Q. 飲み会に誘われたとき、正直に断酒を伝えるべき?
「伝える」か「伝えない」かより、先に決めたこと
断酒を始めた最初の年、いちばん頭を悩ませたのが「飲み会どう切り抜けよう」ではなく、「そもそも何て説明しよう」という問いでした。振り返ってみると、あの頃の私は「断酒宣言」と「日常の会話」をごっちゃにしていたんだなって思うんです。
今の私がやっているのは、シンプルに「今夜はお酒じゃないものを飲む」という事実だけを伝えること。「断酒してます」という看板を立てる必要はないし、逆に隠す必要もない。「最近お酒より気分が上がるドリンクを探してて」くらいの言い方で、相手の興味がそちらへ移ることも多いです。
「説明責任」は自分で作り出していた
5年やってみて気づいたのは、お酒を飲まないことに対して周りが思うほど注目していない、ということです。最初の一杯だけ選ぶ場面を乗り越えれば、あとは会話が主役になる。誰かが私のグラスをずっと観察しているわけじゃない。「説明しなきゃ」という焦りは、自分の内側から来ていました。
Q. 飲めないと場が白けるって本当?
「盛り上げる役」はお酒じゃなかった
これ、最初の頃の私が最も怖かった問いです。飲めない自分が場をしらけさせてしまうんじゃないか、と。でも振り返ってみると、場を盛り上げていたのはお酒そのものじゃなくて、お酒で少し余計なブレーキが外れた「自分の言葉」でした。
だとすれば、ブレーキを外す方法はほかにもある。場を楽しむ気持ちを持って行くことと、相手の話に本気で乗ること。それだけで十分だと、3年目あたりから実感するようになりました。ノートに「今夜は楽しかった、アルコールなしで」と書ける夜が増えていくのが、素直にうれしかったです。
素面でいるほうが、会話をよく覚えている
5年やってみて気づいたのは、飲み会の翌朝、会話の細部がくっきり残っているということです。相手が何に笑ったか、どんな話で目が輝いたか。それを次に会ったときに「あのとき言ってた◯◯、その後どうなった?」と聞ける。これが思いのほか、関係を深める力を持っていました。
Q. 「なんで飲まないの?」と聞かれたとき、どう答える?
正解の答えより、使い回せる一言を持つ
この質問、断酒をしていると必ず来ます。私がいちばん長く使っているのは「身体の調子がいいから、このまま続けてる」という一言です。ネガティブな理由でも、重い打ち明け話でもなく、「自分が選んだ結果うまくいってる」という手触りが伝わる言い方にしています。
相手は納得するか、「そっか、いいね」と流してくれるか、どちらかです。むしろ「最近健康に気を使ってるんだ」という共通の話題が生まれて、会話が広がることもある。答え方ひとつで、その場の空気はずいぶん変わります。
詮索されるのが続くときのクッション言葉
それでも「え、なんで?体悪いの?」と続けて来る人がいたとき、私がよく使うのが「体が悪いわけじゃないんだけど、飲まないほうが次の朝がまったく違うんだよね」という返し方。自分の体の感覚を具体的に話すと、相手も納得しやすい。「確かにそれはわかる気がする」と言ってくれる人は、思ったより多いです。
Q. 長年の飲み友だちとの関係、変わってしまう?
変わるものと変わらないものがある、ということ
正直に書きます。関係性が変わった人もいます。飲みの場だけで繋がっていた関係は、お酒を外すと会う頻度が減ることもありました。でもそれは「関係が壊れた」というより、「本当の濃さが見えた」という感覚に近いです。
振り返ってみると、お酒なしでも連絡をくれた人、ごはんに誘ってくれた人との関係は、5年経った今でも続いている。むしろ以前より深くなっているものもある。ノートに「◯さんと久しぶりにランチ、話がはずんだ」と書く機会は、断酒前より増えました。
新しい「会う理由」を自分から作ってみた
5年やってみて気づいたのは、飲み会以外の「会う場」を自分から提案するようになったことで、関係が意外とスムーズに続いたということです。「最近気になってるカフェがある」「あの展覧会、一緒に行かない?」。お酒を軸にしない誘い方を覚えると、会う選択肢が広がって、むしろ予定を入れやすくなりました。
Q. 断酒していることを、新しく出会った人には隠すべき?
隠すより「自然に混ぜる」という感覚
これも最初は迷いました。初対面の人に早々に「私、お酒飲まないんです」と言うのも少し重い。でも飲み会の席でソフトドリンクを頼んでいれば、向こうから聞いてくれることも多い。そのタイミングで「身体に合わなくてやめたんです、でも場の雰囲気は好きなので」と返せばいい。
「隠す」ではなく「自然に混ぜていく」という感覚が、今の私のやり方です。大事にしていることを等身大で持っていると、相手も自分の大事にしていることを話しやすくなる。そういう会話の流れが生まれた夜のことは、ノートに書いておきたくなります。
「飲まない人」というラベルより先に、自分がいる
5年やってみて気づいたのは、断酒は私のアイデンティティの一部ではあるけれど、全部ではないということです。仕事の話、好きな本の話、旅先で気に入った景色の話。そういうものをたくさん持っていれば、「飲まない人」というラベルより先に、ただの「私」として相手の記憶に残れる。人間関係において、それがいちばん居心地がいいなって思うんです。
振り返ってみると、断酒前の私は「お酒なしで人と仲良くなれるだろうか」と思っていました。でも5年経った今、一緒にいる時間の中身を一番深く覚えているのは、素面で過ごした夜の会話です。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。お酒との付き合い方や健康上の不安については、医療機関や専門家にご相談ください。

