結論から言います。チェック表は自作せず、公的な質問票とその次を用意してください
結論から言うと、アルコール離脱症状のチェックを探している方に必要なのは、どこかのサイトが独自に作った点数表ではなく、公的機関が示している質問票と、点数が出たあとに動く先です。この記事では私が診断表を作ることはしません。代わりに、WHOが作成したAUDITという質問票の位置づけと点数の目安、離脱症状として公的に挙げられている症状、そして相談できる窓口の探し方を並べます。
検索してここにたどり着いた方の多くは、たぶん自分か家族のことが気になっています。私はソバキュリを2年続けていますが、医療の専門家ではありません。だからこそ、自分の体験談で判断の材料を作るのではなく、判断できる場所へ最短でつなぐ形にしました。
要点: 必要なのは独自のチェック表ではなく、公的な質問票と、そのあとに相談できる先です。
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離脱症状という言葉が指しているもの
身体依存が形成されると起きるとされています
まず用語をそろえます。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、長年にわたる飲酒によって身体依存が形成されると、飲酒をやめたり減らしたりしたときに離脱症状が現れると説明されています(e-ヘルスネット「アルコール依存症」)。つまり離脱症状は「お酒をやめた人全員に起きること」ではなく、身体依存が形成されている場合に問題になるものとして整理されています。
代表的な症状として挙げられているもの
同じ解説では、代表的な離脱症状として不眠、発汗、手の震え、血圧の上昇、不安、いらいらが挙げられており、重い場合には幻覚やけいれんを伴うことがあるとされています。ここで大事なのは、これらが単独で出たからといって直ちに何かが確定するわけではない、という点です。不眠も発汗も、原因は他にいくらでもあります。
自己判断が難しい理由
症状の名前だけを並べると、誰でもいくつかは当てはまります。逆に、当てはまらないから大丈夫とも言えません。飲酒量、飲酒歴、体質、他の病気の有無といった条件が絡むため、症状の一覧と自分を見比べる作業は、思っているほど判断の役に立ちません。ここを埋めるために作られたのが、次に紹介する質問票です。
要点: 離脱症状は身体依存がある場合に問題になるもので、症状名の一覧だけでは自己判断はできません。
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この記事で独自のチェックリストを作らない理由
点数表をひとつ増やしても、判断の助けにはなりません
インターネット上には「◯個当てはまったら危険」という形式のチェックリストがたくさんあります。ただ、それらの多くは出典が示されていないか、公的な質問票を作り変えたものです。作り変えた時点で、元の質問票が持っていた点数の意味は失われます。私がここで11個のチェック項目を考えて並べることはできますが、その数字には何の裏づけもありません。
既にある質問票のほうが、圧倒的に強い
一方で、WHOが作成したAUDITのように、世界中で使われ、点数の解釈まで公的に示されている質問票が既に存在します。健康診断や保健指導の場面でも、多量飲酒者の飲酒状況を評価するためにAUDITによるスクリーニングが行われ、減酒の簡易介入をするか専門家につなぐかの判断に使われていると説明されています(e-ヘルスネット「AUDIT」)。既にあるものを使うほうが、当然ながら確かです。
記事の役割は、橋渡しに徹することです
そういうわけで、この記事の役割は「質問票の場所」と「点数が出たあとの行き先」を案内することに絞ります。断酒そのものの進め方については断酒・禁酒・節酒・ソバキュリの4つの違いを整理した記事が、やめたあとの体の変化については禁酒1週間の変化を1日単位で追った記事が、それぞれ別に担当しています。
もうひとつ、記事としての立場を書いておきます。飲まないチカラは、お酒を選んで飲まない生活を楽しく続けるための媒体です。医療の判断をする場所ではありません。この線を曖昧にしたまま「◯個当てはまったら受診を」と書いてしまうと、読んだ方の行動を誤った方向に押してしまう可能性があります。だから、書ける範囲と書けない範囲を先に区切りました。
要点: 出典のない点数表を増やすより、公的な質問票へ案内するほうが確かです。
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公的な質問票はどこにあり、点数はどう読むのか
AUDITの位置づけ
AUDITは世界保健機関(WHO)が作成した飲酒に関する質問票で、e-ヘルスネットの用語解説に概要がまとめられています。飲酒の量や頻度、飲酒による問題の有無を尋ねる形式で、合計点によって飲酒状況を評価します。
