季節の変わり目は、なぜかそわそわする
「飲みたい」じゃなくて「揺れてる」だと気づいた
5年間、断酒を続けてきて振り返ってみると、一番気を使う時期が「季節の変わり目」だなってはっきり分かるようになりました。春から初夏にかけてのこの時期、なんとなく落ち着かない、気分がふわっと浮いたり沈んだりする。以前の私ならそのモヤモヤを、グラスを傾けることでとりあえず蓋をしていたと思います。
でも今は違う。そわそわする自分に気づいたとき、まずノートを開きます。「今日、何か揺れてたな」と一行書くだけで、もうその感情は半分くらい小さくなっている。これが5年やってみて気づいた、私なりの知恵のひとつです。
ノートに記録するようになったきっかけ
断酒を始めた当初は、自分の体調や気分をきちんと把握できていませんでした。「なんか今日だるいな」「なんとなくイライラしてるな」、そういう小さなサインをスルーしがちだった。でも記録をつけ始めてから、気圧の変化が激しい日や、仕事の山が重なった週末に気分が揺れやすいことが、データとして見えてきたんです。感情って、意外とパターンがある。そのパターンを知っていると、「あ、また来た。これはいつものやつ」って少し客観的に見られるようになります。
私が続けている「ノート記録」の具体的なやり方
朝1分・夜2分の記録ルーティン
難しいことは一切しません。私がやっているのはこれだけです。
- 朝:起き抜けの体の感覚(重い・軽い・普通)と、今日の気分を星で3段階評価。
- 夜:「今日揺れた瞬間はあったか」「どう対処したか」を2〜3行。
アプリやスマートフォンは使いません。紙のノートに、ボールペンで書く。手を動かすこと自体が、気持ちを整える儀式みたいになっています。5年間続けてきたノートが今では本棚に並んでいて、それを見るだけで「ちゃんとやってきたな」って静かな自信になっています。
記録で見えてくる「自分のトリガー」
振り返ってみると、私には飲みたい気持ちが湧きやすい状況がいくつかあると分かりました。疲れがたまった金曜の夕方、ニュースで嫌な情報が続いた日、天気が蒸し暑くてすっきりしない夜。こういう「トリガー」をノートで把握しておくと、事前に対策を用意できます。金曜の夕方には早めにお茶を入れる、蒸し暑い夜には炭酸水をグラスに注いでゆったりした音楽をかける。小さな習慣を「トリガー」に合わせて差し込んでおくことで、揺れがずっと小さくなりました。
5年続けて気づいた「季節のからだ」への向き合い方
初夏のからだは、思ったより繊細
5月から6月にかけて、気温と湿度が急激に動きます。自律神経がばたばたしやすい時期で、睡眠の質が下がったり、朝の目覚めが重くなったりすることがある。以前はそういうコンディションの悪さを「お酒のせいかも」と後でやっと気づいていたけれど、今はノートのおかげで「気候のせい」とすぐに分かります。
からだのサインを正しく読める、というのが、断酒を続けてきてもらった一番大きな贈り物かもしれないと、5年やってみて気づいたのはそこです。お酒が入っているとノイズが多くて、自分のからだの声がよく聞こえない。シラフで過ごす日々は、その声がクリアになっていきます。
「整える日」を意図的につくる
季節の変わり目には、意識して「整える日」をつくるようにしています。特別なことではなくて、早めに帰宅して好きな入浴剤でお風呂に入り、ノートを書いて、夜10時台には布団に入る、ただそれだけ。でもこれが「来週もシラフで気持ちよく過ごすための充電」になっている感覚があります。
断酒って「我慢の積み重ね」じゃなくて、「自分を整えながら選び続けること」だなってずっと思ってきました。整えることを後回しにすると揺れが大きくなる。揺れが大きくなると、「もういいか」って気持ちが顔を出しやすくなる。だから整えることは、サボれない習慣の核心です。
再飲酒しそうになったとき、ノートが止めてくれた話
2年目の秋、一番揺れた夜のこと
断酒2年目の秋、職場でのストレスが重なった時期に、人生で一番「飲みたい」に近い夜がありました。スーパーのお酒売り場の前で3分立ち止まったことをよく覚えています。
そのとき、ポーチの中のノートの存在を思い出した。「帰ってまず書こう」と思ったら、不思議と足が動いた。帰宅してお茶を入れて、「今日こんなに揺れた」とページいっぱいに書いたら、もう飲みたい気持ちは8割がた消えていました。感情って、言葉にすると小さくなるんです。ノートはそういう意味で、私にとって一番身近なリカバリーツールです。
「書く」ことが持つ、静かな力
最近では感情を書き出すことで気分が安定するという報告が、行動科学の分野でも積み上がっています。特別な方法論を学ばなくても、「今日感じたことを書く」という習慣が、ストレス反応を和らげる助けになることが示されています。私の5年間の記録ノートは、最新の研究を知らずに始めたものだけど、後から「そういうことだったのか」と腑に落ちた部分がたくさんあります。
今日からできる、アオ流「記録ノート」の始め方
道具は何でも構いません。百円ショップのノートとボールペンで十分。大事なのは「毎日続けられる負荷」にすること。最初は夜に1行だけでいい。「今日の気分:ふつう」これだけでもいいんです。続けることで見えてくるものが、必ずあります。
- 今夜から:寝る前に今日の気分を1行だけ書く。
- 1週間後:読み返して「気分が下がりやすい日」のパターンを探す。
- 1か月後:自分のトリガーに名前をつけてみる。「金曜の疲れ」「蒸し暑い夜」など。
- 3か月後:トリガーが来たときの「整えルーティン」を1つ決める。
振り返ってみると、断酒5年で私を一番助けてくれたのは、強い意志でも特別なメソッドでもなく、毎晩ノートに向かうという小さな習慣でした。手を動かして言葉にするたびに、「今日もちゃんと選べた」という感覚が静かに積み上がっていく。その積み重ねが、今の私をつくっていると思っています。
この初夏の変わり目を、ノートと一緒に気持ちよく乗り越えていけたらいいな、と思います。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。体調や飲酒に関する具体的な悩みは、医療機関や専門家にご相談ください。


