結論。禁酒で痩せないのは、減った分より増えた分が大きいからです

結論から書きます。禁酒しても痩せない理由は、私の場合3つに絞れました。ひとつ、アルコールをやめて減るエネルギーが想像より小さいこと。ふたつ、甘いものへの置き換えが起きていること。みっつ、夜の間食と朝食が増えていることです。飲まなくなった分だけ自動的に引き算されるわけではなく、気づかないうちに別の項目が足し算されていました。つまり体重が動かないのは、意志や体質の問題ではなく、数え方の問題だったということです。以下、記録を見ながら3つの原因を順番に説明し、私が数字を動かすために試した5つのことを書きます。

3か月、体重計が動かなかった

私がお酒との距離を変えたのは30代後半のことでした。正直に言うと、健康というより体型がきっかけです。飲まなければ痩せるだろうと、かなり気軽に考えていました。

ところが3か月経っても、体重はほとんど同じでした。むしろ最初の1か月はわずかに増えていて、体重計に乗るのが嫌になった時期があります。ノートには「飲んでないのに、なぜ」とだけ書いた日があって、今読み返すと当時の気分がそのまま残っています。

引き算だけを数えていた

原因がわかったのは、記録の付け方を変えてからでした。それまで私は「飲まなかった」ことだけを記録していたんです。つまり引き算しか数えていなかった。

食べたものを1行だけ書き足すようにしたら、状況がすぐに見えました。夜にチョコレートを食べる日が増えていて、週末はアイスクリームが定番になっていました。振り返ってみると、お酒でふさいでいた時間に、甘いものが入り込んでいたんだなって思うんです。

この記事で扱う範囲

体重が動かない理由を3つに分けて説明し、そのうえで私が実際に数字を動かすためにやったことを書きます。何キロ減るかの計算そのものは禁酒で何キロ痩せるかをカロリーから計算した記事が詳しいので、この記事は「計算どおりにならなかったとき、どこを見るか」に焦点を当てます。

要点です。飲まなくなった引き算だけでなく、増えた足し算を数える必要があります。

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原因1。アルコール由来のエネルギーは、思ったより小さい

まず、いちばん誤解しやすいところから整理します。

1gあたり7.1kcal、実際に使われるのは約5kcal

厚生労働省の e-ヘルスネットは、アルコールは1グラムあたり7.1キロカロリーを生じるものの、体に蓄えられないことからエンプティーカロリーとも言われると説明しています。さらに、吸収されたアルコールは体に蓄えられる代わりに熱になり、実際に利用されるエネルギーは体内に入ったアルコールの70%程度、すなわち1グラムあたり5キロカロリー程度ではないかと言われている、とも書かれています(アルコールのエネルギー(カロリー)|e-ヘルスネット)。

ビール500ml(5%)のアルコール由来エネルギー7.1kcal換算:約142kcal実利用70%換算:約100kcal純アルコール量20g(式:500×5÷100×0.8)出典:厚労省 飲酒ガイドライン/e-ヘルスネット アルコールのエネルギー

図: アルコールそのもののエネルギーは、想像より小さい水準にとどまります

純アルコール量は、厚生労働省のガイドラインが示す「飲酒量(ml)×アルコール度数(%)÷100×0.8」で計算します。度数5%の500ml缶なら20gです(健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(PDF)|厚生労働省)。この20gを7.1kcalで換算すると約142kcal、実際に利用される分を70%として見積もると約100kcalになります。

1日1缶を3か月やめても、数字は小さい

仮に毎日1缶やめたとして、1日あたり100kcal前後です。ここに糖質由来のエネルギーが加わりますが、それでも日々の食事の変動幅に埋もれる水準だと思います。

私が最初の3か月で体重が動かなかったのは、この規模感を知らなかったからでした。飲まなければ大きく減ると期待していたので、実際の引き算の小ささに驚きました。減る期間の目安についてはお酒をやめて痩せるまでの期間を扱った記事も参考になります。

ただし、おつまみの分は別勘定

誤解しないでいただきたいのは、飲酒をやめても意味がないという話ではないことです。お酒そのもののエネルギーは小さくても、飲む場面についてくる食べ物は別です。ここは次の章で詳しく扱います。

要点です。アルコール単体の引き算は、1缶あたり100kcal前後の規模です。

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原因2。甘いものへの置き換えが起きている

私の記録でいちばん明確だったのが、この項目でした。

夜のチョコレートが定番になっていた

飲まない夜に何をするか決めていなかった時期、私は無意識に甘いものへ手を伸ばしていました。最初は「ご褒美」のつもりでしたが、1か月もすると毎晩の習慣になっていました。

