「水を飲んでいる」のに、なぜあんなにむくんでいたのか
振り返ってみると、飲んでいた頃の私は「水分はちゃんと摂っている」と思っていました。お酒を飲みながら水も飲んでいたし、翌朝もたっぷり水を飲んでいた。でも朝の顔はパンパンで、指輪はきつく、夕方になると足首に靴下の跡がくっきり残る。水を飲めば飲むほど、なんだかもたついている感覚がありました。
断酒して5年が経ったいま、あの「もたつき」の正体がだんだんわかってきた気がします。問題は水の「量」ではなく、「巡り方」にあったのではないか、と。今日はそのことを、飲んでいた頃と断酒後を対比しながら書いてみようと思います。
比較① のどの渇き方——「偽りの渇き」と「本物の渇き」
飲んでいた頃:渇きがとにかく激しかった
アルコールには利尿作用があります。飲むほどにトイレが近くなり、体内の水分が失われていく。だから飲んでいる最中も、飲み終わった後も、のどがひどく渇く。あの渇きを「脱水だから水を飲まなきゃ」と思って補給していたのですが、飲めば飲むほど翌朝のむくみが出るという、なんとも不思議な状態でした。
5年やってみて気づいたのは、アルコール由来の渇きは「偽りの渇き」に近いということです。体が必要としている水分量のシグナルが、アルコールの影響で狂ってしまっていた。渇いているから飲む、でも水が上手く使われないからむくむ、という悪循環だったのだと思います。
断酒後:渇きが「静か」になった
断酒後しばらくして、のどの渇き方の質が変わってきました。激しい渇きではなく、静かで素直な渇き。「そろそろ水を飲もうかな」という、穏やかなサインが体から届くようになったんです。ノートに「今日はコップ4杯で十分だった」と書いた日を見返すと、それが断酒から3ヶ月を過ぎた頃でした。飲む量は減ったのに、体が必要なタイミングで必要なだけ求めるようになった、という感覚です。
比較② むくみの出方——「全体的なもたつき」と「局所的な反応」
飲んでいた頃:朝から夕方まで、体がずっと重かった
飲んでいた頃のむくみは、ひとことで言うと「全体的なもたつき」でした。朝起きると顔が腫れぼったく、午前中はずっとぼんやり重い。夕方にかけて少しマシになると思ったら、夜にまたお酒を飲んで翌朝リセット。一日のどこかでスッキリする時間帯がなかったんです。
当時は「体質だから」と思っていました。むくみやすい体、というだけで、お酒との関係をきちんと考えたことがなかった。でも断酒後にその前提が崩れました。
断酒後:むくみの原因が「追いかけられる」ようになった
断酒してから、むくみが出る日と出ない日の差が、はっきりわかるようになりました。塩分の多い食事をした翌日、気温が急に下がった日、睡眠が浅かった日——それぞれのパターンがノートに記録されていくうち、「今日のむくみはあの食事のせいだな」と追いかけられるようになったんです。
これが私にとっては大きな変化でした。アルコールが体にあったときは、むくみの背景がノイズだらけで原因が読めなかった。断酒後は、体のシグナルが格段に読みやすくなった。むくみとの付き合い方が「受け身」から「能動的」になった感覚です。
比較③ 水分代謝の「速さ」——体が変わると、朝が変わる
飲んでいた頃:水を飲んでも「流れていかない」感覚
飲んでいた頃に感じていたのは、水分が体の中で滞っている感覚でした。飲んでも飲んでも渇くのに、体はむくんでいる。今思えば、肝臓がアルコールの処理に追われて、水分の代謝まで手が回っていなかったのかもしれません。水を飲んでも「活かされている」という実感がなかった。
朝、鏡を見てため息をつく日が続いていたことを、ノートの初期のページに書いています。「今日も顔が重い」という一言が、何週間も続いていました。
断酒後:翌朝の顔が「答え合わせ」になってきた
5年やってみて気づいたのは、断酒後の朝の顔は「前日の過ごし方の答え合わせ」になるということです。夜に白湯をゆっくり飲んで、早めに寝た翌朝はすっきりしている。逆に、遅くまで起きていてスナック菓子をつまんだ翌朝はむくみが出る。体が正直に反応するようになったんです。
これは地味に、毎日が楽しくなる変化でした。ご褒美のような朝が増えてくると、「昨夜の自分の選択、正解だったな」とノートに書きたくなる。小さな達成感の積み重ねが、5年間続けてこられた理由のひとつかもしれません。
「どちらが向いているか」より、「体の声が聞こえるか」を大事にしてほしい
ここまで飲んでいた頃と断酒後を対比して書いてきましたが、私が伝えたいのは「断酒が正解」という話ではありません。むくみや水分代謝の変化は、あくまで私の体がそう反応した、という記録です。
大切だと思うのは、「自分の体が今どんなシグナルを出しているか」を受け取れる状態でいることではないか、と。飲んでいた頃の私は、そのシグナルがノイズに埋もれていた。断酒後は、体が何を言いたいのか少しずつ聞こえるようになった。その変化が、いちばん大きな「代謝の変化」だったかもしれない、と振り返ってみると思うんです。
水分の巡り方は、生活の巡り方と似ています。滞っていたものが動き出すとき、体は案外正直にそれを教えてくれます。ノートを開くたびに、私はそれを確認してきました。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。体調に関するお悩みは、医師や専門家にご相談ください。

