結論から言うと、減酒の最初の一手は、飲む回数を減らすことより先に、一杯の大きさと度数を知ることでした。純アルコール量は「量×度数×0.8」で計算でき、同じ「ビール1本」でも缶の大きさで中身が変わります。以前は気にもしていませんでしたが、健診でγ-GTPが基準値の2倍を超え、医師から減酒の指導を受けたことをきっかけに、はじめて計算してみました。今は週3日の休肝日を設け、飲む日は1日2杯までで運用しています。ちなみに、「器や缶が小さいと量が減る」という話は、食べ物や清涼飲料では72件の無作為化比較試験をまとめた英国のレビューで、大きい容器ほど多く摂る傾向が示されています。ただし、お酒についての試験は含まれておらず、アルコールの缶や杯の大きさが量を変えるかは、まだ根拠が足りないと整理されています。出典: Hollandsら, Cochrane Database Syst Rev 2015 (DOI 10.1002/14651858.CD011045)。だからこそ、私は思い込みではなく計算で確かめることにしました。目安にしたのは、厚生労働省e-ヘルスネットのパンフレットにある早見表です。ビール500ml(5%)が純アルコール20gに当たる、という基準から考えはじめました。出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコール20g(1合)とは? アルコール量の計算式」。
健診結果を手にした夜の台所
冷蔵庫の前で缶の裏を読んだ
その夜、私は冷蔵庫の前で、缶の側面に印字された数字を初めて真剣に読みました。「アルコール分5%」「内容量500ml」。以前は「ビール1本」と数えていた中身が、数字で見えた瞬間でした。
妻に笑われながら、スマートフォンの電卓で計算してみました。厚生労働省のガイドラインでは、純アルコール量(g)は、摂取量(ml)×アルコール濃度(度数÷100)×0.8で求めるとされています。500ml×0.05×0.8で20gです。出典: 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」。
「2杯まで」が2杯ではなかった
以前の私は、晩酌は「缶ビール2本」と決めているつもりでした。ところが、500mlの缶で2本なら、純アルコール量は40gです。ガイドラインでは、生活習慣病のリスクを高める量を、1日あたり男性40g以上、女性20g以上としています。同じ文書に、この量は個々人の許容量を示すものではない、との注記もあります。つまり私の「2本まで」は、目安の上限ちょうどでした。
要点: 「ビール何本」ではなく、缶の裏の量と度数から純アルコール量を出して、はじめて自分の飲み方が見えます。
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缶のサイズと度数で、中身はこう変わる
同じ一杯でも、数字は違う
私が最初に作った早見表です。すべて同じ計算式で出しています。
飲み物 | 量と度数 | 純アルコール量 |
|---|---|---|
ビール ロング缶 | 500ml・5% | 20g |
ビール 通常缶 | 350ml・5% | 14g |
チューハイ 缶 | 350ml・9% | 約25g |
チューハイ 缶 | 350ml・3% | 約8g |
図: 飲料ごとの純アルコール量(度数9%の350ml缶が約25gになる点は e-ヘルスネットのパンフレットと同じ値)。(厚生労働省ガイドラインの式 量×度数×0.8 で算出)
350mlと500mlの差は6gです(量×度数×0.8の式による計算。出典: 厚生労働省ガイドライン)。度数9%の350ml缶は、約25gで、500mlのビールの20gより多くなります(出典は上記のパンフレットです)。「小さい缶だから軽い」という思い込みは、数字で崩れました。
缶チューハイは甘くて飲みやすい分、度数の表示を見落としがちです。私も以前は、ジュースのような感覚で2本目を開けていました。度数が9%の350ml缶なら、1本で500mlビールを超えます。この数字を知ってからは、買い物のときに度数の欄を先に見るようになりました。
厚生労働省のパンフレットには、減酒のコツとして、飲酒の合間に水や炭酸水、ノンアルコール飲料を飲むこと、週に数日はノンアルコール飲料に置き換えること、周囲に減酒していることを伝えることなどが挙がっています。出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット。私が自然に始めていた工夫の多くは、この中に入っていました。
見直しの順番を3つ決めた
私はこんな順番で見直しました。
- まず、缶の裏で量と度数を確認して、純アルコール量を出す
- 次に、一杯の大きさを小さくする(500mlを350mlへ)
- それでも物足りない日は、度数の低いものや、ノンアルを挟む
回数を減らす前に、一杯の中身を変えたほうが、我慢している感覚が少なく済みました。
要点: 度数と量の掛け算で、小さな缶でも多い場合があります。まずは数字で見るのが先です。
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数字の根拠を、研究で確かめてみた
私は数字に弱いほうですが、納得しないと続かない性格なので、医師に勧められて研究も読みました。2018年に発表された、19か国83の研究にもとづく約60万人の飲酒者のデータの解析では、死亡リスクがいちばん低い飲酒量の目安は、週およそ100g以下とされています。出典: Wood AMら, Lancet 2018 (PMID 29676281)。
週100gというのは、500mlビール換算(1本20g)で週5本分です。国や集団が違うので、そのまま自分に当てはめられるわけではありませんが、「毎日2本」がどれだけ多いかを実感するには十分でした。
要点: 研究の数字は目安であって、自分の基準ではありません。それでも現在地を知る助けになります。
続けるための、小さな工夫
家族に宣言しておくと、気持ちが楽になった
妻には「今日は1本」と先に伝えるようにしました。監視されるのではなく、宣言した時点で自分の中の線が引かれる感覚です。休日の昼からの一杯も、数字で線を引いておくと罪悪感が減りました。
グラスを替えると量が変わった
缶から直接ではなく、小さめのグラスに注ぐようにしました。見た目の満足感が保てて、注ぐ手間が一呼吸を作ってくれます。
飲まない日の過ごし方を決めておく
休肝日の夜は、炭酸水に柑橘を絞って、ゆっくり夕食をとります。以前は「休肝日は物足りない」と思っていましたが、してみると、翌朝の体が違うことに気づきました。もちろん個人の体感で、効果を断定するものではありません。
よくある質問
減酒は、飲む回数と量のどちらを先に見直すべきですか。
私は量と度数から始めました。回数を減らすより負担が小さく、続けやすかったからです。ただし、健診で指導を受けている方は、医師の指示を優先してください。
小さい缶に替えても、結局2本飲んでしまいませんか。
その可能性はあります。私は飲む前に本数を決め、飲み終わりの時刻も決めています。守れない日があっても、翌日に取り戻そうとしないことが続けるコツでした。
度数の低いお酒なら、たくさん飲んでもよいですか。
量が増えれば、純アルコール量も増えます。度数×量で確認するのが確実です。
今夜、缶の裏を見てください
今夜は、手元の缶の側面を見て、量と度数を電卓に入れてみてください。数字を一度見るだけで、明日の一杯が少し変わるはずです。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。

