アルコールが抜ける時間は「純アルコール量÷(体重×0.1)」で目安が出ます
結論から言うと、アルコールが抜ける時間の目安は、純アルコール量(g)を「体重(kg)×0.1」で割れば出ます。たとえば体重60kgの人がビール500ml(純アルコール20g)を飲んだ場合、20÷6で約3.3時間です。ただし、これは分解酵素が正常に働くと仮定した計算上の目安で、実際の抜け方には個人差があります(山口県・久里浜医療センターの資料)。
健診でγ-GTPが基準値の2倍を超え、医師から減酒の指導を受けた50代の私も、最初は「何時間で抜けるのか」を知りたくて計算機を探しました。ところが、計算機の多くは式の中身が見えません。この記事では、計算機がなくても紙とスマートフォンの電卓で出せるよう、手計算を3つのステップに分けて説明します。
あわせて、早見表、計算が当てはまらない条件、運転や翌朝の予定に使うときの注意も整理します。
要点: 抜ける時間は「純アルコール量÷(体重×0.1)」で目安が出ます。ただし、個人差のある計算上の数字です。
関連記事: 20gは5時間、14gは3.5時間。アルコール分解時間の早見表と、表が当てはまらない5つの条件
前提を整理します、「抜ける時間」とは何を指しているのか
計算で求めているのは「分解に必要な時間」です
まず言葉をそろえます。ここで「抜ける時間」と呼んでいるのは、飲んだお酒に含まれる純アルコールを、体が分解し終えるまでにかかる時間の目安です。血液や息からアルコールが検出されなくなる時間とおおむね同じ方向の話ですが、検査で「ゼロ」になることを保証する数字ではありません。
計算機が出す数字は、あくまで理論式による試算です。検査値や法的な判断の代わりにはならないと考えてください。
純アルコール量とは、お酒に含まれるアルコールそのものの重さです
純アルコール量は、お酒の量ではなくアルコールの重さ(g)で表したものです。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」には、「純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数÷100)×0.8(アルコールの比重)」という式が載っています。同じ資料の例では、500ml・5%のビールは500×0.05×0.8で20gです。
ここが計算のスタート地点です。ビール500mlと日本酒1合では体積も度数も違いますが、純アルコール量にそろえれば同じ物差しで比べられます。
体重あたりの分解量が、計算の中心になります
次に必要なのが、1時間にどれだけ分解できるかという数字です。山口県教育委員会と久里浜医療センターが作成した飲酒運転対策プログラム「適切な飲酒習慣」には、「一般的に、アルコールの分解能力は、1時間当たり、体重1kgにつき0.1gといわれています」と書かれています。体重65kgなら1時間に6.5g、50kgなら5gという計算例も載っています。
つまり、体重が重いほど分解速度の目安は大きくなります。この数字が、次の章で使う式の中心です。
要点: 必要な数字は2つだけです。お酒の純アルコール量と、体重から出す1時間あたりの分解量です。
関連記事: 飲む時間を決めると量が決まる。夜の飲酒を見直す5つのチェック項目
手計算の3ステップで、自分の「抜ける時間」を出します
将来、計算ツールを作るときにもそのまま使えるよう、式は変えずに書いておきます。
ステップ1 飲んだお酒の純アルコール量を出す
式は「量(ml)×度数÷100×0.8」です。厚生労働省のガイドラインの式をそのまま使います。
お酒 | 量と度数 | 純アルコール量 |
|---|---|---|
ビール | 350ml・5% | 14g |
ビール | 500ml・5% | 20g |
チューハイ | 350ml・7% | 19.6g |
日本酒 | 180ml(1合)・15% | 21.6g |
ワイン | 120ml・12% | 11.5g |
ウイスキー | 60ml(ダブル)・40% | 19.2g |
図: 主なお酒の純アルコール量(厚生労働省ガイドラインの式「量×度数÷100×0.8」で算出)
複数の種類を飲んだ場合は、それぞれ計算して足し合わせます。最初のビール500mlと、あとから飲んだ日本酒1合なら、20gと21.6gで約41.6gです。
ステップ2 体重から、1時間あたりの分解量を出す
式は「体重(kg)×0.1」です。出典は先ほどの山口県・久里浜医療センターの資料です。
- 体重50kgの人は、1時間に5g。
- 体重60kgの人は、1時間に6g。
- 体重70kgの人は、1時間に7g。
- 体重80kgの人は、1時間に8g。
