「ウーロン茶かジュース」だった頃の私

第一子を出産して授乳期に入ったとき、私が居酒屋のドリンクメニューを開いて最初にしたことは「ソフトドリンク欄だけ見る」という作業だった。ウーロン茶、オレンジジュース、コーラ。選択肢はだいたいその3種類で、正直なところ毎回同じものを頼んでいた。

当時は「どうせ飲めないから」という気持ちがどこかにあって、ドリンクを選ぶこと自体にエネルギーをかけていなかった。でも授乳期が終わっても、私はお酒を「あえて飲まない」スタイルを続けることにした。そうなると話が変わってくる。飲まないのは「飲めないから」ではなく「選んでいるから」。だったら、その一杯をもっとちゃんと選んでいいんじゃないか、と思い始めたのが、ソバキュリ生活のスタート地点だった。

メニューに「ノンアル」という言葉が増えてきた

2年前と今とでは、明らかに違う

ソバキュリを意識し始めた2年前と比べると、居酒屋のドリンクメニューの構成がずいぶん変わったと感じる。以前はソフトドリンクのページに数行だけ並んでいたのが、今は「ノンアルコール」という独立した項目を設けているお店も珍しくない。ノンアルビール、ノンアルサワー、ノンアルカクテル——種類が増えた分、逆に「どれを頼めばいいの?」と迷う場面も出てきた。

これは嬉しい変化だと思っている。でも同時に、メニューの読み方が少し必要になってきた、とも感じている。

「ノンアル」と書いてあれば同じ、ではない

同じ「ノンアルビール」でも、麦の風味がしっかりしているタイプと、炭酸水に近いくらいすっきりしているタイプでは、飲んだときの満足感がまったく違う。ノンアルサワーも、レモン系・グレープフルーツ系・梅系など、実際に口にしてみないとわかりにくい部分がある。最初のうちは「なんとなく頼んで、なんとなく飲む」を繰り返していたけれど、ある日ふと、「これって食事と合ってるかな?」と考えるようになった。

その問いが、私の居酒屋ノンアル体験を少しずつ変えていった。

私が実際にやっている、メニューの読み方3つ

① 料理との相性で選ぶ、という発想に切り替えた

居酒屋のドリンクを「とりあえず」で選ぶのをやめてから、まず料理を先に決めるようにした。揚げ物が多そうなら、酸味や炭酸がしっかりしているノンアルサワー系が口の中をすっきりさせてくれる。刺身や出汁の効いた和食なら、ノンアルビールの麦っぽさが馴染む気がする。こうして「何を食べるか」と「何を飲むか」をセットで考えるようになると、一杯の満足感がぜんぜん変わった。

これはお酒を飲む人がやっているペアリングの発想と、たぶん同じことだと思う。飲まない側にも、ちゃんとそのたのしみがある、と気づいたのは収穫だった。

② 「ノンアルカクテル」の欄を一度ちゃんと読む

居酒屋のメニューで意外と見落としがちなのが、カクテルページの隅にある「ノンアルコールカクテル」の項目だ。モクテル(ノンアルカクテル)という文化が広がるにつれ、フルーツやハーブを使ったノンアルドリンクをメニューに加えているお店が増えている。

あるとき、子どもを夫に預けて久しぶりに友人と居酒屋に行ったとき、なんとなくそのページを開いてみたら、柑橘とジンジャーを合わせたノンアルドリンクがあって思わず頼んだ。飲んでみたら、それがすごくよかった。料理の邪魔をしないのに、きちんと「飲みもの」として存在感がある感じ。あの体験が、ノンアルの外食をたのしむ入口になったと思っている。

③ 迷ったらスタッフに聞く、を怖がらなくなった

これが一番、時間がかかった変化かもしれない。最初は「ノンアルを頼む自分」が少し目立つような気がして、あまり声を大にして聞けなかった。でも実際に「ノンアルで、食事と合うのはどれですか?」と聞いてみたら、スタッフの方がすごく丁寧に答えてくれたことがあって、それ以来すっかり気が楽になった。

むしろお店の人も、ノンアルのラインナップを把握していることが多くて、「これが一番飲みやすいですよ」と教えてもらえることもある。聞いてみてよかった、と毎回思う。子どもがいると外食の機会自体が貴重になるから、せっかくなら自分が飲んで気持ちいいものを頼みたい。そのためなら少し聞く手間をかけるくらい、全然惜しくない。

子連れ外食と居酒屋ノンアル、その変化

子どもが生まれてから、外食のシチュエーションも変わった。家族みんなで行けるような、少しカジュアルな居酒屋チェーンや、子ども席のある和食店に行く機会が増えた。そういうお店でも、ノンアルの選択肢はちゃんとある。むしろ「子どもと同じソフトドリンクじゃなくて、大人っぽいものを飲みたい」という気持ちが出てきてから、ノンアルを積極的に選ぶようになった気がする。

親だって、食事と一緒においしいものを飲みたい。その気持ちは至ってシンプルだし、ノンアルはそのシンプルな欲求に十分応えてくれる。子連れの居酒屋で「ノンアルビールください」と頼んだとき、グラスに注がれた泡を見て「ちょっと特別感があるな」と感じたのは、忘れられない瞬間のひとつだ。

飲まないことを「なんとなくやり過ごす」から、「選んでたのしむ」に変わったのは、外食のたびにドリンクメニューをちゃんと読むようになったことが大きかったと思っている。たった一杯の選び方が、食卓全体の気分をつくる——それは、お酒を飲む人も飲まない人も、きっと同じだ。

これからの居酒屋ノンアルに期待していること

ソバキュリ生活を2年続けてきて、居酒屋のノンアル事情は確実に豊かになっていると実感している。一方で、まだ「ソフトドリンク=ウーロン茶かコーラ」しかないお店も少なくない。そういうお店ではカシスソーダをノンアルで、と頼んだり、炭酸水にライムを絞ってもらったりと、少し工夫するようになった。

「ノンアルがない」は、工夫で乗り越えられることが多い。でも「選べる環境がある」ことの豊かさは、実際に体験してみないとわからない。これからもっと居酒屋のノンアルメニューが充実していくといいなと思っているし、そういうお店を見つけたときはリピートしたいと素直に思う。

外食の一杯は、たのしい時間の入口だ。飲まない選択をしていても、その入口は同じように開いている——そう感じながら、今日もメニューを開く。

※本記事は一般情報であり、医療的助言ではありません。健康上の理由でアルコールや特定の飲料に制限がある方は、医療専門家にご相談ください。