休肝日は、どう作ればいいのでしょうか
結論から申し上げます。飲酒量の多さが体に響くことは、国立がん研究センターの多目的コホート研究でも40〜59歳の男性19,227名を10年追跡した解析で示されています。だからこそ、休肝日は「やる気」で作るものではなく、「曜日を先に決めて、詰まりどころ別に手を打つ」ことで作るものだと、私は考えています。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」にも、一週間のうち飲酒をしない日を設けること(毎日飲み続けるといった継続しての飲酒を避ける)が、飲酒量を減らす工夫として挙げられています。
私は50代の男性で、健康診断でγ-GTPが基準値の2倍を超え、医師から減酒の指導を受けました。いまは週3日の飲まない日を設け、飲む日も1日2杯までにしています。以前は「今日は飲まない」と決めても、夕方になると気持ちが傾く日が続きました。この記事では、飲まない日が作れなかった私が、何に詰まり、どう抜けたかを、順を追ってお話しします。
なお、私は医師ではありません。γ-GTPなどの数値の見方や、飲酒を続けてよいかどうかの判断は、必ずかかりつけ医や健診の担当医にご相談ください。
要点: 飲まない日は、意志ではなく「曜日の固定」と「詰まりどころ別の対策」で作ります。
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そもそも、休肝日とは何で、なぜ必要なのでしょうか
国のガイドラインは、飲まない日を設けることを挙げています
先ほどのガイドラインには、飲酒量を減らす工夫として、次のような例が書かれています。
- 飲酒前または飲酒中に食事をとる
- 飲酒の合間に水(または炭酸水)を飲み、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする
- あらかじめ量を決めて飲酒をする
- 一週間のうち、飲酒をしない日を設ける
出典は厚生労働省のガイドライン(PDF)の4〜5ページです。飲まない日は、その工夫のひとつに位置づけられています。
「週に何日」が正解かは、このガイドラインでは決めていません
ここは正直にお話ししておきます。私が確認した範囲では、このガイドラインは「週に何日」と日数を決めてはいません。同じガイドラインには、生活習慣病のリスクを高める量として、1日あたりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上という目安が示されています(同じくガイドラインの4ページ)。日数は、量との組み合わせで、医師と相談して決めるものだと私は理解しています。
私の週3日は、あくまで私が医師から指導を受けたなかで運用している数字です。読者のみなさんに「週3日が正解」とお伝えする意図はありません。
国の研究は、量の多さと「時々飲む」人との差を示しています
先ほどの国立がん研究センターの発表では、追跡期間中に男性928名の死亡が確認され、そのうち41%ががん死亡でした。喫煙している男性では、毎日2合程度飲む人は、時々飲む人の2.7倍、毎日4合程度では3.6倍のがん死亡リスクだったと報告されています(同じ発表資料)。これは喫煙者を対象にした結果で、すべての人に当てはまるわけではありません。ただ、「毎日たくさん」より「時々」のほうが低いという方向は、飲まない日を作る考え方と同じ向きだと、私は読みました。この数字だけで、飲まない日の効果を断定することはできません。
要点: 国のガイドラインは飲まない日を設ける工夫を挙げていますが、日数は個別に医師と決めるものです。
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飲まない日が作れない人は、どこで詰まっているのでしょうか
私の経験では、飲まない日が続かない原因は、大きく3つに分けられます。詰まっている場所によって、効く手が変わります。
1つ目の詰まり:付き合いがある
会社の飲み会、取引先との会食、友人からの誘い。私の場合、最初の3週間は、これが一番大きな壁でした。「今日は飲まない日だから」と断ると、場が白けるのではないかと心配になったのです。
ところが、実際に伝えてみると、「健診で言われてしまって」の一言で、ほとんどの相手が納得してくれました。理由が「医師の指導」だと、相手も深追いしません。以前は、断り方を考えすぎて、断れずに飲んでしまっていました。
2つ目の詰まり:習慣になっている
帰宅して、冷蔵庫を開けて、1本目を飲む。この一連の動作が、考える前に体に染みついていました。習慣は、意志の強さでは止めにくいと感じます。
3つ目の詰まり:手持ち無沙汰になる
晩酌の時間にやることがなくなり、手が空いてしまう。夕食後のテレビの前が、一番つらい時間でした。お酒そのものが欲しいというより、「何かを口に運ぶ動作」と「くつろぎの合図」が欲しいのだと、あとから気づきました。
