お酒を飲まない人の生き方は、どんなものなのでしょうか
結論から言うと、お酒を飲まない人の生き方に、決まった型はありません。ただ、私が2年続けてきて分かったのは、「断る」という気持ちで過ごすと疲れ、「選ぶ」という気持ちで過ごすと軽くなる、ということでした。同じ「飲まない」でも、向いている方向が違うだけで、夜の過ごし方がずいぶん変わります。
私は30代の女性で、第一子の出産を機に、授乳期から自然と、お酒を「選んで飲まない」スタイルに移りました。完全に禁じているわけではなく、飲むかどうかを、その日その場で選んでいます。この記事では、「断る」と「選ぶ」を比べながら、生活のなかでの具体的な違いと、国の資料で確認できたことを、順番にお話しします。
国の資料でも、飲み方の工夫として飲酒の合間に水や炭酸水、ノンアルコール飲料を飲むことが紹介されています。飲まない時間を、前向きな選択肢のひとつとして扱う流れが、少しずつ広がっていると感じます。
なお、私は医師ではありません。妊娠中・授乳中の飲酒や、体質、持病との関係は、必ずかかりつけの医師や助産師さんにご相談ください。
要点: 飲まない生き方は、「断る」より「選ぶ」と考えるほうが、私には軽く感じられました。
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「断る」と「選ぶ」は、何が違うのでしょうか
断るは、相手が主語です。選ぶは、自分が主語です
「断る」という言葉は、誰かに誘われたことを前提にしています。誘われたから、断る。主語が相手になるので、毎回、角が立たないかを気にしてしまいます。
一方、「選ぶ」は、自分が主語です。今日はこれを飲もう、と自分で決めるだけです。炭酸水でも、麦茶でも、ノンアルコール飲料でも、自分が選んだものです。誘われたことへの返事ではなく、自分の夜の設計になります。
私の気持ちは、こう変わりました
以前の私は、飲み会の席で「飲めないんです」と言うたびに、少し申し訳ない気持ちになっていました。子どもがいると、夜の外出自体が減るので、せっかくの機会に「飲まない」ことが目立つのが、気になったのです。
ところが、「今日は炭酸水を選びます」と言い換えてみたら、気持ちが軽くなりました。言葉を変えただけですが、自分に向けた小さな宣言になったのだと思います。
国のガイドラインも、「強要しない」ことを求めています
飲まない人の側だけが努力する話では、ありません。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」には、飲酒する習慣がない方等に対して無理に飲酒を勧めることは避けるべきだと書かれています。同じガイドラインには、他人に無理な飲酒を勧めることを避けること、飲酒を契機としたハラスメントにつながらないよう配慮することも、示されています(p.4〜5)。
つまり、「飲まない」ことは、わがままではありません。周囲が配慮するべき前提として、国の文書にも書かれていることです。
子どもがいると、夜の時間が変わりました
ここで、私の生活の話を少しだけします。子どもがいると、夜の予定は、子どもの寝る時間を中心に動きます。夜泣きや、急な発熱で起きる日もあり、「今夜は何があるか分からない」という前提で、毎日を過ごしています。
そのなかで、飲まないでいると、夜中に起きたときの動きが違います。すぐに動ける、という安心があります。お酒を飲んだ夜には、そうした急な対応への不安が、頭の片隅にありました。これはあくまで私の生活実感で、飲まない夜のほうが優れていると言う意図はありません。
選ぶ基準は、人によって違っていい
私の基準は「子どもの世話があるかどうか」ですが、仕事の締め切り、運転の予定、体調など、人によって基準は違います。ガイドラインにも、アルコールの影響には個人差があり、その時の体調によっても影響が変わりうる、と書かれています(p.1)。
自分の基準を、3つ程度、言葉にしておくと、迷ったときに助けになります。たとえば、次のような形です。
- 翌朝に大事な予定がある日は、飲まない。
- 体調が少しでもすぐれない日は、飲まない。
- 運転や子どもの世話がある日は、飲まない。
基準は、家族と共有しておくと、さらに楽です。パートナーが「今日は飲まない日だね」と、自然に声をかけてくれるようになります。
要点: 「断る」は相手が主語、「選ぶ」は自分が主語です。国のガイドラインも、無理に勧めないことを求めています。
