お酒を減らすと疲れにくくなるのか、研究でわかっていることとまだ言えないこと
結論から言うと、「お酒をやめれば疲れにくくなり、体力が戻る」と断言できる研究はありません。ただし、運動のあとに大量に飲むと、筋肉をつくる反応が下がることを示した研究はあります。つまり、運動の効果を大切にしたい人ほど、運動後の飲酒量を見直す価値があります。
この記事では、読者が抱きやすい疑問を順に取り上げ、研究の数字と、健診をきっかけに節酒を始めた私の運動記録を合わせて答えます。
要点: 断言はできませんが、運動後の大量飲酒が回復の足を引っ張る証拠はあります。
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運動のあとに飲むと、筋肉の回復は本当に落ちるのですか?
研究では、筋タンパク質の合成が24〜37%低下しました
オーストラリアの研究では、運動習慣のある男性8人が、筋トレと有酸素運動を組み合わせた運動をしたあとに、体重1kgあたり1.5gのアルコールを飲みました。標準的なお酒で言えば12杯前後にあたる量です。運動後にホエイプロテインを摂ったうえでアルコールを加えると、筋原線維のタンパク質合成は、プロテインだけの場合より24%低くなりました。プロテインではなく炭水化物を摂った場合は、37%低くなっています。出典はPubMed: Alcohol ingestion impairs maximal post-exercise rates of myofibrillar protein synthesis following a single bout of concurrent trainingです。
アルコール+プロテイン:24%低下アルコール+炭水化物:37%低下
図: 運動後にアルコールを摂ったときの、筋原線維タンパク質合成の低下率(プロテインのみの場合との比較。男性8人の試験)
ここで大事なのは、この量が1日1〜2杯の晩酌とはまったく違う、とても多い量だということです。この結果をそのまま日常の晩酌に当てはめることはできません。
12件の系統的レビューは、もう少し慎重です
レジスタンス運動(筋トレ)のあとの回復とアルコールを調べた12件の研究をまとめた系統的レビューでは、多くの研究で、筋力に差は見られませんでした。筋肉痛についても、アルコールの有無で差は出ていません。一方で、テストステロンの低下やコルチゾールの上昇、筋タンパク質合成の低下は報告されていて、長期的な筋肉の適応に影響する可能性が示唆されています。出典はPubMed: The Effects of Alcohol Consumption on Recovery Following Resistance Exercise: A Systematic Reviewです。
要点: 大量飲酒では筋合成の低下が示されましたが、少量の晩酌への影響はまだ言い切れません。
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節酒すれば、体力は戻ってくるのですか?
研究が示したのは「差が出る場面がある」ということです
先ほどの2つの研究は、お酒をやめた人の体力が何%戻ったかを測ったものではありません。ですので、「やめれば体力が戻る」とは言えません。言えるのは、運動後の量が多い日は、回復の面で不利になる可能性があるということです。
私の場合は、数字より朝の体感が先に変わりました
以前の私は、健診でγ-GTPが基準値の2倍を超え、医師から減酒の指導を受けました。それから、飲まない日を週3日つくり、飲む日も1日2杯までと決めています。やってみると、数字より先に、朝の体の重さが変わりました。夕方のウォーキングを始めたのもこのころで、翌朝に疲れが残る日が減ったと感じています。これは私ひとりの体感で、研究の結論ではありません。
要点: 体感は人それぞれで、記録をつけると自分の変化が見えてきます。
運動習慣のある人は、どう飲み方を調整すればよいですか?
運動した日の飲み方を先に決めておきます
運動後に飲むなら、次のような決め方が現実的です。
- 運動した日は、飲む量を先に決めておく。
- 飲む前に、プロテインや食事で栄養をとっておく。
- 飲む日と飲まない日を、先にカレンダーに書く。
- 純アルコール量を、ビール500mlで20gという目安で数える。
プロテインを摂った場合のほうが、炭水化物のみより低下が小さかったという研究結果は、飲む前後の栄養を意識する理由のひとつになります。
記録をつけて、自分のデータにします
運動の内容、飲んだ量、翌朝の疲れ具合を、毎日1行で記録します。1か月続けると、どの量から翌日に響くのかが、自分の数字として見えてきます。私は健診の数字と並べて見ています。
疲れにくさを測るには、何を見ればよいですか?
体力は目に見えにくいので、決まった指標で追うのがおすすめです。私が使っているのは、同じコースを歩いたときの所要時間、歩いたあとの息の上がり方、翌朝の起床時の体の重さの3つです。どれも特別な道具は要らず、手帳に1行ずつ書くだけです。
数字が動かない日があっても、気にしすぎません
睡眠不足や仕事の疲れで、記録がぶれる日は必ずあります。1日の数字ではなく、2週間の流れで見るようにすると、飲み方との関係が読み取りやすくなります。健診の数値と並べて見ると、次の見直しの材料にもなります。
要点: 疲れにくさは、所要時間・息の上がり方・翌朝の重さの3つで追えます。
よくある質問
運動の前日に飲んでも大丈夫ですか?
研究の多くは、運動後の飲酒を調べたものです。前日の飲酒については、今回確認できた資料では言えません。翌朝の体調を記録して、自分で判断してください。
ノンアルコール飲料に替えれば、回復は早まりますか?
この記事で紹介した研究は、アルコールの有無で比べたものです。ノンアル飲料の効果を調べたものではないので、断言はできません。
少量の晩酌でも、筋トレの成果は落ちますか?
大量飲酒の研究が中心で、少量についてはまだはっきりしていません。1日2杯までと決めておくと、リスクを抑えやすいと私は考えています。
体力が落ちたと感じるのは、お酒が原因ですか?
睡眠や年齢、運動量など、多くの要因が関わります。気になる症状が続くときは、医療機関で相談してください。
まずは今週、運動した日の夜の飲み方を、手帳に1行だけ書いてみてください。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。