自分がどれに当てはまるかを、最初に書き出しておくと、打つ手が決めやすくなります。
要点: 詰まりどころは「付き合い」「習慣」「手持ち無沙汰」の3つに分け、自分の当てはまるものから手を打ちます。
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詰まりどころ別に、どんな手を打てばいいのでしょうか
付き合いが原因の人へ:断る言葉を先に決めておきます
私が使っている言い方は、次の3つです。
- 「健診で言われてしまって、今週は控えているんです」
- 「今日は車なので」
- 「最初の1杯だけいただいて、あとはお茶にします」
大事なのは、飲まない日を「曜日」で決め、その日は会食を入れないようにすることです。予定が先に入ってしまうと、断る場面そのものが増えます。私は、手帳の飲まない日に、あらかじめ印を付けています。
習慣が原因の人へ:帰宅後の動線を変えます
私が効いたと感じた手は、帰宅してすぐ、冷蔵庫ではなく洗面所に向かうことです。手を洗い、着替え、先に風呂に入る。この順番にすると、冷蔵庫の前に立つ回数が減ります。
また、飲まない日の前の晩に、お酒を冷蔵庫の奥へ移しておくのも、地味ですが効きます。目に入らなければ、手が伸びにくいからです。
手持ち無沙汰が原因の人へ:口と手の代わりを用意します
晩酌の時間に、炭酸水や麦茶、ノンアルコール飲料を用意する方法があります。ノンアルコールの選び方は、同じ編集部の記事ですが0.00%表記と運転の考え方などが参考になります。食事との合わせ方は、ノンアルコールと料理の組み合わせの記事にまとまっています。
ただし、ひとつ注意があります。ノンアルコール飲料への置き換えは、減酒を目指す人には使いやすい方法ですが、お酒を完全にやめている人や、医師から断酒を指示されている人には、おすすめしません。ビールに近い味や見た目が、飲酒の気持ちを引き出してしまう人もいるからです。あなたがどちらの状況かは、担当医に確認してください。
飲まない日の夜の過ごし方を、あらかじめ3つ決めておきます
手持ち無沙汰への対策として、私が実際に試した過ごし方を書きます。どれも特別なことではありませんが、「その時間に何をするか」が決まっているかどうかで、夕方の気持ちが違います。
- 夕食の後に、15分だけ歩く。外に出ると、冷蔵庫から離れられます。
- 風呂は、飲まない日の夕食前に入る。入浴後の一杯という流れを断てます。
- 手帳に、その日の体調を一行だけ書く。書くことが、晩酌の代わりの小さな区切りになります。
どれか1つだけでも構いません。全部やろうとすると、続かなくなります。
飲む日に崩れないための、ひと工夫
飲む日の1杯目は、飲酒の合間に水や炭酸水を挟むことにしています。ガイドラインにも、飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲むという工夫が書かれています。私は、飲み始める前に、先にコップ1杯の水を用意しておきます。水が手元にあると、お酒に手を伸ばす回数が、自然と減ります。
また、「2杯と決めたら、3杯目を注ぐ前に必ず立ち上がる」という決まりも作りました。トイレに行く、換気をする、何でもよいので体を動かします。数分で、追加の1杯が欲しい気持ちが落ち着くことが多いです。
要点: 付き合いには断る言葉、習慣には動線の変更、手持ち無沙汰には代わりの飲み物と、詰まりどころごとに手を変えます。
飲む日の量は、どう決めればいいのでしょうか
純アルコール量の式を知っておきます
飲まない日を作るのと同時に、飲む日の量を決めておくと、全体が崩れにくくなります。厚生労働省のガイドラインには、純アルコール量の式として、摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8が示されています。例として、ビール500ml(5%)は500×0.05×0.8で20gです。
この式で私がよく使う飲み物を計算すると、次のようになります(式に当てはめた私の計算です)。
- ビール350ml(5%):350×0.05×0.8=14g
- 缶チューハイ350ml(7%):350×0.07×0.8=19.6g
- 日本酒1合180ml(15%):180×0.15×0.8=21.6g
- ワイン120ml(12%):120×0.12×0.8=11.52g
ビール350ml(5%):14gワイン120ml(12%):約11.5g缶チューハイ350ml(7%):19.6g日本酒1合(15%):21.6g40g(男性の目安)横幅は1gあたり8pxで描画。計算式と40g・20gの目安は厚労省ガイドライン
図: 飲み物ごとの純アルコール量(厚労省の式で算出)と、生活習慣病のリスクを高める量の目安
