結論から言うと、健康日本21(第三次)のアルコール目標は、「1日の純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の人の割合」を、令和6年度の11.4%から令和14年度に10%へ減らすことです。第二次では男女を別々の目標値で置いていましたが、第三次では男女を合わせた全体の数字を軸にしつつ、女性の割合を6.4%へ下げる目標が別に置かれています。この記事では、第二次の最終評価と第三次の目標を、厚生労働省の資料にある数字だけで並べて読み解きます。

自分は普段、飲酒量をグラムに直してログに取っています。その目線で政策の数字を読むと、「40g」「20g」という線が自分の1週間の記録とどう対応するのかが見えてきたので、そこも合わせて書きます。

健康日本21のアルコール目標とは何か:まず用語を揃える

健康日本21は、国民の健康づくりの方向性を示す国の計画です。アルコールに関する目標は、飲酒のなかでも「生活習慣病のリスクを高める量」の飲酒者を減らすことが中心に置かれています。

「生活習慣病のリスクを高める量」の定義

この目標でいう「リスクを高める量」とは、1日当たりの純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上のことです。厚生労働省の健康日本21(第三次)の目標一覧にも、この定義で目標値が記載されています。国民健康・栄養調査では、飲酒の頻度と1回当たりの飲酒量の組み合わせから、この量に当たる人を算出します。

純アルコール量の計算式と、40g・20gの目安

純アルコール量は、「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数÷100)×0.8」で求められます。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、ビール500ml(5%)が約20gという例が示されています。この式で計算すると、40gはビール500mlの2本分、20gは1本分に当たります。日本酒1合(180ml、15%)は、式に当てはめると約21.6gです。

女性の線 20g = ビール500ml 1本分男性の線 40g = 同2本分式: 量(ml)×度数÷100×0.8 で算出

図: 目標の線引き(40g・20g)を、ビール500ml(5%)に換算した目安(厚生労働省ガイドラインの式で算出)

要点: 目標の対象は、純アルコール量が男性40g以上、女性20g以上の日常的な飲酒者で、ビール500mlで言えば2本と1本が目安です。

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第二次(2013〜2022年度)の目標と最終評価

第三次を理解するには、まず第二次の結果を知る必要があります。ここでは、e-ヘルスネットの「健康日本21(第二次)におけるアルコール対策」に載っている数字を使います。

リスクを高める量の飲酒者:男性は微減、女性は悪化

第二次の目標は、リスクを高める量を飲酒している人の割合を減らすことでした。策定時(2010年)は、男性が15.3%、女性が7.5%でした。目標値(2022年度)は、男性13%以下、女性6.4%以下です。最終評価時(2019年)の値は、男性が14.9%(年齢調整値15.2%)、女性が9.1%(年齢調整値9.6%)でした。この項目の評価はD、つまり「悪化している」とされています。

男性策定時 15.3%最終評価 14.9%目標 13%以下女性策定時 7.5%最終評価 9.1%目標 6.4%以下

図: 第二次の目標と最終評価(出典: e-ヘルスネット。バーは1%=20pxで描画)

数字をそのまま読むと、男性は目標の13%に届かなかったものの策定時からわずかに下がり、女性は目標とは逆に7.5%から9.1%へ増えました。評価Dの主な原因は、女性の増加にあったと読めます。

未成年者の飲酒と妊娠中の飲酒は改善傾向

同じ第二次の評価では、未成年者の飲酒と妊娠中の飲酒は、目標の0%には届かなかったものの改善しています。調査前30日間に1回でも飲酒した割合は、中学3年生の男子で10.5%から3.8%、女子で11.7%から2.7%、高校3年生の男子で21.6%から10.7%、女子で19.9%から8.1%でした。妊娠中の飲酒は、8.7%から1.0%へ下がっています。この2項目の評価はBです。

要点: 第二次は、未成年と妊娠中の飲酒は改善した一方、リスクを高める量の飲酒者は特に女性で増え、評価Dでした。

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第三次(2024〜2032年度)の目標:何がどう変わったか

第三次では、目標の置き方が整理されました。厚生労働省の目標一覧から、飲酒に関する項目を取り出します。

第三次の飲酒に関する3つの数字

第三次の目標一覧には、飲酒に関する次の3項目があります。

  • 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者(男性40g以上、女性20g以上)の割合を、ベースライン値の令和6年度11.4%から、令和14年度に10%へ減らす。
  • 20歳未満の者の飲酒をなくす。中学生・高校生の飲酒者の割合を、ベースライン値の1.7%から0%にする。
  • 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している女性(1日当たり純アルコール20g以上)の割合を、ベースライン値の9.3%から6.4%へ減らす。