点数の目安として示されているもの
e-ヘルスネットの解説では、8点から14点が危険な飲酒、15点以上が依存症の疑いとされています。数字を見ると身構えますが、これは診断そのものではなく、詳しく見るべきかどうかを判断するための目安です。点数が高かったからといって何かが確定するわけではなく、逆に低かったから安心というものでもありません。実際の判断は、飲酒歴や身体の状態を含めて専門家が行う領域です。
0〜7点8〜14点 … 危険な飲酒15点以上 … 依存症の疑い※e-ヘルスネット「AUDIT」に示された区分。診断ではなく、詳しく見るかどうかの目安です※点数の高低にかかわらず、判断は飲酒歴や身体の状態を含めて専門家が行います
図: AUDITの点数区分の目安(e-ヘルスネット「AUDIT」の記載による)
点数を「結果」ではなく「持ち物」として扱う
点数の扱い方について、ひとつ提案があります。出た数字を自分への判定として受け取ると、高ければ落ち込み、低ければ考えるのをやめてしまいます。そうではなく、相談や受診の場へ持っていく材料のひとつとして扱うほうが、実際には役に立ちます。血圧を測った数字を自分で解釈しきらずに医師へ見せるのと同じ感覚です。判定を受け取る作業ではなく、情報を用意する作業だと考えると、点数と向き合うのがずいぶん楽になります。
CAGEという短い質問票もあります
AUDITより短い質問票としてCAGEが知られています。4つの質問からなるもので、医療現場で使われてきました。ただしこちらも、質問文を記事に転記して自己採点していただくより、実施する場で使われるほうが本来の形です。手元で試したい場合は、公的機関や医療機関が公開している資料を直接あたってください。
要点: AUDITは8〜14点で危険な飲酒、15点以上で依存症の疑いとされますが、これは診断ではなく目安です。
点数が出たあとに動く先を、先に決めておきます
ここがこの記事の本題です。チェックをして点数が出ても、その先がなければ不安だけが残ります。日本には公的な相談先の仕組みがあり、探し方も決まっています。
相談窓口と医療機関は地図から探せます
依存症対策全国センターのサイトには、全国の相談窓口と医療機関を検索できるページがあります(依存症対策全国センター「全国の相談窓口・医療機関を探す」)。都道府県から探せるので、まずは自分の地域で何があるかを見るところから始められます。
精神保健福祉センターは、家族からの相談も受けています
各都道府県・政令指定都市に置かれている精神保健福祉センターでは、こころの健康や精神科医療についての相談に加えて、アルコールに関する家族からの相談も電話や面接で受け付けています。本人がまだ動けない段階で、家族だけが先に相談する道があるというのは、知られていないわりに大きい情報だと思います。
減酒という選択肢もあります
「やめる」以外の入り口として、飲酒量を減らすことを目的とした外来もあります。いきなり断酒を前提にしなくても相談できる場所がある、という事実は、受診のハードルをかなり下げます。どんな場所があるかは、前述の検索ページと、依存症対策全国センターのアルコール依存症の症状とサインのページにまとめられています。
自助グループという道もあります
医療機関とは別に、同じ経験を持つ人が集まる自助グループがあります。e-ヘルスネットにも自助グループについての解説ページが置かれています(e-ヘルスネット「アルコール依存症者の自助グループ」)。医療につながる前でも後でも利用できるのが特徴です。
要点: 相談窓口の検索ページ、精神保健福祉センター、減酒外来、自助グループという4つの行き先があります。
迷ったときに、待たないほうがよい場合
公的情報が重い症状として挙げているもの
前に触れたとおり、e-ヘルスネットは重い離脱症状として幻覚やけいれんに言及しています。こうした症状がある場合や、飲酒をやめた直後に体調が大きく崩れている場合は、チェックリストを探している段階ではありません。医療機関に連絡してください。これは判断ではなく、公的情報がそう書いているという事実の紹介です。
一人で抱えないための順番
- まず、地域の相談窓口を検索して連絡先を控える
- 本人が動けないなら、家族が先に相談してよい
- 受診の前に質問票の点数を用意しておくと、話が早く進むことがある
- 飲酒量の記録(何をどれだけ、何日飲んだか)があるとさらに具体的になる
この4つは、どれも今日できることです。
飲酒量は「杯数」ではなく純アルコール量で控えると伝わります
相談や受診の場面で聞かれるのは、たいてい「どれくらい飲んでいるか」です。このとき「毎晩2杯くらい」と答えるより、純アルコール量で伝えるほうが正確に伝わります。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」には、飲んだ量(ml)×アルコール度数(%)÷100×0.8で純アルコール量を計算する式が示されています(厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン)。ビール500mlで度数5%なら20g、という具合です。
