あの朝、アラームより先に目が覚めた
子どもが生まれてから、朝というものがすっかり変わった。以前は6時のアラームを二度三度スヌーズして、引きずられるように布団を出ていた。それがいつの頃からか、アラームが鳴る少し前に自然と目が開くようになった。
最初は気のせいだと思った。授乳で夜中に起きる生活が続いていたから、睡眠が浅くなっただけかもしれない、と。でも授乳が落ち着いてからも、その感覚は続いた。むしろ少しずつ、澄んでいくような気がした。
お酒を「選んで飲まない」暮らしに移ってから、ちょうど3か月が経った頃のことだ。
3か月前、私が感じていたこと
「やめた」というより「ずれていった」感覚
私の場合、ある日を境にきっぱりと決めた、というよりは、少しずつそちら側に重心が移っていった感じに近い。授乳中は当然飲まないから、その期間がそのまま「飲まない日常」の土台になった。卒乳後も、「さあ、また飲もう」という気持ちがなぜかあまり湧いてこなかった。
別にお酒が嫌いになったわけでも、誰かに言われたわけでもない。ただ、飲まない夜に慣れた身体が、飲む夜をそれほど求めていなかっただけかもしれない。気づいたら3か月が過ぎていて、「あ、選んでいないな」と思った。
変化を期待していなかったから、驚いた
正直なところ、何か劇的なことが起きるとは思っていなかった。「肌がよくなる」とか「集中力が上がる」とか、そういう言葉はどこかで読んでいたけれど、育児中の疲れでそれどころではなかったし、自分に起きるかどうかは半信半疑だった。
だから3か月後に気づいた変化は、余計に印象深く残っている。それが冒頭の、朝の話だった。
目覚めが変わると、一日の手触りが変わる
「だるくない朝」が当たり前になっていた
以前は週末の夜、子どもが寝てからワインを1杯、2杯と開けることがあった。ちょっとした自分へのご褒美、という感じで。翌朝はそれほど飲んでいなくてもどこかぼんやりして、頭の奥が重い感じがした。「昨日飲んだから」と自分に言い訳しながら、子どもの朝ごはんを作っていた記憶がある。
3か月が過ぎた頃、週末の朝に子どもと一緒に公園へ行ったとき、ふと気づいた。身体が軽い。前日の夜を引きずっていない。砂場でしゃがんで、一緒に山を作って、走って追いかけて——それが普通にできた。当たり前のようで、以前と何かが違っていた。
「だるくない朝」が当たり前になると、午前中の密度がそっと変わる。大げさなことではなく、子どもの声にちゃんと反応できる、ただそれだけのことなのだけれど、それが積み重なると一日の手触りがだいぶ変わってくる。
朝ごはんが、ちゃんと美味しくなった
これは完全に想定外だった変化だ。食欲というか、朝に食べものをおいしいと感じる感度みたいなものが、少し上がった気がする。前夜に何も飲んでいないと、朝の味噌汁がちゃんと染みる。子どもが残したパンをつまむとき、「美味しいな」と思える。
小さなことだけれど、食事を通じて一日の入口が変わった感じがして、それが地味にうれしかった。
夜の使い方が変わってきた、少しずつ
眠気に正直になれるようになった
お酒があると、眠くても「もう少し飲もうかな」と引っ張ることがあった。アルコールの眠気と本当の眠気が混ざって、自分の身体のサインがわかりにくくなる感じ。飲まない夜が続くと、眠いと思ったら素直に眠れるようになった。
子どもが寝たあとの時間、以前は「やっと自分時間だ」と飲みながら過ごすことが多かった。今は眠ければ眠る。読みたいものがあれば読む。ただそれだけなのに、翌朝の気分がずいぶん違う。
「何もしない夜」が怖くなくなった
飲まない夜に慣れてくると、夜に何か特別なことをしなくてもいい、という感覚が芽生えてきた。以前は「夜くらい、自分を満たさないと」という焦りがどこかにあった気がする。お酒はそれを手軽に叶えてくれるアイテムだった。
3か月を過ぎた頃から、何もしない夜——子どもが寝て、お茶を飲んで、ぼんやりして、眠くなったら寝る——がちゃんと自分を満たしてくれることに気づいてきた。「満たす」の手段が変わったというより、「満たす」のハードルが下がったような感覚に近い。
3か月後の私が、今思うこと
お酒を「選ばない」3か月で起きた変化は、劇的なものではなかった。肌が生まれ変わったとか、体重が大きく変わったとか、そういう話ではない。でも、朝の目覚め、朝ごはんの味、子どもと公園で走る身体の軽さ——そういう日常の細かい粒が、少しずつ変わっていった。
私がソバキュリを「続けている」というより「続いている」と感じるのは、たぶんこういう小さな手応えの積み重ねがあるからだと思う。飲まないことで何かを我慢しているより、飲まない朝の感触のほうが今の私には馴染む。それだけのことだ。
完全にやめたわけじゃないから、特別な記念日にグラスを傾けることもある。でもそれは「選んで飲む」であって、惰性じゃない。そこの違いを、3か月が少し鮮明にしてくれた気がしている。
もし今、飲まない期間の入り口にいる人がいたら、夜ではなく翌朝の感触に注目してみてほしい。変化はそっちから来るかもしれない。少なくとも、私にはそうだった。
※本記事は一般情報であり、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。健康上の不安がある場合は、医師や専門家にご相談ください。