同じ資料には、アルコール医学の分野で推奨される基準として「1時間当たり4gの分解能力」という考え方も紹介されています。こちらは個人差を見込んだ安全側の見積もりで、20gなら5時間という計算になります。
ステップ3 純アルコール量を分解量で割って、時間を出す
式は「時間(h)= 純アルコール量(g)÷ 1時間の分解量(g)」です。最後に割り算をするだけです。
体重 | 1時間の分解量 | 20gの分解時間 | 40gの分解時間 |
|---|---|---|---|
50kg | 5g | 4.0時間 | 8.0時間 |
60kg | 6g | 3.3時間 | 6.7時間 |
70kg | 7g | 2.9時間 | 5.7時間 |
80kg | 8g | 2.5時間 | 5.0時間 |
安全側の基準(4g/時) | 4g | 5.0時間 | 10.0時間 |
図: 体重別の分解時間の目安(体重×0.1gの式と、1時間4gの基準で算出)
最後の行の「安全側の基準」は、体重にかかわらず1時間4gで計算した場合です。翌朝の予定を考えるときは、この行の数字を見るほうが無難です。
要点: 3ステップは「純アルコール量を出す」「体重×0.1を出す」「割る」です。迷ったら安全側の行を見ます。
関連記事: 飲んでしまった翌朝、最初に何をするか。断酒3年の私が先に決めてある4つの順番
手順を使いこなす、早見のコツと実際の使い方
夜の飲酒に当てはめて、終わりの時刻を逆算します
計算結果は、「何時に飲み終えれば、何時ごろ分解が終わる目安か」という逆算に使うと便利です。たとえば体重70kgの人が22時にビール500ml(20g)を飲み終えたとすると、2.9時間後の1時前後が目安です。安全側の基準で見るなら5時間後で、3時ごろになります。
睡眠中は肝臓の活動が低下して分解が遅くなる、という注意も山口県の資料にあります。寝ている間は計算どおりに進まないかもしれない、と見込んでおくほうが安全です。
複数杯の場合は、全部の合計で計算します
1杯ずつ「3時間」「3時間」と足すのではなく、最初に純アルコール量を合計してから、最後に一度だけ割ります。同じ結果になりますが、途中で端数が出にくく、間違いが減ります。
計算結果を、翌日の予定表に置き換える
私は計算結果を見て、翌朝に運転や大事な会議があるかどうかで飲む量を決めています。数字を出しておくと、「今日は2杯までにしておこう」という判断が、気分ではなく根拠に変わります。
要点: 合計してから割ります。睡眠中は遅くなる前提で、逆算には余裕を持たせます。
計算を実際に使う、減酒指導を受けた私の場合
私は50代の男性で、健診のγ-GTPが基準値の2倍を超え、医師から減酒の指導を受けました。それ以来、週に3日は飲まない日を作り、飲む日は1日2杯までという運用を続けています。
この運用に、計算式はとても役に立ちました。たとえばビール350ml(14g)を2杯飲む日なら、合計は28gです。体重70kgの人の目安なら、28÷7で4時間。安全側の基準で見れば7時間です。これを知ってから、「1杯を足すと、抜ける時間がこれだけ延びる」と実感できるようになりました。
以前は「飲んだ翌朝は、なんとなく大丈夫だろう」と考えがちでした。ところが、数字で見ると、夜遅くまで飲んだ日の翌朝は、まだ分解が終わっていない可能性が高いと分かります。体感ではなく数字で判断するようになってから、飲む時刻も自然と早まりました。
なお、私の体重や検査値の詳細はここでは伏せます。大切なのは、読者のみなさんが自分の体重で、同じ手順を試してみることです。
要点: 数字を出すと、1杯の重みが時間で見えます。体感ではなく計算で判断する習慣が、減酒の助けになります。
計算を週の予定に広げる、1回の時間から「週の総量」へ
1日の時間が分かると、週の飲み方が決めやすくなります
ここまでは「1回の飲酒が抜ける時間」の話でした。私は減酒を続けるうちに、この計算を「1週間の設計」にも使うようになりました。1日の純アルコール量が分かれば、週の合計も足し算で出せるからです。
厚生労働省のガイドラインには、大腸がんについて、1日あたり純アルコール量20g程度(週150g)以上の飲酒を続けると発症の可能性が上がるという研究結果が示されています。この資料の表では、大腸がんの研究結果の欄が男女とも「150g/週(20g/日)」になっています。
たとえば、週3日は飲まず、残りの4日はビール350ml(14g)を2本ずつ飲むとします。1日28g、週4日で112gです。ガイドラインにある150gという数字と比べて、自分の週がどのあたりにあるかを確認する材料になります。もちろん、この数字だけで健康への影響が決まるわけではありません。あくまで自分の位置を知るための物差しです。
抜ける時間の合計も、週のカレンダーに書き込めます
