自分が「有利なスタート地点」にいると気づくまで

顔が赤くなるのは、ビール半缶で十分だ。ALDH2低活性型——いわゆるアジア人に多いアルコール代謝が苦手な体質で、自分は最初からノンアル一択で生きてきた。飲めないことを「ハンデ」だと思っていた時期もある。社会人になりたての頃、職場の先輩や同期が「飲みに行こう」と盛り上がるたびに、なんとなく輪の外側にいる感覚があった。

でも、社会人2年目の秋に副業を始めてから、その感覚がひっくり返った。

周りが飲み会に消費していた夜——移動・飲食・帰宅で平均3〜4時間——が、自分の手元にそのままあったのだ。お金だけでなく、時間も。それも、週に何度も。ぶっちゃけ、「飲めない体質で得していたじゃないか」と思った瞬間は、少し笑えた。

時間の「総量」より「かたまり」が副業には効く

細切れでは育たないものがある

副業を始めた当初、自分はWebライターとして動いていた。クラウドソーシングで案件を取り、夜に原稿を書くスタイルだ。最初はうまくいかなかった。30分・1時間という細切れの時間をかき集めて作業しても、文章の質が上がらない。書き始めたと思ったら終わり、続きを翌日に持ち越すとテンションが途切れる。

そこで気づいたのが、「2時間以上の連続したブロック」がいかに希少かということだ。社会人の平日夜に、2時間まとまって使える時間を確保しようとすると、多くの人は飲み会・会食・付き合いをカットするところから始めなければならない。自分にはその手間がなかった。月〜木の夜は、ほぼ毎日2〜3時間のまとまった時間が最初からあった。

「デフォルトで空いている夜」が資産になる

副業の初期フェーズで一番しんどいのは、スキルを積む段階だ。ライティングでも動画編集でもプログラミングでも、最初の数ヶ月は収益よりも練習量がものをいう。その練習量を積むためのまとまった時間が、自分にはデフォルトで備わっていた。

マジでこれは大きかった。副業を「いつかやろう」と言いながら動けない人の多くは、時間の捻出で詰まっている。自分の場合、捻出という作業自体がほぼ不要だった。飲めない体質が、スタートラインを少し前に置いてくれていた。

飲み会のコストを「副業インフラ」に変えた話

お金の使い道を変えると、時間の使い方も変わる

飲み会に使わないお金の話をすると、どうしても「節約」のニュアンスになりがちだ。でも自分がやったのは節約じゃなくて、再配分だった。飲み会1回分に相当する金額——だいたい3,000〜5,000円——を、副業に必要な道具やサービスに充てることにした。

具体的には、こんな順番で動いた。

  1. 外付けモニターを購入(作業スペースを広げるため)
  2. ライティング講座のオンラインコースに入会
  3. 月額制の文章校正ツールを契約

この3つで、副業の作業環境が一気に整った。金額にすると合計で2万円前後。飲み会数回分の再配分で、副業の生産性が目に見えて変わった。「環境を買う」という発想が、動くスピードを引き上げた。

ノンアル代がモチベーション維持に使われた

正直に言うと、副業の初期はモチベーションが上下しやすい。収益が出ない時期が続くと、やる意味を見失いそうになる。自分がそのフェーズで取った作戦が、「ノンアル代を週1の"自分へのご褒美枠"にする」だった。

具体的には、週末の夜に新作のノンアルクラフトビールを1本買って、副業の進捗を振り返る時間を作った。飲めないからこそ、ノンアルのクオリティには妥協しない。美味しい1本を手元に置くだけで、作業がちょっと楽しくなる。地味だけど、これが続けるための燃料になった。

3ヶ月後に起きた変化——数字ではなく「感覚」の話

副業を始めて3ヶ月経った頃、収益よりも先に変わったものがある。「自分の時間の値段」に対する感覚だ。

飲み会に使っていた時間がゼロだったからこそ、その時間を副業に充てた結果が明確に見えた。同じ夜の2時間でも、惰性で過ごした夜と副業に使った夜では、翌朝の感触がまったく違う。達成感とか充実感とか、そういうふわっとした言葉より、「今日の夜は使った」という手応えに近い。

飲めない体質の自分には、「飲み会から抜け出す意志力」が最初から不要だった。その代わりに必要だったのは、「空いた時間をどう設計するか」という意識だった。時間は最初からあった。問題は、そこに何を置くかだけだった。

副業を考えているZ世代で、自分と同じように飲めない・飲まない体質の人がいたら、ぶっちゃけ伝えたいことがある。あなたはすでに、多くの人が手に入れるために苦労しているものを持っている。それは「飲み会に使われなかった夜」という、リカバリーも言い訳も不要な空き時間だ。

飲まない選択が「副業の設計図」をシンプルにする

副業を軌道に乗せるために必要な要素を整理すると、時間・お金・集中力の3つに絞られると自分は思っている。飲まない・飲めないスタンスは、この3つすべてに同時に影響する。

  • 時間:飲み会・二日酔い回復に使われない夜と朝が増える
  • お金:飲食費・交通費として消えていた分が、道具・学習・環境整備に向けられる
  • 集中力:アルコールの影響がないまま夜の作業時間に入れる

これは「飲む人より優れている」という話ではない。自分の体質と生活スタイルに合った設計を作ると、副業のスタートがシンプルになるという話だ。飲めない体質をコンプレックスにするのか、設計の出発点にするのかは、自分次第だと気づいた。

今も自分は、週末の夜にノンアルクラフトビールを開けながら、次週の副業タスクを並べる。それが自分の「副業と向き合う儀式」になっている。飲めない体質で良かった、と思う瞬間のひとつだ。

※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨ではありません。健康に関するご不安は専門の医療機関にご相談ください。