結論:減酒外来は「量を減らす」ことも目標にできる、飲酒の専門外来です
結論から言うと、減酒外来とは、お酒をやめること(断酒)だけを目標にせず、量を減らすことや問題のない飲み方を含めて相談できる専門外来のことです。国内初の減酒外来は2017年に久里浜医療センターで開設され、従来の断酒中心の治療とは違う多様なゴール設定に対応する点が特徴だと、製薬会社の健康情報サイトでも説明されています(サワイ健康推進課「どこからがアルコール依存症?」)。同センターの公式ページにも、断酒に限らない多様なゴール設定に対応する、という趣旨の記載があります。
自分は普段、Apple Watchとお酒の記録アプリで飲酒量を数値にして、週4日は飲まない運用をしている30代の会社員です。医療の専門家ではないので、この記事は「制度と公開情報の整理」に徹します。診断や治療の判断はできませんし、しません。
ここで先にお伝えしておくと、久里浜医療センターの減酒外来は2025年8月末で新患の受付を終了しています。「減酒外来に行ってみたい」と思った方は、同じ趣旨の窓口が全国にあるため、その探し方も後半で書きます。
要点: 減酒外来は、断酒を求められる場ではなく、量を減らす選択肢も持って相談できる場です。
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ある月曜の朝、ログを見て「相談してもいいのかも」と思うまで
説明の前に、なぜ自分がこのテーマを調べたのかを書きます。
数値で見ると、自分の感覚はあてにならなかった
ある月曜の朝、Apple Watchの睡眠スコアを見ると、週末に飲んだ翌日は決まって低い数字が並んでいました。ログを取ると、週末2日だけの飲酒でも、その2日で1週間のお酒の大半を消費している週があったんですよね。感覚では「少なめに飲んでいる」つもりでも、数値で測ると印象と違ったわけです。
「やめるか、飲むか」の二択がしんどい
このとき感じたのは、多くの人が「やめる」か「これまで通り」かの二択で考えてしまう窮屈さです。量を少し減らしたい、飲み方を変えたい、というあいまいな悩みは、どこに相談すればいいのか。そこで出てきたのが「減酒外来」という言葉でした。
要点: 二択に当てはまらない悩みの受け皿として、減酒という考え方が生まれています。
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減酒外来とは何か:歴史と位置づけを一次情報で確認する
2017年4月、国内初の減酒外来が開設された
医療系ニュースサイトの記事によると、2017年4月に久里浜医療センター(神奈川県)に国内初の減酒外来が開設されました。断酒一辺倒だった治療から、患者が受け入れやすい体系へ転換する動きだったと報じられています(時事メディカル「変わるアルコール依存症の治療 『減酒』で回復目指す」)。
同じ記事では、2017年5月から2018年3月までの外来受診者が92人で、内訳はアルコール依存症の人が20%、いわゆる予備軍が80%だったと紹介されています。依存症の診断がつく手前の人が多く受診していた、ということです。
「受診ハードルを下げる」という設計
製薬会社の健康情報サイトは、減酒外来の目的を、断酒を強制せず減酒を掲げることで受診のハードルを下げること、そして依存症の診断がない人も含めて飲酒の相談に対応することの2点で説明しています(サワイ健康推進課「どこからがアルコール依存症?」)。
「お酒をやめる」と宣言するのは重い。でも「減らしたい」なら相談できる。この設計は、行動を変えるハードルを下げるという意味で、自分のようなデータ管理派にも納得感があります。
対象になるのは、依存症の診断がある人だけではありません
久里浜医療センターの説明では、対象は「お酒の習慣が気になっている方」「お酒の量を減らしたい方」「お酒に関する健康チェックをしたい方」とされています。アルコール依存症と診断された方も受診できますが、より重い場合には断酒を勧められることもある、と明記されています。減酒を選べば必ず認められるわけではなく、状態によって目標が変わる、という点は押さえておきたいところです。
要点: 減酒外来の入口は広く、目標は診察で状態に応じて決まります。
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診察の流れと、AUDITという物差し
