「冷え性がひどくなった気がする」と思い込んでいた日々
振り返ってみると、30代後半のあの頃、私はずっと「冷え性体質だから仕方ない」と思っていました。特に手首から先、指の第一関節あたりがいつもひんやりしていて、夏でもデスクワーク中はブランケットが手放せない。冬なんて、お風呂から上がって10分もしないうちに指先がもとの冷たさに戻ってしまう感覚。
当時の私のノートを見返すと、「今日も指先が冷たい」「足首より手のほうが気になる」という書き込みがちらほら出てきます。同じページに「夕食後にワイン1杯」「帰宅後にビール350ml」といった記録も並んでいて、今見ると「あ、つながってたんだな」とすぐわかる。でも当時の私には、そのつながりがまったく見えていなかったんです。
アルコールと末梢血流の意外な関係
飲んだ直後は「温かい」のに、その後が問題
お酒を飲むと体がポカポカする、という感覚は多くの人が知っていると思います。あれは血管が一時的に拡張するから。でも、5年やってみて気づいたのは、この「一時的な拡張」のあとに起こることのほうが、冷えにとってはずっと大事だということです。
アルコールには利尿作用があり、体内の水分を排出しやすくします。血液の流動性には水分が深く関わっているため、脱水気味の状態では末梢——特に手先・足先——への血流が滞りやすくなります。加えて、アルコールの代謝が落ち着く夜中から明け方にかけて、体温調節がうまくいかなくなることも。「飲んだ夜は布団に入っても指先だけ冷たい」という感覚、私も何度もノートに書いていました。
ホルモンバランスとの二重の影響
40代という年齢を考えると、ホルモンバランスの変化も冷えに影響しています。エストロゲンの揺らぎは末梢血管の収縮・拡張をコントロールする自律神経に作用するため、更年期前後の女性は冷えを感じやすい時期でもある。そこにアルコールによる体温調節の乱れが加わると、冷えが「体質」のせいだけではなくなってくる——。断酒してしばらく経ってから、ああそういうことだったのかと腑に落ちた感覚は今でも覚えています。
断酒1年目〜3年目、ノートが記録した変化
「あれ、今日は温かいかも」という小さな発見
断酒して最初の冬、劇的な変化があったわけではありません。ただ、ノートをつけていると「今日は夕方まで指先が冷えなかった」という書き込みが、少しずつ増えていきました。それまでは「冷えなかった日」を記録する習慣すらなかったくらい、冷えが"デフォルト"になっていたんです。
2年目の冬には、就寝前に指先を触ってみて「今日はそこそこ温かいな」と感じる日が明らかに増えてきました。水分をちゃんと摂る、夕食後のルーティンが安定する、夜中に起きる回数が減る——こういった変化が重なって、末梢まで血流が届きやすくなっていたのかもしれません。
3年を過ぎて「冷え体質」という言葉をやめた
5年やってみて気づいたのは、私が「冷え性」だと思っていたものの少なくとも一部は、生活習慣——そのなかでもお酒——と深く結びついていたということ。3年を過ぎたあたりから、ノートの「冷えた」という記録の頻度がぐっと減って、代わりに「今日は手がずっと温かかった」という書き込みが増えました。体質のせいにしてあきらめていたことが、整えられるものだったんだなって思うんです。
冷えを「整える」日常の小さな習慣
断酒そのものに加えて、私がノートで効果を実感した習慣をいくつかシェアします。あくまで私個人の記録ベースですが、同じように冷えを気にしている方のヒントになれば。
- 夕食後にぬるめのお白湯を1杯:就寝前の水分補給として。利尿作用のある飲み物を控えた分、意識的に水分を補うようにしました。
- 就寝1時間前の「手首ぐるぐる」:手首を10回ゆっくり回すだけのシンプルな動き。末梢の血流を少し促す感覚があって、ノートに「今日は温かく眠れた」と書いた日と重なることが多い。
- 翌朝の指先チェックをノートに記録:起床直後に指先の温度感を一言書くだけ。「冷たい」「ふつう」「温かい」の3択でOK。記録が続くと、生活との相関が見えてきます。
- 夕食の塩分を少し控える:塩分の摂りすぎが血管の緊張につながることがあるため、夕食は薄味を意識。お酒のおつまみが減った分、自然と塩分も落ち着いてきた副次効果でもあります。
「体質だから」とあきらめていたものが、動き出す感覚
5年間、ノートをつけてきて一番よかったのは、変化を「自分で発見できる」ことだと思っています。誰かに言われるわけじゃなくて、自分のノートが教えてくれる。「あ、今週は指先が温かい日が多い」「この習慣を始めた週から記録が変わってる」——そういう気づきが、整えることの楽しさになっていく。
冷えって、なんとなく「女性の宿命」みたいに語られがちですよね。私もずっとそう思っていました。でも振り返ってみると、宿命じゃなくて、選択肢だったんだなって思うんです。何を飲むか、どんな夜を過ごすか。その小さな選択の積み重ねが、指先の温度という形でちゃんと返ってきてくれた5年間でした。
「冷えが気になる」という方、よかったら今夜の選択から、ちょっとだけノートをつけてみてください。変化は必ずあります。ただ、記録していないと気づけないだけで。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。冷えや血行に関する症状が気になる場合は、医療機関にご相談ください。


