禁酒のデメリットは、意外なほど地味な場所に出ます

結論から言うと、私が5年のノートを読み返して「意外だった」と思った禁酒のデメリットは、付き合いの場での居心地の変化、甘いものが増えやすいこと、夜の時間の持て余しと眠りの最初の乱れ、の3つでした。どれも大きな病気や事件ではなく、毎日の暮らしの中の小さなズレです。ただ、小さいからこそ、知らないまま始めると「禁酒って思っていたより大変」と感じて、続けにくくなります。

私は40代の女性で、30代の後半に自分の飲み方を見直して、無理のないペースで断酒を5年続けています。日々の体調と気分をノートに書く習慣があるので、「減ったもの」と「増えたもの」を、自分の言葉で比べて書いてみます。禁酒のメリットは多くの記事が書いているので、この記事はあえて反対側の話です。信頼してもらうには、良い面だけを並べるより、困ったことも正直に書くほうがいいと思っています。

たとえば甘いものについては、お酒をやめた早期の回復期に、お酒と甘いものへの渇望・摂取の関係を調べた研究がPubMedに登録されています。

数字や根拠は、確認できた公的資料と論文の範囲だけを書きます。確認できなかったことは、「確認できなかった」とそのまま書きます。

減ったもの増えたもの飲み会に行く頻度夜にお酒を飲む時間翌朝のだるさお酒に使うお金甘いものを食べる回数夜の空き時間手持ち無沙汰な感覚断る場面での説明

図: 私のノートで見えた「減ったもの」と「増えたもの」(個人の記録の整理で、全員に当てはまるものではありません)

要点: 禁酒のデメリットは、付き合い・甘いもの・夜の時間の3つに出やすく、どれも対処の選択肢があります。

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1つ目のデメリットは、付き合いの場での居心地の変化でした

「飲まない人」が少数派の席は、思った以上に気を使います

飲み会や会食の席で、飲まないことを選ぶと、最初のうちは理由を聞かれたり、勧められたりすることがあります。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、飲酒する習慣がない方等に対して無理に飲酒を勧めることは避けるべきとされています。ガイドラインがそう書くほど、「勧める文化」が根強かったということだと私は読みました。

実際、私も5年の間に、場の雰囲気に気を使って疲れた夜がありました。大きなトラブルではありませんが、「楽しい」と「気を使う」が半分ずつの席は、帰り道に疲れが残ります。

対処の選択肢を比べる:「参加して飲まない」か「参加を減らす」か

付き合いの変化への対処は、大きく2つに分かれると考えています。向き不向きを並べてみます。

  • 参加して飲まない:人間関係を保てる。飲まない理由を軽く伝える練習が要る。乾杯用のノンアルや炭酸水を頼めば、場に馴染みやすい。向くのは、人が好きで、短時間なら気を使わずにいられる方
  • 参加を減らす:疲れが減り、時間が増える。ただし、顔を合わせる機会が減る。向くのは、飲み会そのものがあまり好きではない方、仕事の付き合いが限られている方

私は両方を組み合わせています。大事な席には参加して、最初の一杯だけ決めておく。そうでない席は、断る日を作る。5年かけて、この組み合わせにたどり着きました。

「理由を言わなければならない」という思い込みを、ほどいておきます

飲まない理由を毎回きちんと説明しなければ、と思い込んでいた時期がありました。実際には、「今日は飲まない日にしています」で足りる場面が多かったんです。ガイドラインにも、飲酒の強要を避ける旨が書かれているくらいなので、説明の義務はないと考えるほうが自然です。

要点: 付き合いの変化には、「参加して飲まない」と「参加を減らす」を、席ごとに使い分けます。

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2つ目のデメリットは、甘いものが増えやすいことでした

「お酒の代わりに甘いもの」は、よく起きる置き換えです

禁酒を始めたころ、夜に甘いものを食べる回数が増えたことが、ノートに何度も出てきます。お酒の代わりに口に何かを入れたくなる、という感覚です。この現象については、お酒をやめた早期の回復期に、お酒と甘いものへの渇望・摂取が日々どう関連するかを調べたecological momentary assessment(日々の状態を繰り返し記録する手法)の研究がPubMedに登録されています。私はこの研究の本文を確認できていないので、結果の数値や結論の細部は書きません。「研究の対象になるくらい、甘いものとの関係は注目されている」ことだけを、ここでは確認しておきます。

対処の選択肢を比べる:「我慢する」か「置き換えを設計する」か

甘いもの対策も、2つの考え方があります。

  • 我慢する:シンプルで、お金もかからない。ただし、我慢が続くと、ある夜に一気に食べて反動が出やすい。向くのは、もともと甘いものをあまり食べない方
  • 置き換えを設計する:量と時間を決めて、あらかじめ用意しておく。たとえば、夜の甘いものは1つだけ、小さな包装のものを選ぶ。向くのは、甘いものが好きで、完全には断てない方

