜30分、外飲みなら移動を含め30〜60分が相場。
- 飲酒本体:ビール1〜2缶+つまみをゆっくり楽しむ場合、30〜90分。外飲みなら120〜180分が一般的。
- 後片付け:空き缶・グラス洗い・つまみの残りを片付ける。宅飲みで10〜20分。
- 入浴の遅延・ダラダラ時間:アルコールが入ると「もう少しだけ」がつきやすい。スマホをだらだら見る時間が延びる傾向がある。20〜40分。
- 就寝の遅れ:飲んだ夜は平均して就寝が遅れる。深夜に食欲が出て夜食を食べるケースも加算。15〜30分。
- 翌朝のパフォーマンス低下時間:二日酔いや睡眠の浅さによる午前中の集中力低下。軽い場合でも30〜60分、重い場合はほぼ午前中がつぶれる。
上記を最低値だけ足すと「15+30+10+20+15+30=120分(2時間)」になる。中央値で集計すれば「30+60+15+30+22+45=202分(約3時間20分)」となる。本記事の試算では保守的に「1日あたり2時間」を基準値として採用する。これは実態よりも控えめな数字であることを念頭に置いてほしい。
パターン別・時間増加の早見表
「飲む頻度を減らしたときに増える時間」を複数パターンで試算した。前提は「1回の飲酒で失う時間=2時間(保守値)」「1年間=52週」。
- 毎日飲んでいた人が完全にやめる場合:2時間×365日=年間730時間
- 週5日飲んでいた人が完全にやめる場合:2時間×260日=年間520時間
- 週5日→週2日に減らす場合(週3日分を削減):2時間×156日=年間312時間
- 週7日→週3日に減らす場合(週4日分を削減):2時間×208日=年間416時間
- 週3日→週1日に減らす場合(週2日分を削減):2時間×104日=年間208時間
- 外飲み月4回をゼロにする場合:3時間(外飲み基準)×48回=年間144時間
自分の運用(毎日→週末2日のみ)に当てはめると、2時間×208日≒年間416時間という計算になる。これが自分の体感と最もよく合致している数字だ。
年間416〜730時間は「何に変えられるか」——用途別換算リスト
時間が増えるとわかっても、「で、何に使えばいいの?」で思考が止まる人は多い。具体的な活動に変換すると、数字の重さが格段にリアルになる。
学習・スキル習得への換算
「1000時間で英語は話せるようになる」という目安は広く知られている。週4日飲まないことで生まれる416時間は、その4割強に相当する。以下のように換算できる。
- TOEIC 600点→800点:一般に300〜500時間の学習が目安とされる。年間416時間はその範囲を十分カバーする。
- Pythonの基礎〜中級:独学で100〜200時間が目安。週4日分の削減で、1年以内に複数のスキルを積み上げられる計算になる。
- 宅建士試験:合格に必要な学習時間の目安は200〜300時間とされる。週3日分の削減(年間312時間)でカバーできる。
- ファイナンシャルプランナー2級:150〜300時間が目安。こちらも年間削減時間の範囲内に収まる。
自分が実際にやったのは、飲まない平日の夜にプログラミングの動画講座を視聴すること。2年間で取得したスキルが、現在の副業の土台になっている。「時間がない」は本当だったのか、それとも飲む時間を優先していただけなのか——ログを見直すとはっきりする。
運動・健康投資への換算
有酸素運動の推奨量として、厚生労働省e-ヘルスネット「身体活動・運動」では、成人に対して週150分以上の中等度の有酸素運動が推奨されている。年間に換算すると52週×150分=7,800分(130時間)。
- 毎日飲む→週2日に減らした場合の年間削減時間(416時間)は、推奨運動量130時間の3倍以上に相当する。
- 30分ジョギング×週3回=年間78時間。416時間あれば、5年分の運動習慣を1年で作れる計算だ。
- ヨガ・ストレッチ(毎日20分)=年間122時間。これも416時間の中に含まれる。
運動は「時間がないからできない」のではなく、飲む時間と競合していた可能性が高い。Apple Watchのアクティビティリングを見ると、飲んだ翌日は歩数が顕著に少ない。身体が休もうとするので当然だが、こうして可視化すると「飲まない夜に軽く走る」ほうが総合的なコンディションが上がることがログに残っている。
副業・創作・趣味への換算
