健診の数値が「本気のサイン」を出していた
昨年の春、職場の定期健康診断の結果を手にしたとき、正直ぎょっとしました。γ-GTPの値が148 U/L。基準値の上限が50 U/L前後ですから、ざっくり3倍近い数字です。「以前は少し高め、という程度だったのに」と、自分でも驚きました。
主治医からの言葉は穏やかでしたが、明確でした。「お酒を減らしましょう。やめなくていいですから、量と頻度を整えてみてください」。その日から私の節酒生活が始まりました。ルールはシンプル——週3日は休肝日、飲む日も1日2杯まで。
1年後の健診でγ-GTPは62 U/Lまで下がりました。まだ基準値内とは言えませんが、それでも半分以下。数値が動いたことよりも、その過程で体に起きた「静かな変化」のほうが、私には印象的でした。
血圧が「じわじわ」落ち着いてきた
以前の私の血圧パターン
節酒を始める前、自宅での朝の血圧は収縮期140〜148 mmHgあたりをうろうろしていました。「高め正常」と自分に言い聞かせていましたが、内心では気になっていた数字です。アルコールには一時的に血管を拡張させる作用がある一方で、習慣的な飲酒は長期的に血圧を上げる方向に働くとされています。
飲んだ翌朝に計ると特に高く、150 mmHg台になることもありました。「たまたまだろう」と片付けていましたが、記録してみると明らかに飲酒日の翌朝はスコアが悪い。データは嘘をつきません。
週3休肝を3か月続けたころから変わり始めた
休肝日を設けてから約3か月、朝の血圧計の数字が130〜136 mmHgあたりに落ち着いてきました。「整ってきた」という感覚が数値に現れた瞬間です。1年が経った今は、安定して128〜134 mmHg前後で推移しています。
もちろん食事や運動など他の要因もあるとは思います。ただ、休肝日の翌朝と飲酒日の翌朝を比較すると、今でも5〜8 mmHgほどの差が出ます。「量を整えるだけでここまで変わるのか」と、数値を見るたびに実感しています。
睡眠の「質」が変わった——深さが違う
お酒は「寝つき」ではなく「眠り」を変える
以前は、晩酌をすると寝つきが早くなると感じていました。それは今も同じです。ただし、違うのは眠りの深さと朝の感覚。以前は夜中に1〜2回目が覚めるのが当たり前でした。トイレに起きる、喉が渇く、何となくまた眠れない——そういった夜が続いていました。
アルコールは体内で分解される際にアセトアルデヒドを生成し、これが睡眠の後半にかけて覚醒作用をもたらすことが知られています。「飲むと眠れる」のは前半だけの話で、後半の睡眠の質を下げているというわけです。
休肝日の翌朝は「頭が違う」
節酒を始めてしばらくすると、休肝日明けの朝に明確な違いを感じるようになりました。目覚めがひとつ、スッと来る感じとでも言えばよいでしょうか。以前は「二度寝したい」「もう少し」と布団から出るのが億劫でしたが、休肝日の翌朝は自然に起き上がれることが多くなりました。
スマートウォッチのデータで確認しても、飲酒日と休肝日とでは深睡眠の比率に差があります。こういう数値と体感が一致すると、「やっぱりそうだったか」という妙な納得感があります。週3日の休肝日は、週に3回、良質な朝を手に入れる日でもある——そう考えるようにしてから、休肝日が苦ではなくなりました。
「2杯の上限」が教えてくれた"飲む楽しさ"の再発見
正直に言うと、最初は「2杯まで」という制限が窮屈に感じました。以前は缶ビール2〜3本に加えて焼酎を1〜2杯、というのが標準的な晩酌でしたから、2杯というのはかなりの変化です。
ところが、しばらく続けてみると感覚が変わってきました。1杯目の美味しさに集中できるようになったのです。以前は量を飲むうちに味よりも「惰性」で飲んでいる時間が長かった気がします。上限を決めてからは、その2杯を選ぶ、味わう、楽しむという行為にきちんと意識が向くようになりました。
「量を減らす=楽しみが減る」ではなく、「量を整える=1杯の価値が上がる」という感覚。これは数値では測れませんが、私にとって節酒生活の中で一番うれしい副産物でした。
1年後の私が「整った」と感じる3つの指標
数値で見えた変化
- γ-GTP:148 → 62 U/L(節酒開始前→1年後健診)
- 朝の収縮期血圧:140〜148 → 128〜134 mmHg(平均値として)
- 深睡眠の比率:約12% → 約18%前後(スマートウォッチ計測・目安値)
体感で感じた変化
- 朝、頭がクリアで「今日何をするか」がすぐ浮かぶ
- 午前中の集中力が以前より続く感覚がある
- 夕方にどっと疲れる「エネルギーの谷」が減った
これらはすべて「お酒をやめた」のではなく、「量と頻度を整えた」だけで起きた変化です。私は今でも週4日は飲みます。付き合いの席も断りません。ただ、2杯で止める。翌日、また数値を確認する。その繰り返しが、じわじわと体を整えてくれた1年でした。
健診の数字が動いたとき、主治医が言いました。「こういうふうに自分のデータを見ながら生活を整えていける人は、ちゃんと続きますよ」。その言葉が、今も私の節酒の一番の燃料です。
※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。健康上の不安や具体的な数値の改善については、必ず医療機関にご相談ください。


