結論から言うと、シラフの夜が待ち遠しくなるまでに、私は2年近くかかりました。鍵になったのは意志の強さではなく、子どもが寝たあとの21時以降の2時間に、先に用途を決めておくことでした。アルコールは寝つきを早める一方で睡眠の後半を乱すことが研究で一貫して示されていて、少量から多量まで全ての量で入眠は早まり、後半の中断は増えると整理されています(PubMed 23347102)。夜中の授乳で何度も起きる生活の中でこの事実を知ったことが、私の夜を変える最初のきっかけでした。この記事では、授乳期から2年目の今までを時系列で振り返ります。

授乳期:飲まないことを選ぶ前に、飲めない夜が先に来た

第一子を産んだ直後、お酒を飲まないのは選択ではなく状況でした。夜中に2回から3回起きて授乳するので、眠りは細切れです。その頃の私にとって夜の時間は、子どもが寝たあとに自分も倒れ込むように寝るだけのものでした。

細切れの眠りの中で知った、お酒と眠りの関係

ある夜、どうせ起きるならと寝る前に一杯飲むことを考えて、調べてみたことがあります。厚生労働省のe-ヘルスネットには、就床1時間前に飲んだアルコールは少量でも睡眠の後半を障害し、就床6時間前に飲んだ場合でも後半の覚醒度が上がると書かれていました(e-ヘルスネット アルコールの作用)。授乳で起きる回数の上に、さらに目が覚めやすくなる要素を足す理由はありません。飲まない夜は、この時期に自然と決まりました。

夜が長いと感じるのは、用途が無いからだった

授乳が落ち着いてきた頃、子どもが21時に寝るようになりました。するとそこから自分が寝るまでの2時間が、ぽっかりと空きます。以前なら迷わずグラスを出していた時間です。この頃の夜は、正直に言うと長いだけでした。携帯を眺めて、気づけば23時になっている。飲まないことに不満は無いのに、夜に満足もしていない状態です。

要点: 授乳期の飲まない夜は選択ではなく状況で、研究で眠りとの関係を知ったことが最初の土台になりました。

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卒乳後:飲める夜が戻ってきて、初めて選ぶ側になった

卒乳して、飲んでもいい状況が戻ってきたとき、私は初めて飲まないことを自分で選ぶ側に立ちました。ここが2年の中で一番揺れた時期です。

1回目の転機は、翌朝の自分を記録したこと

卒乳後の数週間、週末に一杯だけ飲む夜を何度か作ってみました。味は美味しかったのですが、翌朝の寝起きが重く、子どもが起きる6時台に体が追いつきません。そこで翌朝の目覚めの良さを5段階で手帳に書くようにしました。飲んだ翌朝は3以下、飲まなかった翌朝は4以上という差が1か月で見えてきて、自分の体感が研究の記述と重なっていると納得できました。これが1回目の転機です。

2回目の転機は、21時からの2時間に用途を決めたこと

飲まないと決めても夜が長いままでは続きません。そこで21時からの2時間に、先に用途を割り当てました。

  • 21:00-21:30 片付けと温かい一杯
  • 21:30-22:30 自分の時間(手仕事・映画)
  • 22:30-23:00 翌日の準備と読書

図: 私の21時以降の2時間の割り当て(筆者の記録)

最初の30分は片付けと、温かい一杯を淹れる時間にしました。中身はルイボスティーかハーブティー、冷える夜はホットミルクにしょうがを少し入れます。グラスではなくマグカップに変えたのは、お酒の夜との区切りを手の感触で作りたかったからです。真ん中の1時間は、手を動かす趣味(最近は刺しゅうとパズル)か映画のどちらかにして、携帯は寝室の充電器に置きます。最後の30分は翌日の保育園の準備と、寝る前の読書です。キッチンタイマーを22時半に鳴らして区切りにしています。

要点: 飲める状況が戻ってから、翌朝の記録と2時間の用途決めという2つの転機で、飲まない夜が選択になりました。

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2年目の今:夜が待ち遠しいと感じるようになった理由

3回目の転機は、夜の時間が自分のものだと気づいたこと

2年目に入ってから、子どもを寝かせたあとに小さく伸びをする自分に気づきました。これから2時間、誰にも呼ばれない時間が始まる、という感覚です。以前はお酒がその合図でしたが、今は温かい一杯を淹れる湯気が合図になっています。飲まない夜が長いと感じていた頃との違いは、時間の長さではなく、その時間に自分の名前が付いているかどうかでした。

女性の心の調子を追った調査が、自分の体感と重なった

香港の約1万人と米国の約3万1千人を追跡した研究では、お酒を手放した女性の心の健やかさの変化は、生涯飲まなかった女性と比べて良い方向に動き、4年以内に生涯飲まなかった人と同じ水準に近づいたと報告されています(PubMed 31285378)。これは観察研究なので、飲まないことが原因だと断言はできません。ただ、2年目の私が感じている夜の軽さは、この調査の方向と矛盾していません。

2年で変わらなかったこと

正直に書くと、外食でみんながグラスを合わせる瞬間の、ほんの一瞬の寂しさは2年経っても残っています。ただしそれは数秒で消えて、翌朝の自分が軽いことのほうが大きいと分かっているので、選び直すことはありません。ソバキュリという言葉の意味については別の記事で書いたとおり、飲まない選択を毎回し直せることが、私には一番合っていました。

要点: 2年目の夜が待ち遠しいのは、時間に自分の用途が付いたからで、女性を追った調査の方向とも重なっていました。

これから飲まない夜を始める人へ、私が最初にやってほしい3つのこと

  • 子どもが寝たあとの最初の30分に、温かい飲み物を淹れる習慣を1つだけ作ってください。グラスではなくマグカップがおすすめです。
  • 翌朝の目覚めの良さを5段階で書き留めてください。1か月で、飲んだ夜と飲まなかった夜の差が自分の数字で見えます。
  • 夜の真ん中の1時間に、手を動かすことを1つ決めてください。携帯を別の部屋に置くと、時間が自分のものに戻ります。

要点: 温かい一杯、翌朝の記録、手を動かす1時間の3つで、飲まない夜に名前が付きます。

よくある質問

飲まない夜が長く感じて続きません

長いと感じるのは用途が無いからで、意志の問題ではありません。21時以降を30分、1時間、30分の3つに分けて、それぞれにやることを先に決めてみてください。私はこれで夜の感じ方が変わりました。

卒乳後に飲める状況が戻ったら、やはり飲みたくなりますか

私はなりました。そこで週末に一杯だけ飲んで、翌朝の記録を取りました。飲む夜と飲まない夜を比べる材料が自分の手元にあると、どちらを選ぶかを気分ではなく体感で決められます。

寝る前の一杯で寝つきが良くなるのは本当ですか

寝つきが早まること自体は研究で示されていますが、同時に睡眠の後半が乱れることも一貫して報告されています。夜中に起きる回数が増える時期には、特に慎重に考えたほうがよいと私は感じています。寝酒と眠りの段階の関係は寝酒と睡眠の質を扱った記事に詳しくまとまっています。

今夜、子どもが寝たあとの最初の30分に、温かい一杯を淹れてみてください。その湯気が、飲まない夜の合図になっていくはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。健康上のご不安は医療機関にご相談ください。