断酒の最初の1か月でいちばん困ったのは、お酒そのものより、夕食のあとにぽっかり空く時間でした。結論から言うと、あの時間は「我慢する時間」ではなく「何で埋めるかを試す時間」だと捉え直したときから、少しずつ楽になりました。断酒を始めて5年になる今、当時の記録ノートを読み返しながら、夜の過ごし方の変化を時系列で整理します。

睡眠については、厚生労働省の検討会資料「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」に、睡眠薬代わりの寝酒は入眠困難や中途覚醒を引き起こし、睡眠休養感を低下させる、という趣旨の記述があります。また、e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」に、アルコールは一時的には寝付きをよくするものの、深いノンレム睡眠を減らし、中途覚醒を増やすなど睡眠の質を低下させる、という趣旨の説明があります。ここでは、これらの説明を私の記録と照らし合わせてみます。

最初の週は、時計ばかり見ていました

ノートの最初のページには、夜9時、10時、10時半と、時刻ばかりが並んでいます。夕食を終えると、以前ならそこから晩酌の時間でした。何もしないでいると、手が冷蔵庫に伸びそうになります。

書いてあったこと

当時のメモを要約すると、次の3つが繰り返し出てきます。時間が長い、落ち着かない、眠れない。特に3つ目は意外でした。お酒がなければ早く眠れるだろうと思っていたのに、実際は寝つきが悪い日が続いたのです。

いま読み返して思うこと

当時の私は、眠れない夜に焦って何度も時計を見て、余計に目が冴えるという悪循環にも入っていました。ノートには「今日も眠れなかったら明日の仕事が不安」と書いてあります。不安がさらに眠りを遠ざけていたのだと、今なら分かります。

飲酒のあった頃は、寝つきのよさをお酒に任せていたのだと思います。それをやめたので、眠る仕組みを自分で作り直す期間が必要だったのでしょう。もちろん、これは私一人の経験です。

要点: 最初の週は、空いた時間と寝つきの悪さが重なって、夜が長く感じられました。

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2週目から試した、時間の埋め方

2週目に入ると、ノートに「やってみたこと」の欄を作りました。何が合って何が合わないかを、日ごとに〇と×で付けていきます。

合わなかったもの

最初は動画を延々と見続けましたが、気づくと就寝時刻が遅くなり、翌朝がつらくなりました。刺激の強いゲームも、頭が冴えてしまって逆効果でした。

合ったもの

散歩、入浴、手書きのノート、温かい飲み物、短い読書。このあたりは続きました。特にぬるめの入浴のあとに温かいお茶を飲む流れは、体が眠る方向に傾く感覚がありました。

過ごし方

私の評価

理由

動画を見続ける

×

就寝が遅れた

夜の散歩

〇

気分が切り替わった

ぬるめの入浴

〇

寝つきの助けになった

手書きのノート

〇

頭の整理ができた

図: 断酒1か月目に試した夜の過ごし方と私の評価(個人の記録であり、効果を保証するものではありません)

要点: 合うものは人によって違うので、〇と×を記録して試すのが近道でした。

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3週目、飲みたい気持ちの正体が見えてきました

3週目のノートには、「飲みたい」と感じた時刻と状況を書いています。並べてみると、夕食後すぐ、仕事で嫌なことがあった日、休日の夕方、と傾向がありました。

気持ちは波のようなものでした

飲みたい気持ちは、強く来てもしばらくすると引いていきました。ノートに「いま飲みたい」と書いて、10分ほど他のことをすると、気持ちが少し薄まる。この経験を重ねると、波をやり過ごす自信がつきました。

つらいときは助けを求めていい

厚生労働省の飲酒ガイドラインでは、アルコール依存症を、大量のお酒を長期にわたって飲み続けることが主な原因で発症する精神疾患の一つと説明しています。飲酒の問題で困っているとき、自力だけで抱え込まず、医療機関や相談窓口を頼ることも大切な選択です。

4週目、夜が短くなりました

1か月が近づく頃、ノートの時刻の記述が減りました。時計を見る回数が減って、気がつくと寝る時間になっている日が出てきたのです。

睡眠に起きた変化

寝つきは少しずつ安定し、夜中に目が覚める日も減りました。先ほどのe-ヘルスネットの説明を読んだとき、自分の変化と照らして、なるほどと思ったのを覚えています。ただし、これは私の主観であり、同じ変化が誰にでも起こるとは限りません。

朝の時間が増えた

以前は、朝に起きても頭が重く、支度でぎりぎりの時間になっていました。ノートの4週目には「朝、コーヒーを淹れる余裕があった」という一行があります。小さなことですが、私にとっては大きな変化でした。

夜に余裕ができると、朝も落ち着きます。朝の散歩や、ゆっくりした朝食が、新しい習慣になりました。

5年後の私から、これから始める人へ

あの頃の私に伝えたいのは、夜の長さを嫌わなくていいということです。時間が余るのは、お酒が占めていた場所が空いたからで、そこには何を置いてもいい余白があります。

夜の過ごし方を決めるときのヒント

  • 就寝の2時間前には、刺激の強い画面を閉じる
  • 手を動かす習慣を一つ用意する(ノート、料理、編み物など)
  • 温かい飲み物を毎晩の定番にする
  • 飲みたい気持ちが来たら、時刻と状況を書き留める
  • つらいときは一人で抱えず、相談先を決めておく

要点: 夜は我慢して耐える時間ではなく、新しい習慣を試せる時間です。

よくある質問

最初の1か月、眠れないのは普通ですか

私は寝つきが悪い日が続きましたが、状況は人によって違います。眠れない日が長く続いたり、体調に不安があったりする場合は、医師に相談してください。

夜の時間に何をすればいいか分かりません

私は小さく試して、〇と×を記録する方法が合いました。散歩や入浴のような、負担の少ないものから始めてみてください。

記録は毎日つけたほうがいいですか

毎日が難しければ、飲みたい気持ちが強かった日だけでも構いません。続けられる形が一番です。

今夜、ノートの1ページ目を

もし今、夜の長さに戸惑っているなら、今日の日付と時刻だけでも書いてみてください。それが、あなた自身の記録の始まりになります。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。