授乳が終わって、揺れた夜のこと
息子が1歳を過ぎて、ようやく授乳をやめたころ。「そろそろ飲んでいいんだよ」と夫に言われたとき、私は少し戸惑いました。授乳中は「飲めない」という理由があったから、選ぶ必要がなかったんですよね。でも理由がなくなったとたん、「さて、どうしよう」と自分に向き合わざるを得なくなった。
あのときの気持ちを正直に言うと、「飲みたい」というより「飲んでいいはず、なのになぜか飲みたくない自分がいる」という不思議な感覚でした。でも同時に、子どもを寝かしつけたあとの静かな時間に、ふとワインのラベルが頭をよぎる夜もあって。それが2か月ほど続いた、ちょっとグラグラした時期の話です。
「また飲みたいかも」は悪いことじゃない
その気持ちを「敵」にしない
最初は、「あ、飲みたいと思ってしまった。ダメだ」と少し焦っていました。でも途中から、「この気持ちを否定しなくていいんだ」と気づいて、すごくラクになったんです。私は完全にお酒をシャットアウトしようとしているわけじゃなくて、「今の自分に合っているかどうかで選ぶ」スタンスでいたい。だったら「飲みたい」という感覚が出てきても、それ自体はごく自然なことだな、と。
「飲みたい気持ち」を波みたいに眺めてみると、じつは10分くらいでスーッと引いていくことが多いと気づきました。その波に乗らないための小さな行動を用意しておくだけで、案外やり過ごせるものです。
「今夜は飲まない」だけを決める
「一生飲まない」と構えると、どこかで息が詰まる感じがしました。だから私は、「今夜だけ」を決めるようにしています。明日のことは明日の自分が決めればいい。子どもがいると、先のことを考えすぎて疲れることが多いから、この「今夜だけ」という感覚は、育児全般にも通じるものがあって気に入っています。
夜のルーティンが、いちばんの味方だった
子どもが寝たあとの「30分」を育てる
子どもを寝かしつけて、さあ自分の時間——この瞬間が、以前ならビールを開けるタイミングでした。その「空白」を何で埋めるかが、飲まない夜の鍵だと思っています。私がいちばん効果的だったのは、「好きな飲み物を用意する」というシンプルな行動です。ノンアルのスパークリングでも、温かいハーブティーでも、「今夜のご褒美ドリンク」をちゃんとグラスに注いでソファに座る。この小さな儀式が、飲んでいたころの「乾杯感」を満たしてくれるんです。
次に、何か手を動かすことをしてみたら、気持ちがすっと落ち着くことに気づきました。日記を書く、好きなポッドキャストを聴きながらストレッチをする——どれも大層なことじゃなくていい。「手と気持ちが両方ふさがっている」状態をつくると、飲みたい波はだいたい来ません。
「スマホをひらかない30分」を試してみたら
これ、意外と効きました。スマホのSNSをぼんやり眺めていると、広告やら誰かの食事投稿やらが流れてきて、「あ、ワイン飲みたい」という気持ちが呼び起こされることがある。意識的にスマホを伏せて、本を開くか目を閉じるだけで、夜の静けさが自分のものになる感じがして、それが心地よくて。シラフの夜ってこんなに静かなんだ、と改めて思いました。
「また飲んじゃった」をリカバリする考え方
0か100かにしない
ソバキュリ歴2年と言っても、友人の結婚記念日に一緒に乾杯したことはあります。「選んで飲まない」スタイルだから、特別な場面で選んで飲むこともある。大事なのは、そのあとに「やっぱり飲まないほうが好きだな」と自分の感覚を確かめることだと思っています。
もし「なんとなく飲んでしまった」という夜があっても、翌朝を「ゼロに戻った日」じゃなくて「また今日から選ぶ日」と捉えてみてほしいです。私自身、この切り替えができるようになったことで、飲まない日を続けることが怖くなくなりました。完璧じゃなくていい。「また選び直せばいい」と思えると、ずっとラクです。
体の感覚を味方につける
飲んだ翌朝と、飲まなかった翌朝を比べてみると、体の感覚がはっきり違います。飲まなかった朝は、息子が早起きで呼んでも「あ、起きられる」という感覚がある。これが私にとっていちばん「飲まない選択をしてよかった」と思える瞬間です。子どもがいると、朝の体のコンディションが一日に直結するから、自分の体の声が聞こえやすくなった気がします。
2か月を過ぎてわかったこと
「再飲酒したい夜」は、完全になくなるわけじゃないと思います。でも、その波が来るたびに「やり過ごす自分」が少しずつ育っていく感覚があって、それがひそかに誇らしい。2か月を過ぎたころから、波が来る頻度がぐっと減って、シラフの夜がデフォルトになってきました。
「飲まないチャレンジ」という言葉には、どこかストイックなイメージがあるかもしれません。でも私にとっては、ずっと「今夜の自分に何が気持ちいいか」を選び続けているだけ。その積み重ねが、気づいたら2年になっていた——そんな感じです。
もし今、「2か月目がしんどい」「ちょっと揺れている」と感じているなら、それは何もおかしくない。夜のルーティンを一つ育てて、今夜だけ選んでみてください。
※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療的助言・診断・治療の推奨を行うものではありません。健康上の不安がある場合は、医師や専門家にご相談ください。