私は後者です。「食べない」ではなく「何を、いつ、どれだけ食べるか」をノートに決めておくと、罪悪感が減って、反動も出にくくなりました。

甘い飲み物で穴埋めしないための注意点

お酒の代わりに、甘い清涼飲料水を大量に飲むのは、避けたほうがいいと私は考えています。缶の表示の読み方は、ノンアルコールビール糖質ゼロの見分け方の記事が参考になります。無糖の炭酸水やお茶を基本にして、甘いものは「食べるもの」として管理する、という分け方が続けやすいです。

要点: 甘いものは我慢せず、量と時間を決めて置き換えを設計すると、反動が出にくくなります。

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3つ目のデメリットは、夜の時間の持て余しと、眠りの最初の乱れでした

夜の空き時間が、思った以上に長く感じられます

お酒を飲んでいた時間は、夕食の後、一定の時間を占めていました。その時間がぽっかり空くと、何をしていいか分からなくなります。私は禁酒の最初の1か月、ノートに「夜が長い」と何度も書きました。

空いた時間を何で埋めるかは、人によって違います。入浴をゆっくりする、本を読む、翌日の準備をする。小さな習慣を、前もって決めておくと、手持ち無沙汰が和らぎます。

眠りは、最初に乱れる人がいます

お酒で眠りが浅くなる話はよく聞きますが、お酒をやめた直後の睡眠が、すぐに良くなるとは限りません。ガイドラインでは、不眠を解消するための飲酒を続けると依存症になる可能性を高めたり、飲酒により眠りが浅くなり睡眠リズムを乱す等の支障をきたすことがあると説明されています。つまり、お酒は睡眠の面で割に合わない、という方向の記載です。

一方で、飲酒を減らしたり止めたりしたときに、離脱症状と呼ばれる症状が出ることがあります。e-ヘルスネットでは、不眠・発汗・手のふるえ・血圧の上昇・不安・いらいら感などがあり、重症の場合は幻覚やけいれん発作を起こすこともあるとされています。毎日多量に飲んでいた方が自己判断で急にやめるのは危険な場合があるので、必ず医師に相談してください。

睡眠と飲酒の関係は、研究でも確認されています

アルコールと睡眠については、健康な成人を対象にした研究を統合したシステマティックレビューとメタ分析(Sleep Medicine Reviews、2025年)があります。この分析では、低用量のアルコールでもREM睡眠の始まりが遅れ、その時間が減るとされています。ただし、総睡眠時間や睡眠効率への影響は不確実と結論づけられています。

私のノートでも、睡眠の質が「はっきり良くなった」と書けるようになったのは、禁酒してしばらくしてからです。最初の数週間は、寝つきが悪い日もありました。

要点: 夜の空き時間は習慣で埋め、眠りの最初の乱れには、自己判断せず医師へ相談する選択肢を持っておきます。

時期ごとに、出てくるデメリットは違います

最初の1週間は、「何かが足りない」感覚が中心でした

ノートを読み返すと、最初の1週間は、体の不調というより、「習慣が抜けた感覚」の記述が多いです。夕食後に台所に立つと、無意識に冷蔵庫へ手が伸びる。気づいて、手を止める。その繰り返しです。この時期は、冷蔵庫の中身を前もって入れ替えておくだけで、迷いがかなり減りました。無糖の炭酸水や麦茶を、お酒の置いてあった場所に入れておく、という小さな工夫です。

1か月目は、「誘いを断る場面」が山になります

1か月ほど経つと、体は慣れてきますが、今度は誘いの場面が目立ってきます。週末の予定、職場の飲み会、友人からの連絡。ここで、前の章で書いた「参加して飲まない」か「参加を減らす」かの選択が、毎回出てきます。私は、この時期にノートへ「この席は行く・行かない」の基準を書き出しました。基準を決めておくと、誘いのたびに悩まなくて済みます。

1年目以降は、「忘れた頃に来る揺れ」に備えます

1年、2年と続けても、ふとした夜に、お酒の味を思い出すことがあります。私の場合、それは季節の変わり目や、仕事で大きな区切りがついた夜に多いことが、ノートから分かりました。揺れが来ること自体は、失敗ではありません。来る時期が分かれば、その日の夜に備えて、好きな飲み物や、短い散歩を用意しておけます。

