「30日チャレンジ」という言葉に、最初は身構えた
ソバキュリを意識し始めたのは、子どもが生まれてしばらく経ったころのことです。授乳期間を終えたとき、「さあ、また飲める」と思ったかというと、不思議とそういう気持ちにならなかった。子どもと一緒に早く寝てしまう日が続いて、気づいたらお酒のない生活のほうが自分にしっくりきていた。そんなふうに自然に「選ばない」スタイルに移行していました。
だから「30日チャレンジ」という言葉を最初に目にしたとき、正直すこし身構えました。「チャレンジ」という響きが、何かと戦うイメージを連れてくるから。でも実際にやってみたら、それは私の思い込みだったと分かりました。30日というスパンは、戦うためじゃなくて、自分のリズムを観察するための時間だったんです。
始める前に、私が「決めたこと」はたった一つだった
「飲まない」ではなく「何を飲むか」を先に決める
チャレンジを始める前の夜、私がしたのはスーパーのノンアルコール飲料コーナーをゆっくり見て回ることでした。炭酸水、ハーブティー、ノンアルのスパークリング。何種類か手に取って、「今月はこれを飲んでみよう」と決めた。
これが思った以上に大事な一手でした。「飲まない30日間」と設定するより、「気に入った飲み物がある30日間」と設定するほうが、スタートラインに立つときの気持ちがぜんぜん違う。子どもがいると、夕食の準備をしながら「今日も一日終わった」という実感をどこかで得たくなります。その感覚を、グラスに入った好きな飲み物で満たせると分かったとき、30日という時間が急に身近になりました。
カレンダーに「印」をつける、それだけ
記録はシンプルにしました。スマートフォンのカレンダーに、飲まなかった日に小さなスターを一つ入れるだけ。アプリも専用ノートも使いませんでした。子どもが寝たあとに画面を開いて、星を一つ押す。その30秒が、一日の小さな区切りになっていきました。
完璧にやろうとしないのがコツだと思います。私は30日のうち2日、夫の誕生日と友人との食事でワインを少し飲みました。それでも星のない日が2日あるだけで、残り28個のスターはちゃんとカレンダーの上に並んでいた。「途切れた」ではなく「選んだ」記録として残る。そのことが、後半の自分の背中を静かに押してくれました。
30日の途中で起きた「変化」と、気づいたこと
10日目ごろ、夜の時間が変わった
チャレンジを始めて10日ほど経ったころ、子どもが寝た後の時間の使い方が少しずつ変わってきました。以前は「眠いけどなんとなく起きている」時間が多かったのに、飲み物を選んでソファに座ると、「これをしよう」という気持ちが自然と出てきた。読みかけの本を開いたり、翌日の子どもの服を用意しながら音楽を聴いたり。大したことではないけれど、夜の時間に「自分がいる」感覚が強くなった気がしました。
20日目、「飽きてきた」が教えてくれたこと
20日目ごろ、正直少し飽きてきました。特別なご褒美感もなくなって、ノンアル飲料もいつもと同じで新鮮さがない。そのとき私は「飽きた」という感覚を手がかりに、次の問いを立ててみました。「そもそも私は、何のためにお酒を飲んでいたんだろう」と。
出てきた答えは、「気分を切り替えるため」でした。仕事の延長みたいな家事が終わったあとに、「ここからは別の時間」というスイッチが欲しかった。お酒はその道具だったんだと改めて分かった。そして同時に、スイッチはお酒じゃなくてもよかったことも。好きな飲み物でも、音楽でも、着替えてしまうことでも、切り替えのきっかけは作れる。30日チャレンジは、その「代わり」を探す時間でもありました。
30日が終わったあと、私に残ったもの
30日が終わったとき、特別な達成感はありませんでした。むしろ「あ、もう30日経ったんだ」くらいのあっさりした感覚。でもそのあっさりさが、一番の収穫だったかもしれません。「飲まない」ことが日常の中に自然に収まっていた。それは努力じゃなくて、単なる選択の積み重ねでした。
チャレンジ後の私は、完全に飲まないわけでもなく、何も考えずに飲むわけでもない、今のソバキュリスタイルを意識的に選べるようになりました。以前は「飲まない理由」が必要な気がしていたけれど、今は「飲む理由」を自分に問えるようになった。その順序の違いが、自分にとってはすごく大きな変化でした。
これから始める人へ——「30日」を軽く持つために
30日チャレンジを始めようか迷っている人に、私から伝えられることがあるとすれば、こんなことです。
- 飲まない宣言より、「これを飲む」を先に決める
- 記録は小さく、続けやすいもの一つだけ
- 途切れた日があっても、チャレンジは終わらない
- 「飽きた」「面倒」という感覚を無視しない。そこに自分の本音が隠れている
- 30日後の「変わった自分」より、30日間の「気づいた自分」を大事にする
子どもがいると、自分のことを後回しにする場面がたくさんあります。だからこそ、30日という区切りの中で「今の自分がどんなリズムで生きているか」を観察する時間は、育児中の私には特別な意味がありました。修行でもなく、我慢でもなく、ただ自分を知るための30日間。そう思えたとき、チャレンジという言葉が急に身近になります。
まず今夜、好きなノンアル飲料を一本だけ選んでみてください。それが、30日の最初の一歩になるかもしれません。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。健康上の不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

