Q. 「飲まない」と言ったとき、周りはどんな反応をしましたか?

最初は「え、なんで?」が多かった

振り返ってみると、最初に一番困ったのは、説明を求められることでした。「体調でも悪いの?」「ダイエット中?」「もしかして妊娠?」——善意から来る質問なのはわかっていても、毎回答えるのが少し疲れていた時期があります。

5年やってみて気づいたのは、詳しく説明しようとすればするほど、場が妙にシリアスになってしまうということ。「今、お酒を飲まない生活をしていて」という一言でとどめておくのが、結果的に一番スムーズだったんです。理由の深掘りを求めてくる人はほとんどいなくて、「ふーん、そうなんだ」と流してもらえることの方がずっと多かった。

「気にしない人」が思ったより多かった

正直に言うと、こちらが身構えすぎていたな、と今は思います。ノートを読み返すと、当時の私は「断ったら嫌われるかもしれない」と書いていた。でも実際は、自分が飲まないことを一番大ごとにしていたのは私自身でした。周りの人はもっと淡々としていて、食事の時間や会話の内容の方をずっと楽しんでいたんだなって思うんです。

Q. 職場の飲み会には参加していますか?どう乗り越えていますか?

「参加する」と「飲む」は別のこと、と決めた

断酒してから最初の数か月は、飲み会の誘いに迷いがありました。「飲めないなら行っても楽しめないのでは」という気持ちと、「断り続けると関係が遠くなるのでは」という不安が交互にやってきて。

でも、あるとき「参加する」と「飲む」は全然別のことだと腑に落ちてから、気持ちがすごく楽になりました。乾杯だけウーロン茶で合わせて、あとは食事を楽しむ。それだけで、席にいるという事実が成立するんですよね。お酒を飲んでいるかどうかより、その場で笑っているかどうかの方が、周りには大事だったみたい。

「二次会から帰る」を早々に自分のルールにした

5年やってみて気づいたのは、二次会のお断りは最初から「早めに帰る予定」として場に伝えておく方が、誰も傷つかないということ。「今日は21時に失礼します」と最初に言っておくと、帰るときに引き止められることがほとんどない。これはノートに「使えた!」と書いた方法のひとつです。

Q. 仲のいい友人とのお酒なしの時間、どうやって楽しんでいますか?

「飲みに行こう」を「ごはん行こう」に変えるだけで変わった

親しい友人と過ごす時間は、本当に変わりました——良い意味で。断酒前は「飲みに行こう」が合言葉だったけれど、今は「おいしいもの食べに行こう」に自然と言い換わっています。不思議なのは、友人たちもそれをすんなり受け入れてくれたこと。

振り返ってみると、みんなお酒を飲みたかったというより、誰かと時間を共有したかっただけだったんだなって思うんです。食事の場所や料理の話で盛り上がれるし、会話の内容も気づいたら深くなっていた。お酒がなくても、むしろ話した内容をちゃんと覚えていられるのが、今の私にはうれしい。

「飲む友人」と「飲まない自分」の間にある自由

友人がワインを頼んでいても、私はハーブティーやノンアルのドリンクを選んでいる。その違いを、今はほとんど意識しなくなりました。友人が飲んでいることを邪魔に思わないし、私が飲まないことも気にされない。それぞれが自分の好きなものを注文して、話すことに集中している時間——これが「対等に過ごす」ということなんだなって思うんです。

Q. 断酒していることを、全員に伝える必要はありますか?

「全部話す」より「必要な人に必要なぶんだけ」でいい

5年やってみて気づいたのは、全員に同じ説明をする義務はないということ。仲のいい友人には正直に話しているけれど、職場の顔見知りには「最近お酒は控えていて」と軽く言うだけで十分でした。

ノートに書いてあるのですが、断酒1年目の私は「正直に言わなきゃいけない」という義務感を勝手に背負っていた。でも実際は、自分の生活スタイルをどこまで共有するかは、自分で決めていい。親しさの深さに合わせて、伝える量を決めるだけでよかったんです。

「言わなくてもいい」と決めたら、気持ちが自由になった

「断酒している」と宣言することにエネルギーを使うより、その場の会話を楽しむことにエネルギーを向ける——そうしてみたら、人間関係がずっと軽やかになりました。お酒のことを話題の中心にしなくていい。それだけで、場にいるのが心地よくなる。

Q. 5年続けて、人間関係で一番変わったことは何ですか?

「素面で向き合う」ことが怖くなくなった

これが一番大きな変化かもしれません。お酒を飲んでいた頃は、少しアルコールが入った状態での会話が「普通」だったから、素面で人と話すのがどこか緊張する感覚があった。でも5年経った今、素面のままで笑ったり、真剣に話したりすることがごく自然になっています。

振り返ってみると、アルコールが作っていたのは「距離を縮めるための何か」ではなくて、「緊張をごまかすための膜」だったんだなって思うんです。その膜がなくなって、人と話す時間がより直接的で、濃くなった気がしています。

「本当に合う人」と過ごす時間が増えた

断酒前は、お酒の席でなんとなく繋がっていた関係が結構あって。でも今は、素面の自分と一緒にいて心地よいと思える人との時間が中心になっています。これは意図してそうしたわけじゃなくて、気づいたら自然にそうなっていた。

5年やってみて気づいたのは、飲まない選択は「人間関係を狭める」のではなくて、「自分に合った人との距離を、ちゃんと測りやすくする」ものだったということ。ノートにはそう書いてあります。今もそれは変わっていません。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。体調や飲酒に関わるご不安は、医療機関にご相談ください。