「なんとなくむくんでいる」が当たり前だった頃

振り返ってみると、30代後半に飲み方を見直す前の私は、「朝に顔がパンパン」「夕方になると靴がきつい」という状態をほぼデフォルトだと思っていました。むくみは体質のせい、あるいは塩分の取りすぎのせい——そう片付けて、原因をほとんど掘り下げていなかったんです。

断酒をはじめてノートをつけるようになってから、ようやく「毎朝、自分の体に何が起きているか」を観察する習慣が生まれました。その記録を積み重ねていくうちに、水分代謝のリズムがお酒を飲んでいた頃とは明らかに違ってきたことに気づきました。今回はその変化を、私が実際にノートで使ってきた2つのセルフチェック——「朝の指のむくみチェック」「尿の色チェック」——を軸に比べながら話してみようと思います。

2つのセルフチェック法:それぞれの「見えるもの」と「見えないもの」

① 朝の指のむくみチェック

やり方はシンプルです。起き上がる前に、利き手と反対の手の薬指を人差し指と親指で軽くつまみ、皮膚の戻り方を確認します。お酒を飲んでいた頃は、皮膚がもたつく感覚が毎朝ありました。ノートには「パフッとしてる」という記録が並んでいます。

このチェックの良い点は、道具がいらず、起床直後の「素の状態」を毎日同じ条件で測れること。むくみの波が視覚ではなく触感でわかるので、気づきの解像度……ではなく、気づきの細かさが上がります。ただ、前日の塩分量や睡眠の質にも影響されるため、「お酒だけが原因か」の切り分けには向いていません。あくまで「今日の体の水分の動き」を感じるための入り口です。

② 尿の色チェック

こちらは少し地味に聞こえるかもしれないけれど、5年続けてみて一番「水分代謝の今」を素直に教えてくれると感じているのがこのチェックです。朝一番のトイレで、尿の色を淡い黄色〜濃い黄色のどのあたりかを確認してノートにひとことメモします。

飲んでいた頃は、アルコールの利尿作用で夜中に何度もトイレに行くにもかかわらず、朝の尿色が濃いことが多くありました。これは、アルコールが体内の水分を「外に出しながら、細胞レベルでは水分を奪う」という方向に働くからだと、後から調べて知りました。断酒後は、朝の尿色が淡く安定してきて、夜中に起きる頻度も減りました。

このチェックの限界は、水を飲む量・タイミング・食事内容でも色が変わること。単独のチェックで「代謝が良い/悪い」と断言はできません。でも、指のむくみチェックと組み合わせると、「むくんでいるのに尿色が濃い=水分が循環していない可能性」という仮説を立てやすくなります。

飲んでいた頃と今、ノートで並べたらこんなに違った

私のノートには、断酒前の数ヶ月間も記録が残っています(当時は「体調日記」として書いていました)。今の記録と並べてみると、いくつかはっきりした違いがあります。

  • 朝の指の戻り:飲んでいた頃は「もたつく」が週4〜5日。今は「もたつく」がほぼ月1〜2日(気圧変化や前日の外食が重なったとき)。
  • 朝の尿色:飲んでいた頃は「濃い黄色」が週3日以上。今は「淡い黄色〜ほぼ透明に近い」が大半。
  • 日中の足のだるさ:飲んでいた頃は午後3時ごろに靴がきつく感じる日が多かった。今はそれが起きる日は月に数える程度。

5年やってみて気づいたのは、この変化は「ある日突然整った」わけではないということです。最初の半年は、むくみチェックの結果がばらつくことも多くて、「本当に変わっているの?」と思った時期もありました。記録を続けていたからこそ、3ヶ月ごとに振り返ったときに「あ、確かに少しずつ変わっている」と見えてきたんです。

どちらのチェックが自分に合うか——向き不向きの話

「感覚派」には指のむくみチェック

数字やメモが苦手な方、朝にスマホを開く前にさっと確認したい方には、指のむくみチェックが続けやすいと思います。所要時間は10秒もかかりません。「なんとなく今日はすっきりしている」という体感を言語化する練習にもなります。ただ、感覚に頼る分、「気のせいかも」と流してしまいやすいのが弱点です。

「記録派」には尿の色チェック

私のようにノートをつけるのが習慣になっている方、客観的なサインを積み重ねたい方には、尿の色チェックのほうが情報量が多く感じられます。色の変化は視覚で確認できるので、「昨日の夜に塩分が多かったから今日は濃い」といった原因の仮説も立てやすい。一方で、毎朝の条件がそろわない(前夜に水をたくさん飲んだ、利尿作用のあるコーヒーを飲んだ等)と、比較が難しくなります。

どちらか一方だけでなく、両方を組み合わせて「指は戻りが良かった、色も淡い——今日は循環が良さそう」という読み方をするのが、私にとっては一番しっくりきています。

水分代謝が整うと、何が変わるのか

むくみが減ることの一番の実感は、体の輪郭がくっきりしてくることです。体重計の数字より先に、顔まわりや手首あたりの「余分な水分の感じ」がなくなる。これが、5年続けて気づいたのは「体の変化は数字より先に、感触で来る」ということです。

水分代謝が安定してくると、朝の目覚めのもたつき感が減ります。私の場合は、顔が「すっきり起きられた日」と「まだふわっとしている日」の差が小さくなりました。代謝の波が穏やかになった、という感覚です。

もうひとつ、意外だったのが体温感覚の変化。飲んでいた頃は夜に「ポカポカしている」と感じていたのに、翌朝は末端が冷えていることが多かったです。アルコールは皮膚の血管を広げて一時的に温かく感じさせますが、体の深部の熱は逃げやすくなるためと言われています(一般的な生理学の説明として)。断酒後は、夜に「じんわり温かい」という感覚は薄れましたが、朝の指先の冷えも減りました。これもノートの記録で気づいたことのひとつです。

〜だなって思うんです。記録って、「変化を探す」のではなく、「変化が後から見えてくる」ためにあるものなんだと。急いで確かめなくていい。淡々とつけていれば、ちゃんと体が教えてくれます。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。体調の変化や症状が気になる場合は、医療機関にご相談ください。