久里浜医療センターで公開されていた受診の流れ
同センターの受診案内によると、当日は血液検査・尿検査・骨密度検査などを行い、問診で飲酒の状況と目標とするお酒との付き合い方を聞き、アルコール治療専門医が飲酒問題のレベルを判定したうえで、理想とする付き合い方をアドバイスする流れでした。必要に応じて減酒のための薬も提案される、とされています(久里浜医療センター「減酒外来:受診案内」)。
約1か月後に再診があり、飲酒日記をつけながら過ごす、という進め方も示されていました。目標が達成できなくても、お酒との付き合いを意識して過ごすことが大切、という趣旨の説明があるのも印象的でした。ログを取る運用と相性がいい設計です。
点数で目安を知る:AUDITとは
飲酒問題のスクリーニングテストとして使われるのがAUDITです。先ほどの製薬会社の解説では、8〜14点は問題のある飲酒習慣が疑われて減酒支援が必要な段階、15点以上はアルコール依存症の可能性がある段階として紹介されています。あくまで目安で、診断は医師が行うものです。
0〜7点8〜14点 減酒支援15点以上 依存症の可能性出典に書かれている区分のみを図示。診断は医師が行います。
図: AUDIT点数の目安(サワイ健康推進課の解説に基づく)
図の0〜7点は、この解説に明記された区分ではなく、8点未満という意味で自分が補った表現です。数字だけで自己判断せず、気になる場合は専門の窓口で相談するのが確実です。
要点: 診察は「検査・問診・目標設定・経過観察」の流れで、AUDITはその入口の目安です。
薬は使うのか:ナルメフェンの位置づけ
2018年に登場した「飲酒量を減らす薬」
時事メディカルの記事では、ナルメフェン(商品名セリンクロ)を、2018年3月に国内で発売された飲酒量低減薬と紹介しています。治療法の多様化を象徴する存在で、依存症治療の流れが変わりつつあると報告されています。
薬は医師が判断するもので、自分で探すものではありません
ここは強調しておきます。減酒のための薬は、診察を受けたうえで医師が必要と判断した場合に検討されるものです。久里浜医療センターの案内でも「必要に応じて減酒薬も提案」という書き方でした。個人輸入や自己判断での服用は避け、必ず医療機関で相談してください。自分は薬の効果や副作用について語れる立場にありません。
要点: 薬は診察の結果として出てくる選択肢のひとつで、最初に探すものではありません。
国内の受診状況と、受付終了のニュースをどう読むか
推定107万人に対し、受診は約5万人
時事メディカルの記事には、国内の推定依存症患者が107万人、実際の受診者が5万人で、受診率は約5%という数字が載っています。受診に届いていない人が大多数、ということです。減酒外来のような入口の広い窓口が求められた背景が、この数字からも読み取れます。
推定患者 107万人 のうち受診 5万人(約5%)
図: 推定依存症患者と受診者の規模感(時事メディカルの記事より)
久里浜医療センターは新患受付を2025年8月末で終了
先ほど触れた通り、久里浜医療センターの減酒外来は、2025年8月末をもって新規患者の受付を終了したと公式ページに明記されています。終了の理由はページに書かれていないため、ここで推測はしません。ただ、同様の窓口は「減酒外来」「減酒支援外来」などの名前で各地に開設されていると、前述の製薬会社の解説にあります。
探すときは、「アルコール外来」「減酒外来」「減酒支援」といった名称で、お住まいの地域の医療機関や、精神保健福祉センター、保健所の相談窓口を確認するのが近道です。医療機関ごとに対応内容が違うため、事前に電話や公式サイトで確認してください。
要点: 入口を広げる流れは続いていますが、受け付けているかどうかは各窓口で確認が必要です。
受診の前にできる、自分の飲酒の見える化
受診するかどうかを決める前に、まず自分の現状を数値にしておくと、相談するときにも役立ちます。
純アルコール量に直す
厚生労働省のガイドラインでは、純アルコール量は摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8で求められ、ビール500ml(5%)は20gと示されています(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」)。同じガイドラインでは、生活習慣病のリスクを高める量として1日あたり男性40g以上、女性20g以上が示されています。
