結論から言うと、飲んだ翌朝の体調は「なんとなく重い」で済ませず、5つのサインに分けて記録すると、前夜の飲み方を冷静に振り返れます。自分はApple Watchで睡眠と心拍を見ながら、週4日は飲まず、週末の2日だけ飲む運用をしています。ログを取ると、体感と数字がずれる日があることに気づきました。睡眠中の心拍と飲酒の関係は、ウェアラブルのデータを使った観察研究でも報告されています。その見分け方を手順にまとめます。

まず、前夜の量を「純アルコール量」で揃える

缶の本数ではなく、グラム数で記録する

翌朝のサインを読む前に、前夜の量を同じ物差しで測っておく必要があります。厚生労働省の資料では、純アルコール量は「お酒の量(ml)×アルコール度数(%)÷100×0.8」で計算できます。ビール500ml(5%)なら20gです。計算式は厚生労働省の飲酒量記録シートで確認できます。

この式で、よく飲む一杯を換算すると次のとおりです。

前夜の一杯

計算

純アルコール量

ビール 350ml(5%)

350×0.05×0.8

14g

ビール 500ml(5%)

500×0.05×0.8

20g

ハイボール 350ml(7%)

350×0.07×0.8

19.6g

ワイン 120ml(12%)

120×0.12×0.8

約11.5g

図: 前夜の一杯の純アルコール量(厚生労働省の計算式で算出)

数字で揃えると、翌朝の差が見える

同じ「2杯」でも、ビール350mlとハイボール500mlでは中身が違います。厚生労働省の健康に配慮した飲酒に関するガイドラインも、量を純アルコール量で捉えることを基本にしています。まず前夜をグラムで記録することが、翌朝のサインを読む土台になります。

要点: 翌朝を読む前に、前夜の量を純アルコール量のグラムで揃えます。

関連記事: 記録すると減る人、記録しても変わらない人、飲酒ログに潜む転機

翌朝に見る5つのサイン

ここからが本題です。自分が毎朝チェックしている5つを、見る場所と読み方でまとめました。

サイン

見る場所

読み方

1 安静時の心拍

ウォッチの心拍ログ

飲まない日の自分の普段値と比べる

2 夜中の目覚め

睡眠ログの覚醒時間

後半に増えていないかを見る

3 食欲

朝食の進み方

胃が重いか、軽いかを一言で残す

4 喉の渇き

起床直後の感覚

水を何杯で落ち着いたかを残す

5 頭の回転

午前の作業の進み

メール1通に何分かかったかを残す

図: 翌朝に記録する5つのサインと見る場所

サイン1: 安静時の心拍と、眠りの途中経過

飲酒と睡眠中の心拍の関係は、フィンランドの就労者を対象にした観察研究で報告されています。ウェアラブルの計測データを使った研究で、飲酒量が増えるほど、眠り始めの数時間の心拍が高くなり、回復が遅れる傾向が示されました。論文はJMIR Mental Healthに掲載された研究で読めます。自分の腕のウォッチで見る数字も、この傾向と矛盾しない日が多いです。

ただし、観察研究なので、心拍が高い日はすべて飲酒のせいだと決めつけることはできません。体調や室温、直前の運動でも動きます。だからこそ、飲まない日の自分の普段値と比べる使い方が現実的です。

サイン2から5: 体感をその場で一言残す

睡眠ログの覚醒、朝の食欲、喉の渇き、午前の頭の回転は、ウォッチに出ない部分です。自分はスマホのメモに「胃:重い/渇き:水2杯/頭:ふつう」のように3語で残しています。ログを取ると、数字は普通なのに体感が悪い日、その逆の日が見えてきて、前夜の飲み方の何が効いたかを考えやすくなります。

要点: 数字と体感の両方を、毎朝同じ形式で残すのがコツです。

関連記事: 太る人が増えても、飲酒と肝臓の関係は変わらなかった。フィンランド3.5万人の20年

具体の手順: 3週間で自分の基準を作る

手順は次のとおりです。

  1. 前夜の飲酒を、種類と量から純アルコール量のグラムで記録する
  2. 飲まない日の安静時心拍を1週間ぶん集めて、普段値とする
  3. 飲んだ翌朝に、5つのサインを3語メモで残す
  4. 3週間たったら、量が多い日と少ない日で並べて比べる
  5. 差が大きかった項目を、次の週の「飲む量の上限」を決める材料にする

節酒は意思の強さではなく、自分の基準値を持てるかどうかだと考えています。

要点: 基準値は3週間分のログがあれば作れます。

自分のログで、体感とずれた日

週末の2日だけ飲む運用にしてから、飲んだ翌朝は必ずログを見るようになりました。気づいたのは、体感が悪くないのに睡眠の途中覚醒が多い日があることです。そういう日は、翌日の午前に頭の回転が鈍く、メールの返信に普段より時間がかかりました。逆に、体感が重くても午前の仕事は普通に進む日もあります。ログを取る前は、すべて「二日酔い」とひとまとめにしていました。

家計簿と同じで、飲酒も記録すると「何にいくら使ったか」が見えます。お金も体も、見える化すると選び直しやすいです。

要点: 体感だけに頼ると、見落としが出ます。

よくある質問

翌朝のサインだけで、飲み過ぎかどうか判断できますか

できません。サインはあくまで自分の振り返り用です。健診の数値や体調に不安があるときは、医療機関に相談してください。

ウォッチがなくても記録できますか

できます。5つのうち食欲・喉の渇き・頭の回転は、メモだけで残せます。起床直後に脈を1分数える方法もあります。

飲まない日の記録は必要ですか

必要です。普段値がないと、飲んだ翌朝との差が読めないからです。

今夜は、飲む飲まないにかかわらず、寝る前の一杯をグラムで書くところから始めてみてください。節酒のコツを集めた記事も、あわせて読んでみてください。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。