純アルコール量が28gの日は、体重70kgの目安で4時間です。夜に飲み終える時刻と、翌朝の予定を並べると、「この日は2杯、この日は1杯」という配分が見えてきます。私はスマートフォンのカレンダーに、飲む日の純アルコール量と飲み終えた時刻を書き込んでいます。書き込むだけでも、気づきが増えます。
飲む前に確認するチェックリスト
- 今日飲むお酒の量と度数を確認した。
- 純アルコール量を「量×度数÷100×0.8」で出した。
- 自分の体重で、1時間の分解量(体重×0.1)を出した。
- 割り算をして、時間の目安を出した。
- 安全側の基準(1時間4g)でも時間を出した。
- 翌朝に運転や大切な予定がないか確認した。
- 今週すでに飲んだ分と合わせて、週の合計を見た。
要点: 1回の計算を足し合わせれば、週の総量も出せます。カレンダーに書くと、配分が見えるようになります。
運転や仕事の前に使うときの注意
計算で「抜けた」と判断して運転することはおすすめしません
この計算は、理論上の目安です。山口県の資料にも、分解酵素が正常に働くものとした場合の計算であり、同じ体重でも個人差があると書かれています。そのため、計算で「もう抜けたはず」となっても、運転や機械の操作の前には、飲んだ後は運転しないことを原則にしてください。
前日の飲酒を、翌朝の予定から逆算します
使い方として安全なのは、「翌朝の予定があるから、前日は何時までに、どれだけに抑えるか」を決めるために計算することです。抜けた時間を確認するためではなく、飲む量と時刻を決めるために使う、という順番にすると、無理のない判断になります。
要点: 計算は「抜けたと判断する」ためではなく、「飲む量と時刻を決める」ために使います。
計算が当てはまらない条件と、よくある誤解
分解酵素の強さは人によって大きく違います
厚生労働省のガイドラインには、アルコールを分解する酵素の強さは遺伝子で決まり、人によって大きく異なると書かれています。弱い人は顔が赤くなるフラッシング反応が出ることがあり、日本ではその傾向を持つ人が約41%とされています。
山口県の資料でも、この計算は分解酵素が正常に働くものとした場合のもので、同じ体重でも個人差があるとされています。体質的に分解が遅い人は、計算より長く残る前提で考えてください。
性別・年齢・体調で、結果は変わります
同じガイドラインには、女性は一般に体内の水分量が少なく、男性より分解できるアルコール量も少ないとされていること、高齢者は同じ量でも酔いやすくなることが書かれています。計算式は体重だけを使いますが、性別や年齢、その日の体調で結果は前後します。
- 睡眠不足や疲れがあるとき。
- 空腹で飲み始めたとき。
- 薬を飲んでいるとき。
これらのときは、計算より余裕を持って見てください。薬との関係は、医師や薬剤師に確認するのが確実です。
「水を飲めば早く抜ける」「汗をかけば抜ける」は誤解です
分解は主に肝臓で進みます。水を飲んだり、サウナで汗をかいたりしても、分解のスピードは変わりません。水を飲むことは、脱水を防ぐという意味では有益ですが、抜ける時間の短縮にはなりません。
要点: 計算は体重だけの目安です。体質・性別・年齢・体調で前後し、水や汗では速まりません。
よくある質問
アルコールが抜ける時間を計算機なしで知る方法はありますか
あります。純アルコール量を「量(ml)×度数÷100×0.8」で出し、体重×0.1の分解量で割れば、目安の時間が出ます。この記事の3ステップがそのまま使えます。
一晩寝れば、翌朝には抜けていますか
量と飲んだ時刻によります。計算上の目安は、20gなら体重によって約2.5〜5時間です。ただし、睡眠中は肝臓の活動が低下して分解が遅くなるとされています。飲み終えた時刻から逆算して、余裕を見てください。
計算で「もう抜けた」となれば、運転しても大丈夫ですか
おすすめしません。この計算は、分解酵素が正常に働くと仮定した理論上の目安で、個人差があります。運転や重要な作業の前は、計算に頼らず、飲んだ後は運転しないことを原則にしてください。
計算結果が自分の体感と合いません
体質、体調、食事の有無などで実際の分解は変わります。体感のほうが重い場合は、体感を優先してください。気になる場合は、かかりつけ医に相談するのが確実です。
まとめ、今夜は「純アルコール量」から計算してみてください
アルコールが抜ける時間は、「純アルコール量÷(体重×0.1)」で目安が出せます。今夜は缶やボトルの度数と量から純アルコール量を出し、自分の体重で割ってみてください。出た数字を、明日の予定表の横にメモしておくと、飲む量を決める根拠になります。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。

