「朝の声がガラガラ」を当たり前だと思っていた頃
振り返ってみると、30代後半まで私は「朝の声がガラガラなのは疲れのせいだ」とずっと思っていました。夜にワインや缶チューハイを飲んで、翌朝に少し声がかすれていても、「昨日遅かったから」「ちょっと疲れてるだけ」と自分に言い聞かせていた記憶があります。
断酒を選んでからしばらくたったある朝、ふと気づいたんです。「あれ、今日の声、きれいだな」って。声がかすれていない。喉がひりひりしていない。いつもあった「朝一番のガラガラ感」が、いつの間にか消えていた。その発見をノートに書き留めたのが、声と喉について意識し始めたきっかけです。
5年やってみて気づいたのは、喉や声のコンディションって、睡眠や肌と同じくらい「夜の選択」に正直に反応するんだなってこと。今日はそのあたりを、記録ノートをめくりながら整理してみようと思います。
お酒が喉の粘膜に与える「じわじわとした影響」
アルコールと粘膜の乾燥
アルコールには利尿作用があることはよく知られていますが、その影響は全身の水分バランスに及びます。喉や気道の粘膜は、適度な潤いがあることで外からのほこりや刺激を防いでいます。でも体全体の水分が少なくなると、粘膜の潤いも保ちにくくなる。毎晩お酒を飲んでいた頃の私は、慢性的にその状態にあったんだろうなって思うんです。
「喉が渇く」感覚は飲んでいる最中にも感じていたのですが、それを「お酒を飲んだから」ではなく「今日は暑かったから」と結びつけていました。自分に都合よく解釈していたんですよね、当時は。
胃酸の逆流と声帯への影響
これも断酒後にノートを見返して気づいた変化のひとつです。お酒を飲んでいた頃は、朝起きると喉の奥がなんとなく酸っぱかったり、声がしゃがれていたりすることがありました。アルコールは食道と胃のつなぎ目にある括約筋をゆるめる働きがあるといわれています。そうすると、就寝中に胃酸が逆流しやすくなり、声帯を刺激することがある。私の「朝のガラガラ声」の一因は、もしかしたらここにあったのかもしれないと、今になって考えています。
もちろん、これは私の体感と推測であって、すべての人に当てはまるわけではありません。でも、「原因がよくわからない朝の違和感」を持っている方には、夜の選択を少し見直すのが一つの糸口になるかもしれないと、個人的には思っています。
断酒後、ノートに記録していた「声の変化」
3か月ごろ:朝の声がまとまりはじめた
断酒を続けて最初の大きな気づきは、3か月前後だったと記憶しています。ノートには「今朝、話し始めた瞬間の声がすっきりしていた。以前は必ず咳払いが必要だったのに」と書いてありました。意識して咳払いしなくても声が出る、というだけで、朝の気持ちよさがひとつ増えた感覚がありました。
声って、自分では意外と聞き取りにくいものですよね。録音してみて初めて「あ、今日の声、落ち着いてるな」と気づくこともありました。変化はゆっくりで地味だけど、記録しているから見えてくる、というのがノート習慣の醍醐味だなって思うんです。
1年以降:乾燥しにくい喉、声の安定感
1年を過ぎると、季節に関係なく喉の調子が安定していることに気づきました。以前は冬になると必ずのどあめを手放せなかったのに、そういえばここ数年、常備しなくなっていた。乾燥が気になる日はもちろんありますが、「慢性的にひりついている」感じがなくなったのは大きい変化です。
5年やってみて気づいたのは、これは劇的な「改善」というよりも、本来の状態に戻った、という感覚に近いということ。特別によくなったというより、余計なダメージがなくなった。そのぶん、体が本来のコンディションを保てるようになったのかなって思うんです。
声と喉を整えるために、私が続けている小さな習慣
夜のハーブティーと白湯で粘膜を潤す
お酒をやめてから夜の飲み物をどうするか、最初は少し迷いました。でも今は、カモミールやリコリス入りのハーブティーか、白湯を選ぶことが多いです。どちらも喉を温めて潤してくれる感じがするし、何より「ゆっくり飲む」という行為が夜のリズムを整えてくれる気がしています。
ハーブや白湯に「特別な効果がある」と言いたいわけではありません。ただ、アルコールとは真逆の方向に体を向けてくれる飲み物として、私にはすごく合っているんです。飲み物ひとつ変えるだけで、翌朝の喉の感覚が違う。それだけでも、選ぶ理由としては十分だと思っています。
朝のノート記録で「声の状態」を観察する
私が長く続けているのが、毎朝起きてすぐに一言声を出して、その感触をノートにメモする習慣です。「すっきり」「少しかすれ」「よく通る」など、一言でいい。天気・気温・前夜の寝る時刻と並べて書いておくと、季節や睡眠との関係が見えてきます。
声のコンディションって、メンタルや体調のバロメーターでもあるなと最近はよく感じます。仕事で疲れがたまっているときは声に張りがなくなるし、体が整っているときは声が自然に通る。「声を観察する」という視点を持つだけで、自分の内側を俯瞰するきっかけになるんです。
「声が変わった」は、自分への小さな自信になる
断酒を続けてきて、体のいろいろな変化を記録してきましたが、「声と喉」の変化は、肌や体重の変化と少し違う種類の喜びがありました。それは「自分の言葉が気持ちよく出る」という感覚です。
誰かに褒められるわけじゃない。数値に出るわけでもない。でも、毎朝の第一声が澄んでいると、なんとなく今日も整っているな、という気持ちになれる。その積み重ねが、5年間続けてきた大きな動機のひとつになっていると思います。
もし今、「お酒を選ばない夜」を増やしてみようと考えているなら、ぜひ翌朝の声に少し耳を傾けてみてください。小さな変化かもしれないけれど、体はちゃんと応えてくれます。5年間、ノートに書き続けてきた私が、一番確かだと感じていることです。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。体の不調や症状が気になる場合は、医療機関にご相談ください。