1週間ぶんを記録してみる
紙のメモでもアプリでも構いません。何を、何ml、何%で飲んだかを1週間書き出して、純アルコール量に直します。これを見せて相談すれば、話がぐっと具体的になるはずです。サワイの解説でも、飲酒記録をつけることは減酒の実践的な工夫として挙げられています。
記録が苦しくなったら、それがサインかもしれません
記録をつけようとしてもうまくいかない、数字を見るのが怖い、という感覚が強い場合は、無理に自力で続けず、専門家に相談するタイミングかもしれません。自分は診断はできませんが、そのくらいの距離感で使ってほしいと思っています。
要点: 数字にすると、相談も自己点検も一歩前に進みます。
減酒外来と、ふだんの節酒は何が違うのか
自力の節酒と医療の相談は、役割が違います
自分がやっているような、アプリで記録して飲まない日を作る節酒は、あくまで生活の中の工夫です。一方、減酒外来は、飲酒が体や生活にどう影響しているかを医師が評価し、目標を一緒に決める場です。どちらが上ということではなく、道具の種類が違います。
自分の場合、数値を見て「今の運用で足りている」と判断できる間は自力で続けています。ただ、記録をつけても量が変わらない、減らそうとすると強い不調や落ち着かなさが出る、といった状況になったら、自力の範囲を超えているサインだと考えます。その線引きは自己判断せず、専門家に確認するのが安全です。
相談を考えるタイミングのチェックリスト
次のような状況が当てはまる場合は、かかりつけ医や専門の相談窓口に話してみる価値があります。あくまで目安であり、診断ではありません。
- 飲む量や頻度を減らそうと決めたのに、何度やっても守れない。
- 健康診断の数値が気になるのに、飲み方を変えられない。
- 飲酒のことで、家族や職場との関係に影響が出始めている。
- 記録をつけること自体が負担で、数字を見るのが怖い。
- 飲まない日に、強い不調や落ち着かなさを感じる。
最後の項目のように、体に症状が出ている場合は、自力で急にやめるのではなく、必ず医療機関に相談してください。
国の目標値を知っておく
厚生労働省の健康情報サイトでは、健康日本21(第二次)の中で、生活習慣病のリスクを高める量を1日平均で男性40g以上、女性20g以上とし、その割合を減らすことが目標に置かれていたと説明されています(e-ヘルスネット「健康日本21(第二次)におけるアルコール対策」)。同じページでは、2022年の最終評価で、男性の該当割合は大きく変わらず、女性は有意に増加したと報告されています。
つまり、国全体でも「量を減らす支援」がまだ十分に届いていない状況があり、減酒外来のような入口の広い窓口が求められている、と読むことができます。
要点: 自力の節酒で足りるかどうかは、記録しても変わらないかを目安に、専門家と確認しましょう。
よくある質問
減酒外来とは、簡単に言うと何ですか?
断酒だけを目標にせず、量を減らすことも含めて飲酒の相談ができる専門外来です。国内初は2017年に久里浜医療センターで開設されました。詳しくは同センターの公式ページをご覧ください。
アルコール依存症でなくても受診できますか?
久里浜医療センターの説明では、対象は「お酒の習慣が気になっている方」や「お酒の量を減らしたい方」などとされていました。ただし、対応は医療機関ごとに異なるので、事前に確認してください。
減酒外来では必ず薬を出されますか?
いいえ。久里浜医療センターの案内では「必要に応じて」減酒薬を提案するとされています。薬の要否は医師が判断します。
久里浜医療センターの減酒外来は今も受診できますか?
同センターの公式ページによると、新患受付は2025年8月末で終了しています。受診を考える場合は、他の医療機関や地域の相談窓口を確認してください。
受診前に何を準備すればいいですか?
飲んだお酒の種類・量・度数を1週間ぶん記録して、純アルコール量に直しておくと、相談がスムーズです。詳しい準備物は、各医療機関の案内に従ってください。
自分のログも、数字を眺めるだけでなく、誰かに話してみて初めて意味が出てくるものだと感じています。まずは今週の一杯ずつを、記録することから始めてみませんか。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。受診や治療の判断は、必ず医師や専門の相談窓口にご相談ください。