要点: 最初の1週間は習慣の抜けた感覚、1か月目は誘いの場面、1年目以降は季節や区切りの揺れ、と時期で備えを変えます。

家族や職場には、どう伝えるのが現実的でしょうか

家族には、「やめる」より「今はこうしている」と伝えました

家族に伝えるとき、「もう一生飲まない」と宣言する必要はないと思っています。私は、「今は飲まないことにしているよ」くらいの言い方にしていました。大げさにすると、家族も気を使いますし、自分も後戻りしにくくなって苦しくなります。禁酒を続ける人にとって、「選び直す余地」を残しておくことは、気持ちの余裕につながります。

職場では、短く、軽く伝えるほうが続きます

職場の席では、詳しい理由を話す必要はありません。「今は飲まない日にしているんです」「体調を見ながら調整中で」程度で十分です。理由を細かく話すほど、質問が増えます。短く軽く伝えて、すぐに食べ物や仕事の話題に移ると、周りも自然に受け止めてくれます。

話したくないことは、話さなくて大丈夫です

飲まない理由は、健診の結果でも、体質でも、単なる気分でも構いません。話したくないことを話す義務はありません。自分のペースで、話せる範囲だけ話せば十分です。

要点: 家族にも職場にも、短く軽く、話せる範囲だけ伝えれば十分です。

向いている人と、慎重に進めたほうがいい人の違い

禁酒が向いている人

飲み方を見直したいと自分で感じている方、体調や健診の結果が気になる方、お酒に使う時間やお金を別のことに使いたい方にとって、禁酒は選択肢になります。ここまでのデメリットは、事前に知っておけば、対処できるものばかりです。

慎重に進めたほうがいい人

毎日多量に飲んできた方、飲酒量を自分でコントロールできないと感じている方、過去にやめようとして体調を崩した経験がある方は、自己判断で始めないでください。まず医師や専門の相談窓口に相談してください。

「やめる」以外の選択肢もあります

禁酒か、今まで通りか、の二択ではありません。休肝日を増やす、1回の量を減らす、といった途中の選択肢もあります。休肝日の増やし方は、休肝日の作り方の記事に書かれています。自分に合う形を選ぶことが、長く続くコツです。

要点: 禁酒は万人向けではなく、自己判断が危ない方は医師に相談し、途中の選択肢も持っておきます。

3つのデメリットを、続けるための手順に変える

デメリットを知った上で、どう備えるか。私が実際にノートに書いている手順を、チェックリストにしました。

  1. 付き合いの席では、最初の一杯(ノンアルや炭酸水)を前もって決めておく
  2. 飲まない理由は、「今日は飲まない日にしています」の一言にそろえる
  3. 甘いものは、量と時間を決めて、小さな包装のものを用意しておく
  4. 夜の空き時間にやることを、入浴・読書・翌日の準備から1つ決めておく
  5. 眠りが乱れた日は、ノートに書いて、続くようなら医師に相談する
  6. 体調や気分を、毎日1行ずつ書く

この6つのうち、続けるうえでいちばん効くのは、6番目のノートです。書いておけば、「あの頃は大変だったけれど、今は違う」と、あとから自分で確認できます。

要点: 事前に備えを決めて、毎日1行のノートで変化を確認します。

よくある質問

Q. 禁酒を始めると、必ず甘いものが増えますか?

必ずではありません。ただし、お酒をやめた早期に、甘いものへの渇望と摂取が関連することを調べた研究があり、私のノートでも増えた時期がありました。量と時間を決めておくと、管理しやすくなります。

Q. 禁酒すると、友人付き合いは減りますか?

減る人もいれば、変わらない人もいます。私は、大事な席には参加して、そうでない席は断る形にしたことで、人間関係を保てました。飲まない選択を無理に勧めないことは、厚生労働省のガイドラインでも示されています。

Q. 禁酒の最初に眠れなくなったら、どうすればいいですか?

毎日多量に飲んでいた方は、離脱症状として不眠などが出ることがあります。自己判断で我慢せず、医師に相談してください。

Q. 禁酒のデメリットは、時間が経てば消えますか?

私の場合は、付き合いと甘いものは5年かけて自分なりの形が見つかり、夜の時間は習慣で埋まっていきました。ただし、消えるかどうかは人によって違います。

Q. 禁酒のメリットとデメリットは、どちらが大きいですか?

比べ方は人それぞれです。私は、デメリットを知って備えたうえで、続けられる形を選べたことが大きいと感じています。

気になる点を1行、ノートに書いてみてください

禁酒を考えている方は、今夜、不安に思っていることを1行だけ書き出してみてください。付き合いか、甘いものか、夜の時間か。分かれば、備えられます。

※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。飲酒のコントロールが難しいと感じる方や、毎日多量に飲んでいた方は、自己判断で禁酒せず、医師や専門の相談窓口にご相談ください。