私は「1日2杯まで」を、量で確認しています
私の運用は1日2杯までですが、「杯」の大きさで量は変わります。350mlのビール2本なら28g、日本酒1合を2杯なら43.2gです。杯の数ではなく、純アルコール量で数えるようにしてから、自分が思っていたより飲んでいた日があることに気づきました。
飲酒量の記録は、スマートフォンのメモで十分です。日付、飲んだもの、量。これだけで、飲まない日と飲んだ日の差が見えてきます。
要点: 杯の数ではなく、厚労省の式で純アルコール量に換算して記録すると、実際の量が見えてきます。
私は、最初の3週間と4週目以降で、何が変わったのでしょうか
ここからは体験談です。机上の話で終わらせないために、順を追ってお話しします。
1週目から3週目:続かなかった時期
最初は「週3日、飲まない日を作る」と決めたものの、曜日を固定しませんでした。「今日は飲まなくても大丈夫そう」と、その日の気分で決めていたのです。結果、会食が入った週は、飲まない日が1日に減りました。
飲み会が続いた週は、特に崩れました。以前の私は、そこで「やっぱり無理だ」と思って、やめてしまっていました。
4週目以降:曜日を決めて、手帳に印を付けた
流れが変わったのは、曜日を固定し、手帳に印を付けてからです。月曜、水曜、金曜に決めて、その日は会食を入れないようにしました。会食を断れないときは、飲まない日をずらすのではなく、「別の曜日に必ず埋める」と決めました。
すると、「飲まない日があるのは当たり前」という感覚に、少しずつ変わっていきました。数字で変化を語れる段階ではありませんが、朝の起き方が違うことは、手帳の体調メモに残っています。次の健診での数値の変化は、これからの確認事項です。
続いている人と、そうでない人の違い
私が見聞きした範囲で、続く人に共通しているのは、次の3点だと感じます。
- 曜日が決まっている
- 断る言葉を持っている
- 飲まない日の過ごし方(風呂、散歩、飲み物)が決まっている
逆に、続かない人は、「気分で決める」「失敗したら全部やめる」の2つに陥りがちです。1日崩れても、翌日からまた戻せばよいと、私は思っています。
要点: 気分で決めず曜日を固定し、崩れたら翌日から戻す。この2点が、私の続いた分かれ目でした。
当てはまらない人と、注意したい点はあるのでしょうか
毎日飲んでいて、飲まないとつらい人
飲まない日にひどくつらい症状が出る、手が震える、眠れないといった場合は、自己判断で急に減らすのは危険なこともあります。厚労省のガイドラインでは、毎日飲み続けることによるアルコール依存症のリスクにも触れています。早めに医師や相談窓口にご相談ください。
肝臓の数値が高い人
私のようにγ-GTPが高い方は、飲まない日を作るだけでなく、まず医師の指示に従うことが先です。γ-GTPの数値は、飲酒以外の要因でも動くため、数値だけで自己判断はできません。
「飲まない日の分、飲む日に多く飲む」のは逆効果です
飲まない日を作ったからと、飲む日に量を増やしてしまうと、意味が薄れます。1日の量の目安を決めて、そのなかで収めることが前提です。
要点: 毎日飲んでいる人や数値が高い人は自己判断せず、医師に相談してください。
よくある質問
Q1. 休肝日は、週に何日作ればいいのでしょうか。
日数を一律に決めた根拠は、私が確認した厚労省のガイドラインでは見つかりませんでした。ガイドラインでは、飲まない日を設けることが工夫として挙げられています。日数は、医師と相談して決めてください。私は医師の指導のもとで週3日にしています。
Q2. 飲まない日が1日崩れたら、やり直しですか。
やり直しではありません。1日崩れても、翌日から予定通りに戻せば大丈夫です。全部やめてしまうほうが、私は問題だと思います。
Q3. ノンアルコール飲料に置き換えてもいいですか。
減酒を目指す人には使いやすい方法です。ただし、断酒中の人や、医師から断酒を指示されている人には、おすすめしません。迷う場合は、担当医にご確認ください。
Q4. 付き合いで飲まない日に誘われたらどうしますか。
「健診で言われていて」と、医師の指導を理由にお断りするのが一番通りやすいです。それでも断れない日は、飲まない日を別の曜日に必ず振り替えます。
Q5. 純アルコール量は、どう計算すればいいですか。
厚労省のガイドラインに、摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8という式があります。ビール500ml(5%)なら20gです。
最後に、今夜できることをひとつだけ。手帳かカレンダーアプリを開いて、来週の飲まない日を、先に3日だけ決めてみてください。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。数値の見方や飲酒の可否は、担当の医師にご確認ください。

