結論から言うと、飲まないと決めていた日に飲んでしまっても、それまでの日々がなかったことにはなりません。大切なのは、翌朝に「全部おしまい」と決めつけず、次の一回をどうするかだけを選び直すことでした。この記事では、子どもの行事の打ち上げで乾杯を受けた夜と、その後の私の過ごし方を、場面を追ってお伝えします。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。
金曜の夕方、公園のベンチで受け取った紙コップ
その日は、子どもの園の行事が終わった夕方でした。片づけが済んで、保護者のみんなでお疲れさま会をしようということになり、公園の端に集まりました。誰かが持ってきたクーラーボックスから、紙コップが回ってきます。
私はソバキュリ2年目で、お酒は「選んで飲まない」と決めています。ただ、その日は疲れていて、周りは笑顔で、手の中にはもう紙コップがありました。「乾杯だけ」と思って口をつけたのが、一杯目でした。
一杯が、三杯になった理由
乾杯のあと、話が弾みました。気づくと紙コップは空になっていて、「もう一杯どう?」の声に、断る言葉が出てきませんでした。結局その夜は、思っていたより多く飲みました。家に帰って子どもの寝顔を見たとき、胸のあたりがじんわり重くなったのを覚えています。
夜のうちにやったことは、ひとつだけ
その夜、私がしたことはひとつだけです。水を一杯飲んで、早めに寝ること。反省会は、朝にまわしました。夜に自分を責めても、良い案は出てこないと、これまでの経験で知っていたからです。
要点: 飲んでしまった夜は、水を飲んで寝ることだけにして、振り返りは翌朝にまわします。
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翌朝、台所で考えたこと
翌朝は、いつもより少し頭が重く、子どもの朝ごはんの支度が大変でした。それでも、台所に立ちながら考えたのは「また最初からやり直しだ」という言葉でした。
「ゼロに戻る」という考え方の落とし穴
飲まない日を数えている人ほど、一度の飲酒で「全部が消えた」と感じやすいと、私は思います。でも、実際に消えたのは数字だけで、2年間で身につけた習慣や、飲まない夜の過ごし方は残っています。
飲酒をめぐる公的な情報でも、飲酒量や飲み方は少しずつ見直していくものとして整理されています。厚生労働省のガイドラインには、あらかじめ量を決めて飲むこと、飲酒の前や途中に食事をとること、水や炭酸水をはさむこと、飲酒をしない日を設けることなどが、飲酒量を減らす工夫として挙げられています(厚生労働省のガイドライン)。つまり、見直しは何度でもやり直せる前提で書かれているのだと、私は受け取りました。
責める声を、問いに言い換える
台所で頭に浮かんだ「どうしてまた」という声は、「次は何があれば断れたか」という問いに言い換えました。同じ出来事でも、問いにすると、答えが具体的になります。その日の答えは、「疲れていて、手の中が空だった」でした。原因が分かると、不思議と気持ちが落ち着き、子どもの朝ごはんを作る手も軽くなりました。
立て直しの順番を紙に書いてみた
その朝、冷蔵庫のメモ帳に次の順番を書きました。
- 昨日の夜に飲んだ量と場面を、事実だけ書く。
- 飲む前の自分の状態(疲れ、空腹、気の緩み)を一言で書く。
- 次に同じ場面が来たときの断り方を、一文で決める。
- 今日の夜のノンアルの飲み物を、先に冷蔵庫に入れる。
要点: 立て直しは、事実を書く、状態を書く、次の断り方を決める、の順番で十分です。
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打ち上げの場で使える、断り方の準備
行事のあとの集まりは、これからも何度もあります。そこで、次の場面に備えて、断り方をいくつか用意しました。
手の中を先に埋めておく
紙コップが回ってくる前に、自分の飲み物を持っておく。これは、思っていた以上に効果がありました。お茶でも炭酸水でも、手の中が埋まっていると、「どうぞ」と渡される場面が減ります。
場面 | 先に用意しておくこと | 口にする一言 |
|---|---|---|
紙コップが回ってきたとき | 自分の飲み物を先に手に持つ | 私はこれをいただきますね |
二杯目を勧められたとき | お茶か炭酸水をすぐ注げる位置に置く | 今日はこれで十分です |
帰り際の二次会 | 子どもの迎えや翌朝の予定を先に伝える | 明日が早いので今日は失礼します |
図: 打ち上げの場面別に用意した断り方の準備(筆者の個人メモ)
短い一言を決めておく
断り方は、長く説明しないほうが楽でした。「今日は車なんです」「私はこれをいただきますね」。どちらも、事実を短く伝えるだけの言い方です。
飲まない選択を続けるときの工夫は、続かない理由ときっかけのチェックリストの記事にもまとめています。ソバキュリの考え方自体は、ソバキュリと断酒の違いを説明した記事も参考になります。
その週の過ごし方も、少しだけ変えた
その週は、夜の時間の使い方を少しだけ変えました。子どもを寝かしつけたあと、すぐ台所に戻らず、まず温かいお茶をいれて座る。たったそれだけですが、「飲む夜」の入り口が減った感覚があります。飲まない夜の過ごし方は、日数ごとの変化をまとめた記事も、気持ちを整理するのに役立ちました。
立て直しが難しいと感じたときは
ここまでは、私自身の経験です。ただ、飲む量や回数が自分の意思だけでは調整しにくいと感じるときは、一人で抱え込まないでほしいと思います。
e-ヘルスネットでは、飲酒を続けるうちに耐性、精神依存、身体依存が形成され、飲酒のコントロールができなくなる状態をアルコール依存症と説明しています(e-ヘルスネット)。自分の飲み方が気になるときは、かかりつけの医師や、お住まいの地域の保健所、精神保健福祉センターなどの窓口に相談する方法があります。
相談は「重症になってから」でなくていい
相談というと大げさに感じるかもしれません。でも、「飲み方を見直したいけれど、うまくいかない」という段階で話を聞いてもらうのも、立派な選択だと私は考えています。
要点: コントロールしにくいと感じたら、早めに専門の窓口へ相談するのも立て直しの一部です。
よくある質問
Q. 一杯でも飲んだら、記録は最初からですか。
記録の数え方は人それぞれです。私は、数字を「ゼロに戻す」のではなく、飲んだ日を記録して続きを書くようにしています。
Q. 飲んだ翌日に、罪悪感が強いときは。
夜のうちに反省せず、朝に事実だけを書き出してみてください。感情と事実を分けるだけで、少し落ち着きます。
Q. 子どもの前で飲んでしまったのが気になります。
気になるときは、次の集まりで手の中を先に埋めるなど、具体的な準備に気持ちを向けてみてください。それでも不安が続く場合は、窓口に相談してみましょう。
次に紙コップが回ってくる日の前に、冷蔵庫へ自分用の飲み物を一本入れておいてください。小さな準備が、翌日の自分を軽くしてくれます。