- ブログ・ライティング:1記事2時間で書けるとすれば、年間416時間は208記事分に相当する。
- 動画編集・YouTube:10分動画1本の編集に3〜5時間かかるとすれば、年間83〜138本分。
- 読書:1冊4時間(240分)で読む場合、416時間は104冊分。月8〜9冊のペースで本が読める。
- 楽器練習:ギターの基礎習得に100〜200時間が目安とされることが多い。416時間あれば、2〜3種類の楽器を並行して学べる。
「使い道が決まってから減らす」より「減らしてから使い道を探す」のほうが、実は機能する。時間ができると、それを埋めようとする感覚が自然に動き出す。自分の場合はログ管理が趣味化し、いつの間にかデータ分析の習慣が根付いた。
Apple Watchのログで見えた「飲む夜」と「飲まない夜」の実際の時間差
Untappd+Apple Watchで計測した実データ
Untappdは飲んだビールの種類・量・時刻を記録するアプリで、Apple Watchの「睡眠」と「アクティビティ」データと組み合わせると「飲んだ日のコスト」が数値で見えてくる。自分が2年間のログから平均を出した結果は以下のとおり。
- 飲んだ夜の就寝時刻:平均0時47分
- 飲まない夜の就寝時刻:平均23時22分
- 差分:平均85分(約1時間25分)遅い
- 飲んだ翌朝の起床後30分以内の生産性(主観5段階):平均2.3
- 飲まない翌朝の起床後30分以内の生産性(主観5段階):平均3.9
就寝の遅れ85分に加え、翌朝の集中力の低さがさらに30〜60分の実働時間を削っている。合計すると、自分の場合は1回の飲酒で115〜145分(約2時間)が実質的に失われている計算になり、試算の前提値「2時間」と近似する。
睡眠スコアと実働時間の関係
Apple Watchの睡眠データで「深い睡眠(ディープスリープ)」の割合を比べると、飲んだ夜は飲まない夜に比べてレム睡眠・深い睡眠の割合が下がる傾向が自分のログには記録されている。アルコールが睡眠の質に影響することは、厚生労働省e-ヘルスネット「アルコールと睡眠」でも説明されており、一般的な知見として広く知られている。
数値で測ると「飲んだほうが寝つきがいい」という感覚が錯覚だとわかる。入眠は早くても、睡眠の内容が変わる。翌日の集中力・体調スコアが低い理由がここにある。自分のログでは、飲んだ翌朝に「今日は頭が重い」と記録した日は、睡眠データ上でも深い睡眠の比率が低い日と一致していた。
飲まない日を増やして時間を取り戻す——7つのチェックリスト
「増える時間」を確実に手に入れるには、測定→可視化→設計の3フェーズを踏む必要がある。以下の7項目を順番にチェックしていくと、今日から動ける。
計測フェーズ(現状を数値で把握する)
- チェック1:今週飲んだ日数を書き出す
カレンダーアプリでもメモ帳でもいい。「何日飲んだか」を可視化することが出発点。感覚より実数のほうが必ず多い。 - チェック2:1回の飲酒にかかる時間を「準備〜翌朝」で計測する
次に飲む夜、開始時刻と翌朝の集中が戻った時刻を記録する。差分が「1回あたりの実コスト」。スマートウォッチがあれば睡眠データと組み合わせる。 - チェック3:年間削減時間を自分の前提で計算する
「現在の週あたり飲酒日数」×「目標の週あたり飲酒日数」の差×「1回あたりの時間」×52週=自分専用の年間時間増加量。電卓で30秒で出せる。
設計フェーズ(増えた時間の使い道を先に決める)
- チェック4:「飲まない夜にやること」を1つだけ決める
「なんとなく過ごす」だと飲む夜と変わらない時間消費になりやすい。読書・運動・学習・創作のどれか1つを「飲まない夜の定番」として先に決める。 - チェック5:就寝時刻の目標を設定してカレンダーに入れる
飲まない夜の最大の恩恵は就寝を前倒しにできること。「23時就寝」をスケジュールに入れてしまうと、それに向けた行動が自然に組まれる。 - チェック6:増えた時間の「使途ログ」を1週間つける
飲まない夜に「何をして何時間使ったか」を1週間だけ記録する。実際に使えた時間と試算値のギャップが見えると、次の改善点が浮かぶ。 - チェック7:月次で「時間の収支」を振り返る
飲酒日数×1回あたり時間=今月の飲酒タイムコスト。これを月初に計算して「前月比」を出す習慣をつくると、時間管理が家計簿と同じ感覚で機能し始める。
増えた時間を「投資」に変換する3つの視点
