「30日」という数字を、最初から数えなかった

振り返ってみると、私が最初の30日チャレンジを始めたとき、「30日間やりきるぞ」とは一度も思っていなかったんです。それがよかったのかもしれない、と今になって思うんです。

30代後半、自分の飲み方をそろそろ見直したいと感じ始めたころ、「まず今日だけ飲まない」という気持ちからスタートしました。翌朝、ノートに「昨日、飲まなかった」とだけ書いた。それが記録の始まりでした。

30日という数字は、目標というよりも後から浮かび上がってきたもので。気づいたら10日になっていて、20日になっていて、月末にノートをめくったら「あ、30日経ってた」という感覚でした。だから私にとって30日チャレンジは、「達成するもの」ではなく「気づいたら通過していたもの」だったんだなって思うんです。

始める前に決めたのは、たった1つのこと

チャレンジを前にして、ルールをたくさん作ろうとしていた時期がありました。「ノンアルドリンクを常備する」「夜9時以降はキッチンに立たない」「週に一度振り返りをする」……書き出したらきりがなくなって、そのまま始められなかった夜が何度かあったんです。

結局、最初に決めたのはこれだけでした。

  • 「今日飲んだかどうか」をノートに毎晩書く

飲んだ日も、飲まなかった日も、とにかく書く。理由も感想も添えなくていい。「○」か「×」かだけでもいい。そう決めたら、一気に始めやすくなりました。

5年やってみて気づいたのは、習慣を育てるとき、複数のルールを同時に導入するほど続きにくくなるということ。最初の一手はできるだけ小さく、そしてできるだけ「記録に残る形」にすること。これが私にとっての、30日チャレンジの本当の入り口でした。

「記録する」ことが、意志の代わりになってくれた

意志の力に頼らなくていい理由

「飲まないでいられるのは、意志が強いから?」とよく聞かれますが、正直に言うと違います。私は意志がとくべつ強いわけではないし、誘惑に打ち勝つメンタルが特別あるわけでもない。続けられた理由は、毎晩ノートを開くという行為が、気持ちの逃げ場になっていたからだと思っています。

飲みたい気分が高まった夜、「でもノートに書かなきゃ」と思うだけで、少しだけ立ち止まれた。意志ではなく、習慣が代わりに踏ん張ってくれる感覚でした。

「飲んだ日」もちゃんと書く、という正直さ

30日チャレンジをしている最中に、飲んでしまう日があっても、ノートには正直に書きました。「今日は飲んだ。理由:仕事のストレスが重なった夜」と。失敗扱いにするのではなく、ただの記録として残す。

その正直さが、チャレンジを途中で手放さずに済ませてくれたんだなって思うんです。「飲んでしまった=終わり」にしないこと。記録は審判ではなくて、自分の観察日誌だという感覚でいることが、長く続けるためにとても大事だと感じています。

30日が終わったとき、何が変わっていたか

最初の30日を通過したとき、劇的に何かが変わったわけではありませんでした。でも、ノートをめくってみると、小さな変化がいくつも積み重なっていました。

  • 朝、目覚めたときに頭が重くない日が増えた
  • 夕方5時を過ぎても「今夜どうしよう」と焦る気持ちが薄れてきた
  • 夜に読みかけだった本を、最後まで読み切れるようになった
  • 肌の調子について、「今日はいい感じ」とノートに書いた回数が増えた

これらはどれも、30日の終わりに「変わった!」と気づいたものではなく、後からノートを読み返したときに「あ、こんなことが書いてある」と発見したものです。記録があることで、変化に気づける。そのことを、30日という期間が教えてくれました。

5年やってみて気づいたのは、チャレンジの価値は「完走したかどうか」ではなく、「自分の変化を観察し始めたかどうか」にあるということ。30日は、自分を観察する習慣を育てるのにちょうどいい時間だったんだなって思うんです。

これから始める人へ、私からの一言

「30日チャレンジ、やってみたいけどうまくいくか自信がない」という気持ち、すごくよくわかります。私も最初はそうでした。でも振り返ってみると、自信があったから始められたわけじゃなかった。「今日だけ試してみようかな」という、ほんの小さな好奇心で動き出しただけでした。

もし迷っているなら、まずノートを一冊用意することから始めてみてください。どんなノートでもいい。スマホのメモアプリでも。そこに今夜、「今日、飲まなかった」か「今日、飲んだ」のどちらかを書く。それだけでいい。

30日チャレンジの本当の始まりは、その一行だと私は思っています。大きなルールより、小さな記録。それが5年続いた私の、最初の一歩でした。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。体調に関する不安や疑問は、医療機関にご相談ください。