目標値の期間は、計画開始後のおおむね9年間、つまり令和14(2032)年度までを目途とすると、厚生労働省の推進のための説明資料に書かれています。

第二次からの違いを3点で整理する

第二次と第三次を並べると、違いは次の3点に整理できます。

  1. 全体の数字を主指標にした。第二次は男性13%以下・女性6.4%以下と男女別でしたが、第三次の主指標は男女合計の11.4%→10%です。
  2. 女性の目標を別枠で残した。第二次の女性の目標値6.4%を引き継ぐ形で、女性9.3%→6.4%が別表に置かれています。
  3. 20歳未満は割合の指標が変わった。第二次は中3・高3の「調査前30日に1回でも飲酒した割合」でしたが、第三次は中学生・高校生の飲酒者の割合で、ベースラインは1.7%です。

なお、第二次の妊娠中の飲酒の目標は、今回確認した第三次の目標一覧には、飲酒の項目としては載っていません。ここは自分が資料で確認できた範囲なので、他の計画との関係は別途確認が必要です。

要点: 第三次は全体を11.4%から10%へ、女性を9.3%から6.4%へ減らす目標で、20歳未満は中高生の飲酒者を1.7%から0%にします。

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令和6年の現状:男女別・年代別で見ると

目標の達成度を知るには、最新の現状値が必要です。ここでは、厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査の結果の概要の数字を使います。

全体11.4%、男性13.9%、女性9.3%

20歳以上で、リスクを高める量を飲酒している人の割合は、全国補正値で全体が11.4%、男性が13.9%、女性が9.3%でした。目標の10%まであと1.4ポイントです。ただし、全体の割合は男性の人数の影響を受けるため、女性の9.3%を6.4%まで下げる目標のほうが、相対的には大きな変化を求めています。

年代別では男性60歳代と女性50歳代が最も高い

同じ調査では、年齢階級別の最高値は、男性が60歳代で21.6%、女性が50歳代で18.4%でした。つまり、平均の11.4%の裏側に、特定の年代で2割近い人が線を超えている状況があります。

第二次の最終評価と、そのまま比べてはいけない理由

第二次の最終評価(2019年、男性14.9%・女性9.1%)と、令和6年の値(男性13.9%・女性9.3%)は、調査年や補正の方法が異なるため、厳密な比較には向きません。自分は、傾向として「男性はわずかに低下、女性はほぼ横ばい」と読むにとどめ、増減を断定しないことにしています。

要点: 令和6年の現状は全体11.4%で、男性は60歳代、女性は50歳代が突出しています。

目標を自分の生活に引き寄せる:ログで確認する3つの方法

政策の数字は、個人にとってどんな意味があるのでしょうか。自分は、目標値はあくまで集団の話で、個人の健康の保証ではないと考えています。そのうえで、線の位置を自分の記録と照らす方法を3つ挙げます。

1. 1日の純アルコール量をグラムで記録する

先ほどの式で、飲んだ日のグラム数を出します。アプリでもメモでも構いません。自分は、飲んだ種類と量から換算して、その日の合計を残しています。

2. 40g・20gの線を超えた日を数える

1週間のうち、線を超えた日が何日あったかを見ます。国民健康・栄養調査は飲酒の頻度と量の組み合わせで判定するため、「超える日が多い」状態が続くかどうかが重要です。

3. ガイドラインの考え方と合わせて見る

厚生労働省のガイドラインでは、自分の飲酒量を定めること、飲酒しない日を設けることなどが、飲酒行動の改善策として挙げられています。数字を見るだけでなく、飲み方を変える手がかりとして使ってください。

要点: グラム数の記録、線を超えた日の数、飲み方の見直しの3つで、政策の数字を自分の生活に結びつけます。

目標値を「ポイント」と「相対変化」で読み直す

割合の目標は、ポイントの差だけを見ると小さく見えます。ここでは、公表されている数字を使って、自分で割り算した結果を示します。計算の元になる数字は、前の章で示した厚生労働省の目標一覧の値です。

全体の目標は約12%の相対減少

全体の割合は、11.4%から10%へ、1.4ポイントの減少です。もとの値で割ると、1.4÷11.4で約12%の相対的な減少になります。ポイントでは小さく感じても、飲酒者のうち8人に1人弱が線の内側に入るという規模です。

女性の目標は約31%の相対減少

女性は、9.3%から6.4%へ、2.9ポイントの減少です。2.9÷9.3で計算すると、約31%の相対的な減少です。全体の約12%と比べると、女性のほうが大きな変化を求められていることが分かります。第二次で女性の割合が増えたことを踏まえると、この目標が簡単でないことも想像できます。

第二次の「あと一歩」と第三次の「あと1.4ポイント」の違い

第二次の男性は、最終評価で14.9%、目標は13%以下でした。差は1.9ポイントです。第三次の全体は、令和6年の11.4%に対し、目標は10%で、差は1.4ポイントです。ただし、男性だけの目標と全体の目標は分母が違うため、単純な比較はできません。自分は、これらの数字を「方向を確認するための目安」として使っています。

