健診の数値が、私に「比べること」を教えてくれた
昨年の健康診断で、γ-GTPが基準値の2倍を超えていた。医師からは「お酒の量と頻度を見直してください」と、はっきり言われた。以前は毎晩ビールを2〜3本、週末は焼酎もあわせて飲んでいたので、その結果は正直、予想の範囲内ではあった。ただ、数値という「証拠」を突きつけられると、さすがに動かざるを得ない。
そこで始めたのが、週3日の飲酒制限と、1日あたり2杯までというルールだ。禁酒ではなく、量と頻度を整える方向を選んだ。節酒を続けるなかで気づいたのが、むくみと水分代謝の変化だった。飲んだ翌朝と、飲まなかった翌朝とで、体の感覚がこれほど違うのかと驚いた。今回はその「差」を、できるだけ具体的に書いてみたい。
飲酒日の翌朝:水を抱え込む体
顔と手指に出るむくみの正体
以前は毎朝、顔を洗うときに鏡を見るのが少し憂鬱だった。目の下がふっくらし、指輪がきつく感じられる。これをずっと「年齢のせい」だと思っていたのだが、節酒を始めてから「飲んだ日の翌朝に集中して出る」と気づいた。
アルコールは利尿作用があると聞いていたので、むしろ水が抜けるのではと思っていた。ところが実際には、アルコールを分解するために肝臓が大量の水分を消費し、体は脱水状態になる。その反動として、体が水分を保持しようとするのだという。加えて、アルコールによって血管が拡張すると、血管の外に水分が漏れやすくなる。これがいわゆる「浮腫(ふしゅ)」につながる仕組みだ。
私の場合、飲酒日の翌朝は体重計の数値が0.5〜1kg近く高く出ることがあった。脂肪が増えたわけではなく、水分の偏りによるものだと理解してからは、その数値に一喜一憂せず、「今日は水を余分に抱えている状態」と冷静に受け止められるようになった。
のどが渇くのに、水を飲んでも解消しない不思議
飲酒した夜中や翌朝、強いのどの渇きを感じるのは多くの人に共通する体験だと思う。水を飲んでも飲んでも、どこかスッキリしない。これも、体内の水分バランスが崩れているからだ。細胞の内外で水分の偏りが生じているため、水を飲んでも「必要な場所」に届きにくくなっている状態とも言える。朝の1杯の水が妙に染み渡らない、あの感覚がそれだ。
飲まない日の翌朝:水が「動いている」感覚
むくみが出ない朝の体の軽さ
週3日の飲まない日を設けるようになってから、その翌朝の体感が明らかに変わった。顔を洗うときに「すっきりしている」と感じる頻度が増えた。指輪のきつさもない。体重計の数値も前日とほぼ変わらない。
特に感じるのは、足のふくらはぎだ。以前は夕方になると靴下の跡がくっきり残るほどだったが、飲まない日が続くと、その跡が薄くなった。デスクワークで長時間座っていることも関係しているかもしれないが、飲酒の有無による差は体感としてはっきりある。
水分が「滞らずに動いている」という感覚は、うまく言葉にしにくいが、体の内側がなめらかに動いているような、そういう手触りに近い。朝のコーヒー1杯がいつもより美味しく感じられるのも、そういう日だ。
代謝のリズムが戻ってくる
節酒を始めて3ヶ月ほどで、γ-GTPの数値が基準値内に収まった。医師からも「このまま続けてください」と言われた。数値の改善とともに、体全体の代謝のリズムが戻ってきた印象がある。
以前は午後2時ごろに強い眠気と倦怠感があり、それを「仕事の疲れ」と片付けていた。だが節酒後、飲まない日が続くとその眠気が軽くなることに気づいた。肝臓がアルコール分解に追われていない状態では、エネルギー代謝が本来の働きをしやすくなる——というのが私なりの解釈だ。
「飲む日」と「飲まない日」、どちらが向いているか
飲む日を「意図的に選ぶ」ことで変わること
私が節酒で学んだ最大のことは、「飲む日」と「飲まない日」を意識的に設計することで、両方の日を豊かにできるという発見だ。以前は毎晩何となく飲んでいたので、飲むことに特別な感覚はなかった。今は週3日と決めているので、飲む日のビールが明確に「楽しみ」になった。
一方で、飲む日にはむくみが出やすいと知っているので、その日は塩分の多い食事を控えめにし、飲み終えたあとに水をコップ1杯飲んでから寝るようにしている。完全には防げないが、翌朝のむくみが以前より軽くなった実感がある。
飲まない日を「我慢の日」にしない工夫
節酒を始めた当初、飲まない日は正直、物足りなさがあった。夕食後に何か飲みたいという習慣が体に染みついていたからだ。そこで試したのが、炭酸水にレモンを絞ったものや、温かい緑茶をゆっくり飲むことだった。
手に何かを持って飲む、という動作自体が習慣のトリガーになっていたと気づいてからは、「飲み物を選ぶ行為」を楽しむ方向にシフトできた。飲まない日を「欠乏の日」ではなく、「体が水分を上手に使える日」と捉え直すと、その日の朝に軽い体で目覚めることが、ひとつの楽しみになってくる。
水分と代謝を味方につけるための、私のルーティン
節酒1年間で定着したのは、次のような日々の習慣だ。特別なことは何もないが、続けてみると体感の差がわかるようになった。
- 朝イチの水:起床後すぐにコップ1杯の常温水を飲む。飲酒翌日も飲まない翌日も共通のルーティン。
- 飲酒日の水の意識:お酒と同量程度の水を、食事中や食後にゆっくり摂るようにした。
- 足のむくみチェック:夕方に靴下の跡の深さを確認する。飲酒日と非飲酒日で比べると、差がよくわかる。
- 体重は毎朝同じ条件で:数値の上下を「むくみか脂肪か」で見分けるために、毎朝起床直後に測る習慣をつけた。
むくみと水分代謝の変化は、禁酒しなくても、飲む日と飲まない日をバランスよく設計するだけで、はっきりと体感できる。50代の私の体がそれを教えてくれた。数値だけでなく、朝の鏡と靴下の跡が、正直なフィードバックをくれている。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。体の不調や数値の変化が気になる場合は、医療機関にご相談ください。

