禁酒1年の変化を、正面から答える

「禁酒して1年経つと、何がどう変わるんだろう」。自分がそれを知りたかったのは、断酒を始めてまだ2週間が経っていない夜のことだった。

健診の結果票をテーブルに置き直して、「D判定」という文字をもう一度眺めた。γ-GTPの数値が基準値の3倍を超えていた。40代に入り、毎晩ビール500mlを2缶、10年以上続けてきた生活の積み重ねが、静かに体に刻まれていたんです。その夜から飲むのをやめた。

でもあの頃の自分が本当に知りたかったのは「1年続けたら、どうなるのか」だった。3日坊主にならないよう、先の景色を見ておきたかった。だから今、断酒3年目の自分が、その問いに正直に答えようと思います。

体は、1年かけてゆっくり変わっていった

3ヶ月で「朝」が変わり、1年で「底」が上がった

断酒後の体の変化を実感するのは、最初の数日は正直つらかった。眠れない夜があった。手足がむずむずした。アルコールが長年「睡眠薬」代わりになっていたと、やめてはじめて気づきました。

転機は3ヶ月あたりだった。朝、6時台に目が覚めて「もう少し寝ていたい」と思わない日が来た。飲んでいた頃は毎朝、口の中が乾いていて、頭が鈍く重かった。それが消えた。

1年が経つ頃には、体全体の「底上げ」を感じた。疲れにくくなった、というより、疲れ方が違う感覚がある。昼過ぎに眠気が来なくなった。夜10時を過ぎてもある程度頭が動く。以前は晩酌のあと、どんな本を読んでも内容が頭に残らなかった。今は違う。

数値は「証拠」として残る

1年後の健診で、γ-GTPは基準値内に戻っていた。中性脂肪も下がり、体重は断酒前から4kg減っていた。何かを「頑張って食事制限した」わけではない。毎晩のビールのカロリーと、飲んだ後についつい食べていたおつまみの分が、そのままなくなっただけだったんです。

数値が戻ることで、体の変化が「気のせいではなかった」と確認できる。それが1年という節目の、体への贈り物だと自分は思っています。

節約できた金額と、取り戻した時間

1年で計算すると、想像以上の数字になる

飲酒中の自分は、500ml缶を2本。コンビニや酒屋で買うと1本あたり220〜250円ほど。仮に2本で500円として計算すると、1年(365日)で182,500円になる。週末に外で飲んだ代金は含んでいない。この金額がそのまま手元に残った。

さらに見えにくかった出費がある。飲んだ後のつまみ、翌朝のドリンク剤、胃薬。これらを控えめに月3,000円とすれば、年間36,000円。酒代と合わせて年間20万円以上が、自然と手元に残る計算になった。

この金額を「何かに投資している」と捉えると、見え方が変わります。自分は断酒後の2年目から、積立の枠を少し増やしました。お金の話と断酒は、切り離せない関係だと感じています。気になる方はぜひ投資・節約カテゴリの記事もあわせて読んでみてください。

時間の総量という視点

毎晩の飲酒には、飲む時間だけでなく「翌朝の回復時間」も含まれる。飲んでいた頃は、夜9時から飲み始め、だらだらと11時過ぎまで過ごすことも多かった。翌朝は体が重く、何かをする気力が起きるまで1〜2時間かかった。

単純計算で、夜の2時間+翌朝1時間=1日3時間。365日で換算すると、年間1,095時間。これは45日分に相当する。その時間が戻ってくると言うよりも、「もともとあった時間を初めて使えるようになった」感覚だった。

何かを成し遂げるために使う必要はない。本を読んでも、散歩してもいい。ただ、その時間が「素面のまま、自分のために存在している」という感覚は、以前にはなかったものだったんです。

気持ちの変化は、1年後に「静かに気づく」ものだった

感情が「ぶれにくく」なった

飲んでいた頃は、仕事でうまくいかないことがあると「今夜は飲もう」と思っていた。飲むことが感情の処理装置になっていた。それをなくしたとき、最初は不安だった。何かに逃げ込む場所がなくなるような気がした。

でも1年経つ頃には、その「逃げ場」がなくても平気になっていた。むしろ、感情をアルコールでなだめないことで、何が自分を不快にさせているのかが、はっきり見えるようになった。問題を問題として認識できるようになった、と言い換えてもいい。

「また飲んでしまった」日があっても、1年は続く

正直に書く。自分の断酒の道のりは、完璧な直線ではなかった。1年目の途中に、仕事の飲み会でビールを1杯飲んだ夜があった。その翌朝、後悔と向き合いながら「今日からまた始めよう」と決めた。再飲酒から立て直した経験については、別の記事でも書いたことがあります。

1年という数字は「ノーミスで続けた証明」ではなく、「それでも続けようと選び続けた時間の総量」だと、自分は思っています。誰かの1年も、きっとそれと同じはずです。

1年目の終わりに見えた景色

断酒から365日目の夜、自分は何か特別なことをしたわけではなかった。いつもと同じように夕食を食べ、本を読み、10時過ぎに寝た。ただ、「1年前の自分は毎晩ここでビールを開けていたんだな」とふと思った。

遠い過去のことのように感じた。それが、1年という時間が体と気持ちに与えた変化の、いちばん正直な表現です。

禁酒1年の変化を探している方へ。体の数値、節約できたお金、取り戻した時間、感情のぶれ幅——これらは全部、1年という時間が積み上げてくれたものです。最初の1日から、それはすでに始まっています。

※本記事は一般情報であり、医療的助言ではありません。飲酒に関わる健康上の問題や離脱症状が疑われる場合は、医療機関にご相談ください。