木曜日の19時40分、私はコーヒーをワイングラスに入れた
その日は会議が立て続けで、PCを閉じたのが19時すぎ。帰りの電車でぼんやりスマホを眺めながら、「今日は何飲もうかな」と考えていた。ノンアル生活3年目にして、これがもはや私の通勤タイムの小さな楽しみになっている。
冷蔵庫にはいつもストックしているノンアルビールがある。でもその夜はなんとなく、ビール気分じゃなかった。少し疲れていたし、夕飯は鶏の香草焼きにしようと決めていた。ああ、これはコーヒー系の夜だな、と直感した。
棚に目をやると、先週買っておいたコールドブリューコーヒーの小瓶が一本。炭酸水も残っている。私はそれをワイングラスに氷ごとざぶざぶと注いで、くるくるとスプーンで混ぜた。立ち上がる細かい泡。コーヒーの香りが鼻をくすぐる。
「これ、全然ありじゃん」と、思わず声に出した。一人暮らしのキッチンに、誰も聞いていないのに。
「とりあえず一杯」の主役は、別に麦じゃなくていい
私がノンアルビールを仕事終わりに選ぶのは、あの「プシュッ」と開ける瞬間の切り替え感が好きだからなんですよね。でも正直に言うと、ビールの風味が欲しいというより、「炭酸で気持ちを切り替えたい」という欲求がベースにある気がしてきた。3年かかって気づいたこと。
そう考えると、炭酸さえあれば何でもいいんじゃないかとなる。コーヒー×炭酸水、お茶×炭酸水、そういう組み合わせが意外と「仕事終わりの一杯」という役割をちゃんと果たしてくれる。
炭酸コーヒーの「スイッチオフ感」は本物だった
コールドブリューを炭酸水で割ったものを、ゆっくり一口飲んだ。苦みがすっと広がって、シュワっと消える。これはちゃんと「仕事モードを終わらせる一杯」として機能する。香りの力ってすごいなと改めて思った。コーヒーの香りが立ち上がった瞬間、今日の会議のあれこれが遠くなった気がした。
アルコールで得ていた「ふわっとした解放感」とは性質が違う。でも、これはこれで十分な切り替えだと感じた。むしろ頭がクリアなまま夜が始まるので、その後の夕飯の支度も楽しかったくらい。
お茶系ドリンクは「余白をつくる一杯」
別の日の話をすると、ほうじ茶を濃いめに水出しして炭酸で割ったものを飲んだことがある。これがまた違う表情で好きなんですよね。コーヒーより穏やかで、香ばしくて、なんだか「今夜はゆっくりでいいよ」と言ってもらえるような気がする。
夕飯が和食の日はとくに相性がいい。だし巻き卵や鮭の塩焼きと一緒に飲んだとき、「これ料亭の気分では?」と一人でにんまりしていた。
グラス選びで、夜の景色が変わる
コーヒーをワイングラスに入れたあの夜から、私はグラスへのこだわりがさらに強くなった。過去の記事でも触れたことがあるけれど、グラスって本当に「気分の装置」だと思う。
炭酸コーヒーはワイングラスかタンブラーに、背の高いグラスで氷を多めに。ほうじ茶炭酸は、ぽってりとした短めのロックグラスに。お茶の琥珀色が透けて見えて、テーブルに置いたときの佇まいがきれいなんですよね。見た目の満足感も、一杯の豊かさの一部だと思っているので。
トッピングひとつで別の飲み物になる
最近試してみたのが、炭酸コーヒーにシナモンをひとふり。これだけで、なんとなくエスニックな雰囲気が出る。レモンを一切れ浮かべると、苦みの中にさわやかさが加わって、夏の夜っぽさが出る。どちらも5秒でできるのに、気分はぐっと特別になる。
ほうじ茶炭酸には、牛乳を少し足すのもありだと気づいた。炭酸が落ち着いてマイルドになって、食後にぼんやり飲む一杯として最高だった。ノンアルって、こういう「遊び」がいくらでもできるのが楽しくて、やめられないんですよね。
平日5日間、飲み物で「その日の色」を決める
週末は少量ワインを楽しむことがある私だけど、平日はノンアルで完全に固めている。そのなかで最近意識しているのが、「今夜は何系にするか」を帰り道に決めること。これが小さいけれど、かなり楽しい習慣になっている。
月曜はノンアルビールで「さあ始まった」モード。水曜はお茶炭酸でちょっと落ち着かせる。木曜はコーヒー系で「あともう少し」感を乗り越える。そうやって飲み物で平日に色をつけていくと、毎日がなんとなく違う顔を持つ気がする。
カフェインが気になる夜は、ノンカフェインのハーブティーを炭酸で割ることもある。カモミール×炭酸は意外とすっきりしていて、就寝前の一杯としてもちょうどいい。炭酸・お茶・コーヒーという三つのジャンルだけで、もうバリエーションが無限にあるんですよね。
料理との掛け算で、もっと広がる
鶏の香草焼きの夜、炭酸コーヒーと一緒に食べたらハーブの風味同士が響き合う感じがあった。偶然の発見だったけれど、コーヒーの苦みって肉料理のうま味をちゃんと引き立てる。赤ワインに近い役割を果たしてくれるというか。
お茶系は魚料理や豆腐料理とよく合う。ほうじ茶炭酸と冷奴を組み合わせた夜は、「これが私の夏の定番だな」と静かに確信した。ペアリングって難しく考えなくていいんだと思っている。香りが近いもの同士、色が似ているもの同士、それくらいのゆるい発想で試してみると、だいたい正解に近い場所に着く。
「特別な一杯」は遠くにない
コーヒーをワイングラスに注いだあの木曜日から、私の平日ノンアルの幅がまたひと回り広がった気がする。炭酸・お茶・コーヒー系という三つのカテゴリは、どれも素材として手に入りやすくて、アレンジが自由で、なにより毎日飲んでも飽きない。
ノンアルを選ぶとき、「アルコールの代わり」として探すより「今夜の自分に何を贈るか」という視点で選ぶと、棚の前に立つ時間がちょっとだけわくわくする。そのわくわくが、夜の食卓を少し豊かにする。そういうことを、3年かけてじわじわ実感しているんですよね。
今夜もまた、何にしようかな。帰り道に考えるのが楽しみです。
※本記事は一般情報であり、医療的助言・診断・治療の推奨を目的としたものではありません。健康に関する個別のご相談は、医療機関や専門家にご確認ください。

