「疲れているのに眠れない」が、当たり前だった
以前は、仕事終わりにビールを2缶空けてから晩酌のウイスキーを何杯か——そんな夜が週に5日以上続いていました。「疲れているのだから、お酒で緩めないと寝られない」と本気で思っていたのです。ところが実際には、翌朝のアラームに対して体が全然ついてこない。8時間横になっていても「寝た気がしない」という感覚が常態化していました。
転機は1年ほど前の定期健診です。γ-GTPが基準値(男性では50 U/L以下とされることが多い)の2倍を大きく超えていました。担当医から「量と頻度を整えましょう」と言われ、週3日の休肝日と1日あたり2杯までというルールを自分に課すことにしました。「量を整える」という選択です。完全にやめるのではなく、整える。それが私の出発点でした。
節酒ルールを続けて気づいた「疲れの抜け方」の変化
休肝日の翌朝、体が軽い
最初の変化に気づいたのは、節酒を始めて3週間ほど経ったころでした。休肝日の翌朝、布団から出るときの「よいしょ感」が明らかに違う。以前は起き上がるだけで肩や首に鈍い重さがあったのですが、それが薄れていました。最初は「たまたまかな」と思っていたのですが、それが毎週の休肝日後に繰り返されるとさすがに「法則がある」と感じ始めました。
お酒を飲んだ夜は、肝臓がアルコールを分解する作業に集中します。その過程で生じるアセトアルデヒドの処理も加わるため、就寝中の内臓は実質「夜勤明け」の状態に近い。一方、飲まない夜は肝臓が本来の「修復・代謝サポート」に使えるリソースが増えます。この差が翌朝の体感に出てきているのだと、私なりに解釈しています。
1日2杯ルールが「疲れを引きずらない週」をつくった
飲む日も1日2杯と決めると、深夜まで飲み続けることがなくなりました。当然、就寝時刻が30〜40分ほど早くなりました。たったそれだけ、と思うかもしれませんが、週に4日の飲酒日でこの差が積み上がると、週の後半に向けて「疲れが溜まっていく感じ」が明らかに減りました。以前は木曜・金曜になると頭が重くて集中力が落ちる——そういう週の後半ダレがほぼなくなったのです。
数値の変化:γ-GTPと健診結果の正直な記録
3か月後の中間チェック
節酒開始から3か月後に医師に相談を兼ねて受けた血液検査では、γ-GTPが当初の値からおよそ3割ほど低下していました。まだ基準値内には収まっていませんでしたが、担当医からは「しっかり整ってきている」と言ってもらえた記憶があります。数値が動くと、続ける理由が明確になります。これは私にとって大きかった。感覚だけでなく、「データが味方してくれている」という手応えです。
6か月・1年のタイミングで見えてきたこと
半年後の健診では、γ-GTPが基準値内に収まりました。ALT(GPT)も以前は少し高めでしたが、こちらも基準範囲内に落ち着いてきました。体重は節酒開始から1年で約2.5kg減っています。意識してカロリーを制限したわけではなく、純粋に夜の飲酒量が減ったことで「飲みながらつまむ」機会が自然に減ったためだと思います。
ただ、数値改善のペースや程度は個人差が大きく、私の経験がそのまま誰かに当てはまるわけではありません。あくまで「こういう変化があった一例」として読んでいただければと思います。
朝の目覚めが整うと、日中の選択が変わる
朝の30分が「余白」になった
以前は起床後にシャワーを浴びてもぼんやりしたまま家を出る、という朝でした。今は少し早めに起きて、白湯を飲みながら5分ほど窓の外を眺めることができています。「朝活」と呼ぶほど大げさなものではありませんが、この余白があるかどうかで、午前中の仕事の入り方がずいぶん変わります。
目覚めの質が上がると、朝に「今日どう動くか」を考える余裕が生まれます。そうすると昼食の選択も少し丁寧になり、夕方に「疲れたからとにかく飲もう」という衝動が減る。節酒が朝を整え、朝が日中を整え、日中が夜の選択を整える——という小さな好循環が回り始めた感覚があります。
50代の体は「積み上げ」に正直に反応する
30代のころは多少無理をしても翌日に戻せていました。ところが50代になると、そのリカバリーに時間がかかるようになっていました。節酒を続けてわかったのは、50代の体は「悪い積み上げ」にも「いい積み上げ」にも、どちらにも正直に反応するということです。週3の休肝日と1日2杯というルールは、ドラスティックな変化ではありません。でも、それを続けた1年分の積み上げが、今の「疲れの抜け方」と「朝の目覚め」の変化につながっていると実感しています。
「整える」は、やめることより続けやすい
節酒を選んだのは、完全にお酒をなくすためではありません。週に数回、好きなお酒を1〜2杯楽しむ時間は、今も私の大切な夜の一コマです。ただ、以前との違いは「量と頻度を意識して選んでいる」という点です。飲む日も飲まない日も、自分で決めているという感覚があるだけで、お酒との関係が少し軽やかになりました。
健診の数値をきっかけに始めた節酒でしたが、気づけばγ-GTPの改善よりも「朝の目覚め」や「週後半の疲れのなさ」のほうが、続けるモチベーションになっています。体が整ってきたことを、体自身が教えてくれる。そういう手応えが、一番の励みです。
もし今、健診の数値が気になっている方や「飲み方を少し見直そうかな」と思っている方がいれば、まず主治医に相談することをおすすめします。私の場合も、医師の指導のもとでルールを決めたことが、無理なく続けられた理由のひとつだったと思っています。
※本記事は一般情報であり、医療的助言・診断・治療の推奨を目的とするものではありません。体調や数値に不安のある方は、必ず医療機関にご相談ください。