時間は消えるか使われるかのどちらかしかない。意識的に「投資」と定義すると、使い方が変わる。自分が実際に意識している3つの視点を紹介する。
視点1:時間を「学習コスト」に換算して優先順位をつける
お金の投資では「利回り」を考える。時間の投資も同じで、「この100時間を何に使うとリターンが大きいか」を先に考えると、使い道の優先順位が決まる。
例えば、資格取得にかかる時間を「時給換算した将来収入増加額」で割ると、学習の「時間あたり期待リターン」が出る。宅建士を200時間で取得し、副業収入が年間30万円増えるなら、時間あたり期待リターンは1,500円。これと飲酒タイムコストを比べると、「どちらを選ぶか」が数値で判断できる。
ガジェット好きの視点でいえば、この計算はスプレッドシート1枚で管理できる。飲酒ログと学習ログを並列に置くと、「どの夜に何をしたか」が一覧になり、時間の配分が見えてくる。
視点2:時間の「複利」を意識する
お金の複利は広く知られているが、時間にも複利に似た効果がある。学習した知識が新しい学習を加速する・運動習慣が睡眠を改善し翌日の集中力を高める・ブログの記事が積み上がって検索流入を生む——これらはすべて「時間を投じた結果が次の時間効率を上げる」構造だ。
飲酒をやめた最初の1ヶ月で増える時間は小さくても、その時間を学習に充てた結果が3年後に複利的に効いてくる。自分のログを見ると、飲まない夜に読んだ本の内容が、翌週の仕事のアイデアに使われているケースが記録に残っている。単発の時間節約ではなく、「仕込み時間」として積み上がるイメージだ。
視点3:時間の「機会費用」を意識する
経済学の「機会費用」は「ある選択をすることで失う、次善の選択肢から得られたはずの利益」のことだ。飲む夜を選ぶたびに、「飲まない夜に得られたはずの時間」が機会費用として失われている。
これを感情論ではなく数値で確認するのが、自分流のアプローチだ。Apple Watchを見ると、「今夜飲んだら2時間のコスト」というアラームの代わりになる。感覚ではなくデータを判断材料にすると、選択が自動化されてくる。
よくある質問
Q1. 週末だけ飲んでいる場合、増える時間は少なすぎてメリットを感じにくいのでは?
週2日(土日のみ)飲んでいる人がそれをゼロにした場合、年間の増加時間は2時間×104日=208時間になる。少ないと感じるかもしれないが、208時間は週4時間の学習習慣を1年間続けた場合の総時間(208時間)とぴったり一致する。「週末の飲酒1回をやめると、週4時間の学習習慣を無料で手に入れた」と置き換えると、体感が変わることが多い。
Q2. 飲む時間を「1日2時間」と設定しているが、自分はもっと短いと思う。試算は意味があるか?
試算の前提は自分で変えていい。「準備15分+飲酒30分+後片付け10分=55分」と計測できたなら、その値を使う。本記事の前提はあくまで一般的な中央値より低い保守値であり、試算の構造(削減日数×1回コスト×52週)は変わらない。大切なのは「正確な前提で自分の数字を出すこと」であって、「2時間という数字を信じること」ではない。
Q3. 増えた時間をうまく使えず、スマホをだらだら見て終わってしまう。どうすればいい?
チェックリストの「チェック4:飲まない夜にやることを1つだけ決める」が最も有効な対策だ。「スマホを見ない」と決めるより「◯◯をする」と決めるほうが行動しやすい。自分の場合は、飲まない夜の20時になると自動でリマインダーが鳴り「学習アプリを開く」フローが起動する設定にしている。ゼロからの意思決定を排除すると、だらだら時間が自然に減る。
Q4. 翌朝のパフォーマンス低下も含めるなら、飲んだ量によって大きく変わるのでは?
そのとおり。ビール350ml×1缶と350ml×4缶では、翌朝への影響は別次元だ。だから自分はUntappdで「飲んだ量」を記録し、翌朝のコンディションと紐づけてログを取っている。量が多い夜の翌朝コストは明らかに大きい。試算に使う「1回あたり時間」は、自分の典型的な飲酒量で測定した数値を使うのが最も精度が高い。アプリで記録をとり始めると、自分だけの正確な前提値が3〜4週間で出てくる。
※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。健康に関するご相談は医師または専門家にご相談ください。