食べたものを1行書くようにして初めて、その頻度に気づきました。書かなければ見えなかったと思います。記録って、やる気を出すためというより、自分を観察するための道具だなと感じています。

研究でも報告されている置き換え

これは私個人の話ではないようです。アルコール使用障害からの回復初期にある成人を対象に、1日4回の通知で気分と欲求をその場で回答してもらった研究では、甘いものへの欲求と摂取が、飲酒への欲求と関連していたことが報告されています(Daily associations between alcohol and sweets craving and consumption in early AUD recovery, PMID 34493429)。

体重についても報告があります。アルコール依存の人を対象に6か月追跡した研究では、対照群と比べて体重の増加が大きかったとされています(Sweet intake, sweet-liking, urges to eat, and weight change, PMID 15990241)。同じ研究では、甘いものを食べることが飲酒への欲求や飲酒量に影響を与えたという結果は得られていません。つまり、甘いものは対処法として期待されているほど働かず、体重のほうには影響が出うる、という構図です。

なお、これらの研究はアルコール依存と診断された人を対象にしたものです。私のように診断を受けていない立場の人にそのまま当てはまるとは限りません。ただ、置き換えが起きうる現象として知っておく価値はあると思っています。

置き換えは「悪いこと」ではない

念のため書いておくと、甘いものを食べること自体を否定したいわけではありません。私も今でも食べます。問題なのは、無意識に増えていることに気づかないまま、体重が動かない理由を探してしまう状態のほうです。

気づいてさえいれば、量を決めるなり時間を決めるなり、扱いようがあります。

要点です。飲まない夜に何が入り込んだかを、記録して確認する必要があります。

関連記事: 禁酒1年、何が変わったか。節約額・取り戻した時間と、自分の内側の話

原因3。夜の間食と、朝食の増加

3つめは、置き換え以外の増加分です。

夜の時間が長くなった分だけ、口が寂しくなる

飲んでいたころ、私の夜は21時にはぼんやりして終わっていました。飲まなくなると、その時間がまるごと起きています。起きているということは、お腹も空くということでした。

最初の月は、22時過ぎにおにぎりを食べていた日が何度かあります。空腹というより、手持ち無沙汰でした。夜の時間の使い道を決めていなかったことが、そのまま食べる理由になっていたのだと思います。

朝の目覚めが良くなると、朝食が増える

これは意外な発見でした。飲まなくなって朝がすっきりするようになると、朝食をきちんと食べるようになったんです。以前は胃が重くてコーヒーだけの日が多かったので、単純に1食増えたのと同じでした。

朝食が増えること自体は、私はいいことだと思っています。ただ、体重の計算という観点では足し算の項目です。「飲まなくなったのに痩せない」の一部は、ここで説明がつきました。

飲酒が食事量を押し上げていたことの裏返し

飲酒と食事量の関係については、系統的レビューとメタ解析があります。22の研究、参加者701人を対象にした解析では、アルコール飲料を飲んだ条件では食事由来のエネルギーが加重平均差で343kJ、総エネルギーが1072kJ増加したと報告されています(Effect of alcohol consumption on food energy intake: a systematic review and meta-analysis, PMID 30630543)。同じ研究は、アルコール飲料のエネルギー分を食事で減らして埋め合わせる動きは一貫して見られなかったとしています。

つまり飲酒は、それ自体のエネルギーに加えて、食べる量を押し上げていた可能性があるということです。やめれば本来は減るはずの部分で、私の場合はそこが甘いものと夜食で埋め戻されていました。なお、この解析は18歳から37歳の若い成人が中心で、結果の一般化には限界があるとも書かれています。

要点です。夜の間食と朝食の増加は、飲酒をやめた副作用として起こりえます。

私が数字を動かすためにやった5つのこと

3つの原因が見えたあと、私が実際に試したことを書きます。ダイエット法というより、記録の運用の話です。

  1. 食べたものを1日1行だけ書く(完璧を目指さない)
  2. 夜にやることを前日に1つ決める
  3. 甘いものは買い置きせず、食べたい日に1つだけ買う
  4. 体重は週1回、同じ曜日・同じ時間に測る
  5. 4週間単位で平均を比べ、日々の上下は見ない

1行の記録が土台になった

繰り返しになりますが、これがすべての出発点でした。細かく書こうとすると3日でやめるので、「夜:チョコ1枚」くらいで十分です。1か月分並べると、パターンが見えてきます。