計算が面倒に感じる場合は、飲んだお酒の種類と量(ml)と度数だけを2週間メモしておけば十分です。あとから換算できます。純アルコール量の計算方法をまとめた記事に早見も置いてあるので、控えるときの参考にしてください。記録があると、相談の場で話が具体的になり、こちらの説明も短くて済みます。
依存という言葉に身構えてしまうとき
「依存」という言葉の重さで検索の手が止まってしまう方もいると思います。e-ヘルスネットには、アルコールと依存の関係を段階的に説明したページがあります(e-ヘルスネット「アルコールと依存」)。言葉の輪郭が分かると、自分や家族の状態をどの枠組みで考えればいいのかが見えやすくなります。怖いから見ない、を続けるより、定義を読んでしまうほうが結果として楽になることは多いはずです。
この記事が答えられないこと
症状の重さの判断、診断、治療方針。この3つはこの記事の範囲外であり、私が書いてよい領域でもありません。ネット上の情報だけで結論を出さないでください、というのが、ここでお伝えできるいちばん誠実なことだと思っています。
要点: 重い症状があるときは検索ではなく医療機関へ。家族が先に相談する道も用意されています。
私が「調べる側」に回ったときに困ったこと
私自身は出産をきっかけにお酒を選んで飲まないスタイルになった人間で、離脱症状を経験したことはありません。この記事を書いているのは、以前、知人から「家族の飲み方が心配だけれど、どこに聞けばいいのか分からない」と相談を受けて、一緒に調べた経験があるからです。
そのとき困ったのは、検索して出てくるページの多くが、出典のないチェックリストか、特定の施設への誘導かのどちらかだったことでした。公的な相談窓口の検索ページにたどり着くまでに、ずいぶん時間がかかりました。知人が知りたかったのは点数ではなく「明日どこに電話すればいいか」だったのに、そこに答えているページが少なかったのです。
子どもがいると、家族の健康の話は「いつか」ではなく「今週どうするか」の話になります。だからこの記事は、点数表を増やすのではなく、電話番号にたどり着くまでの距離を縮めることを目的にしました。私にできるのはそこまでです。
要点: 必要なのは点数ではなく、明日どこへ連絡するかの情報でした。
よくある質問
アルコール離脱症状のセルフチェックはどこでできますか
公的な質問票としてはWHOが作成したAUDITがあり、e-ヘルスネットに概要と点数の目安が掲載されています。8〜14点が危険な飲酒、15点以上が依存症の疑いとされていますが、これは診断ではなく詳しく見るかどうかの目安です。出典が示されていない独自のチェックリストで自己判断するより、公的な質問票の説明と、地域の相談窓口の情報を合わせて見ることをおすすめします。
点数が高かったら、すぐ受診しなければいけませんか
点数だけで受診の要否が決まるものではありません。ただ、依存症対策全国センターのサイトで地域の相談窓口を調べておくことは、点数にかかわらず役に立ちます。いきなり断酒を前提にしない減酒の相談先もありますし、本人ではなく家族から相談できる窓口もあります。まず連絡先を控えるところまでを今日の行動にすると、心理的な負担が小さくなります。
家族の飲み方が心配ですが、本人が動きません
各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターは、アルコールに関する家族からの相談を受け付けています。本人が受診しない段階でも、家族だけで相談してよい仕組みになっています。依存症対策全国センターの検索ページから、地域の窓口を探せます。
離脱症状はどのくらい続きますか
期間については個人差が大きく、飲酒歴や量、体の状態によって変わるため、この記事で一律の日数をお伝えすることはできません。公的情報では代表的な症状として不眠、発汗、手の震え、血圧の上昇、不安、いらいらが挙げられ、重い場合には幻覚やけいれんを伴うことがあるとされています。時間の経過よりも、症状の重さで対応を判断する必要がある領域です。
お酒をやめたら眠れなくなりました。これは離脱症状ですか
この記事で判断することはできません。不眠は離脱症状として挙げられている症状のひとつですが、不眠自体は他の原因でも起こります。飲酒量や期間を含めて見る必要があるので、気になる場合は地域の相談窓口か医療機関に、いつから何が起きているかを具体的に伝えてください。
もし今、検索の途中でこのページを開いているなら、点数を出す前に地域の相談窓口を1件だけ調べて、連絡先をメモしておいてください。行き先が決まっていると、チェックの結果に振り回されずに済みます。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。