要点: ポイントの差は小さく見えても、全体で約12%、女性で約31%の相対減少が求められます(自分で算出した値です)。

目標の作られ方:評価の仕組みを知っておく

数字の意味を取り違えないために、目標がどう扱われるかも確認しておきます。厚生労働省の推進のための説明資料には、目標項目は健康寿命の延伸や生活習慣病の予防に関する科学的なエビデンスがあることを原則とすると書かれています。

複数の指標は「項目全体」で目標値を決める

同じ説明資料では、性別や年齢階級別など複数の指標がある場合は、項目全体としての目標値を設定する、という考え方が示されています。第三次の飲酒の主指標が、男女別ではなく全体の10%になっている背景を読む手がかりになります。ただし、10%という値の算出根拠そのものは、今回確認した範囲では見つけられませんでした。ここは要確認です。

女性は「ライフコース」の項目としても再掲されている

説明資料の目次を見ると、飲酒の目標項目のなかで「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している女性の減少」が、ライフコースアプローチの女性の項目として再掲されています。全体の目標と別に女性の数字を置いているのは、この構成によるものと読めます。ただし、これは目次からの読み取りなので、本文での確認は今後の課題です。

評価の区分は、第二次ではA〜Dの4段階

第二次の最終評価では、項目ごとにA〜Dの区分で評価されていました。今回の資料では、リスクを高める量の飲酒者は「D(悪化している)」、未成年者と妊娠中の飲酒は「B(目標値には未達だが改善傾向)」でした。第三次でも、中間評価や最終評価の機会に、同様の確認が行われると考えられますが、評価の方法は今後の資料を待つ必要があります。

要点: 目標は科学的エビデンスを原則に項目全体で設定され、女性の数字はライフコースの項目としても再掲されています。

現場でどう使われるか:職場・自治体・個人の視点

最後に、この目標が日常でどう生きるかを整理します。ここは自分の考えであり、政策の公式な説明ではありません。

職場の健診と飲酒の質問票

特定健診・特定保健指導の場面では、飲酒状況の確認が行われます。e-ヘルスネットの「アルコールとメタボリックシンドローム」では、WHOの問診票AUDITで評価し、8〜14点は危険な飲酒、15点以上はアルコール依存症の疑いとされると説明されています。健診で飲酒に触れられたら、この目標の数字と合わせて自分の記録を見直す機会になります。

自治体の取り組みを調べるときの視点

自治体の健康計画にも、同様の指標が置かれていることがあります。居住地の計画を調べるときは、「純アルコール量が男性40g以上、女性20g以上」という定義が同じかどうかを確認すると、国の数字と比べやすくなります。

個人としては、目標より自分の記録を優先する

国の目標は集団の指標です。個人にとって大切なのは、自分の体質や健診結果と照らした量です。自分は、国の数字を「線の位置を知るための地図」として使い、実際の判断は自分の記録と、必要に応じて医師の助言に任せています。

例外と注意:この数字が当てはまらない場合

最後に、読み取りの注意点を挙げます。

40g・20gは「安全な量」ではない

この数字は、リスクを高める量の目安です。ガイドラインでは、高血圧の発症リスクについて、少量でも飲酒自体がリスクを上げると示されています。「線を超えなければ安全」という意味ではありません。

体質・年齢・持病で線は変わる

体質、年齢、服薬、持病によって、適切な量は変わります。健診で指摘を受けた方や、治療中の方は、自己判断せず医師に相談してください。

よくある質問

Q. 健康日本21の飲酒の目標は、法的な義務ですか?

個人に課された義務ではありません。国や自治体が、国民の健康づくりの方向性を示す計画の目標値で、集団の割合を減らすことを目指しています。

Q. 第三次の目標10%は、いつまでに達成する計画ですか?

令和14(2032)年度までを目途としています。令和6年度のベースラインは11.4%です。

Q. 女性の目標が別に置かれているのはなぜですか?

第二次の最終評価で、女性の割合が7.5%から9.1%に増え、評価Dの主な要因になりました。こうした経緯から、女性の割合を6.4%まで下げる目標が別に置かれていると、自分は読んでいます。ただし、策定時の議論の詳細は今回確認できていないため、要確認です。

Q. 20歳未満の飲酒の目標は、第三次でどうなりましたか?

中学生・高校生の飲酒者の割合を、ベースラインの1.7%から0%にする目標です。

Q. 自分がリスクを高める量に当たるかを調べるには?

1日の純アルコール量を、「量(ml)×度数÷100×0.8」で計算してください。男性40g以上、女性20g以上が線です。迷う場合は、健診の結果と合わせて医師に相談してください。

次の健診の前に、まず1週間分の飲酒量をグラムに直して、線との距離を見てみてください。数字にすると、自分の飲み方の輪郭が驚くほどはっきりします。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。数値は厚生労働省の公開資料にもとづいており、最新の資料もご確認ください。