買い置きをやめたのが効いた

3番が予想以上に効きました。家にあれば食べます。なければ、食べたいと思ったときに買いに行く必要があります。その数分の間に、だいたい気が変わります。

これは我慢ではなく、判断の回数を減らす工夫だと思っています。毎晩「食べるか食べないか」を決めるのは疲れるので、買い物の時点で1回だけ決めておく。

週1回・4週間平均という測り方

体重は日々0.5kgくらい平気で動きます。毎日測っていた時期、私は増えた日に落ち込んで、そのまま甘いものを食べていました。完全に逆効果でした。

週1回、同じ条件で測って、4週間の平均を前の4週間と比べる。この測り方に変えてから、気分が数字に振り回されなくなりました。数字が動かない週があっても、4週間で見れば傾向が出ます。

要点です。5つのうち4つは、食事制限ではなく記録と環境の調整です。

朝の時間を、整えるほうに使う

最後に、体重の話から少し広げます。私が5年続けられている理由は、朝の時間の使い方が変わったからだと思っています。

朝が軽いと、1日の設計が変わる

飲まなくなって最初に感じた変化が、朝の軽さでした。目覚ましの前に目が覚めて、起きてすぐ頭が動く。この感覚があると、朝に何かをしようという気になります。

私は15分だけ、ノートを書く時間にしました。前日の記録を見返して、今日の夜にやることを1つ決める。これだけです。夜の予定を朝に決めておくと、夕方に疲れているときの判断が減ります。

歩く時間を朝に移した

夕方に歩いていた時期もあったのですが、仕事の都合で流れることが多くて続きませんでした。朝に移したら、流れる日がほとんどなくなりました。

体重への影響を厳密に測ったわけではありません。ただ、続いているという一点で、私にとっては正解でした。続かない工夫は、効果があっても意味がないなと思っています。

数字が動かない時期をどう過ごすか

体重が動かない時期は、今でもあります。そういうときは、体重以外の記録を見るようにしています。朝すっきり起きられた日が何日あったか。夜に決めたことをやれた日が何日あったか。

数字が1つしかないと、そこが動かないときに折れます。見る指標を増やしておくと、続けられる確率が上がるというのが5年やってみて気づいたことです。肝臓の数値そのものについては脂肪肝と禁酒期間をまとめた記事も書いています。

要点です。体重以外の指標を持っておくと、停滞期をやり過ごせます。

よくある質問

禁酒したのに痩せないのはなぜですか

減った分より増えた分が大きい可能性があります。アルコール由来のエネルギーは、度数5%の500ml缶で純アルコール20g、7.1kcal換算で約142kcalという規模です(アルコールのエネルギー(カロリー)|e-ヘルスネット)。一方で、甘いものへの置き換えや夜の間食が増えると、その引き算は簡単に相殺されます。まず食べたものを記録して、増えた項目を特定するところから始めてください。

禁酒してから甘いものが欲しくなります。これは普通ですか

珍しいことではないようです。アルコール使用障害からの回復初期にある成人を対象にした研究では、甘いものへの欲求と摂取が、飲酒への欲求と関連していたことが報告されています(PMID 34493429)。ただし、これは診断を受けた人を対象にした研究なので、すべての人に同じことが起きるとは限りません。私の場合は、買い置きをやめることで頻度が下がりました。

体重はどのくらいの頻度で測ればいいですか

私は週1回、同じ曜日の同じ時間に測っています。毎日測ると日々の変動に気を取られてしまい、数字が増えた日に落ち込んで食べてしまうことがあったからです。4週間の平均を前の4週間と比べる形にすると、傾向がわかりやすくなります。

禁酒しても体重が増えることはありますか

報告としてはあります。アルコール依存の人を6か月追跡した研究では、対照群と比べて体重の増加が大きかったとされています(PMID 15990241)。増加が続く場合や、体調に気になる変化があるときは、自己判断で食事を減らすのではなく医師に相談してください。

おつまみを減らすのと、お酒を減らすのはどちらが先ですか

順番に正解はないと思いますが、私は記録を先にすることをおすすめします。どちらが自分にとって大きい項目かは、記録しないとわからないからです。1週間書いてみて、量が大きいほうから手をつけるのが確実です。

まとめ。増えた分を数えると、次の一手が決まります

禁酒したのに痩せない。この状態にいるとき、私たちはたいてい引き算だけを数えています。飲まなかった日数、やめた缶の数。でも体重は、引き算と足し算の合計で決まります。

私の3か月が動かなかった理由は、アルコール由来の引き算が思ったより小さく、甘いものと夜食という足し算に気づいていなかったからでした。気づいてしまえば、やることは記録と買い物の調整だけです。

そして、数字が動かない時期をやり過ごすには、体重以外の指標を持っておくのが効きます。朝の軽さ、夜に決めたことをやれた日数。5年続けてきて、いちばん役に立っているのはこの考え方かもしれません。

今夜、食べたものを1行だけ書いてみてください。それが、次の一手を決める材料になります。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。