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飲まない人は、どのくらいいて、体質の差はあるのでしょうか
「飲まない」は、少数派ではありません
飲み会に行くと、「自分だけ飲んでいない」と感じることがあります。ただ、飲む人の側にも、飲み過ぎの問題があります。厚生労働省が公表している、第3期アルコール健康障害対策推進基本計画の評価・検証のための関連指標(令和8年3月27日時点)によると、令和6年の「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者」は、全体で11.4%、男性で13.9%、女性で9.3%でした。
この数字は、「飲まない人の割合」ではありません。飲む人のなかで、量が多い人の割合を示すものです。ただ、こうした指標が国の計画で追いかけられていること自体、お酒の量が個人にとっても社会にとっても気になる話題だと分かります。
お酒に弱い体質の人も、一定数います
もうひとつ、体質の差があります。同じガイドラインには、アルコールを分解する酵素が弱く、顔が赤くなるなどのフラッシング反応を起こす人が、日本では41%程度いると言われていると書かれています(p.2〜3)。
つまり、「飲めない」のは、気合や努力の問題ではなく、体質による違いが大きいということです。同じガイドラインには、アルコールの影響には個人差があり、その時の体調によっても変わりうる、とも書かれています(p.1)。
全体:11.4%男性:13.9%女性:9.3%上3本:令和6年のリスクを高める量の飲酒者の割合(厚労省関連指標)フラッシング反応:41%程度(ガイドライン)
図: 国の資料で確認できた数値(横幅は1%あたり4px。上の3本と下の1本は別の指標)
数字から言えること、言えないこと
ここで、私が数字から言えることは限られます。「飲まない人が何割いる」とは、今回の資料では確認できませんでした(要確認)。確認できたのは、量の多い飲酒者の割合と、体質の差があることの2点だけです。この2つから、「飲まない選択は特別なことではない」と、私は受け取っています。
要点: 国の資料では、量の多い飲酒者の割合と、体質の差が示されています。飲まないことは特別ではありません。
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飲む夜と飲まない夜を、比べてみるとどうなるのでしょうか
ここからは、体験を比べる章です。これは私個人の感覚で、医学的な効果を示すものではありません。
飲む夜の私
以前は、夕食のときに、なんとなくお酒を開けることがありました。子どもが寝たあとの時間にも、ご褒美のように飲む日があり、それが楽しみでもありました。ただ、夜に飲むと、翌朝の育児が少し重く感じる日があったのも、事実です。
飲まない夜の私
飲まない夜は、子どもが寝たあとの時間が、自分の時間として長く使えます。本を読む、ストレッチをする、ただお茶を飲んでぼんやりする。夜の時間が変わった、と感じました。
どちらが正解ということは、ありません
比べてみて思うのは、どちらかが正しいわけではないということです。飲む夜には飲む夜のよさがあり、飲まない夜には飲まない夜のよさがあります。私は、その日の自分の状態で選んでいます。
比較をまとめると、次のようになります。
- 飲む夜:気分の切り替えにはなるが、翌朝の体の重さを感じる日がある。
- 飲まない夜:夜の時間を自分のために長く使える。翌朝の起き方が違うと感じる日が多い。
- どちらも、無理に続けるものではなく、その日の体調と予定で選ぶ。
要点: 飲む夜と飲まない夜に優劣はなく、その日の自分の状態で選ぶのが私のやり方です。
場面ごとに、どう選べばいいのでしょうか
家で過ごす夜
家では、炭酸水にレモンを絞る、お気に入りのグラスで麦茶を飲む、といった小さな工夫を使っています。グラスを決めておくと、「飲み物を選んでいる」という感覚が出ます。ノンアルコール飲料を使うときは、0.00%表記と運転の考え方のような記事で、表記の読み方を確認しておくと安心です。
外食や居酒屋
子ども連れの外食では、ドリンクメニューにノンアルコールがあるかどうかを、先に確認します。飲まない人にとって、乾杯の1杯目を何にするかは、意外に大事なことです。
親戚の集まりや、友人との会食
こうした場では、「今日は飲まないことにしているんです」と、先に言ってしまうほうが、私は気が楽でした。理由を細かく説明する必要はありません。授乳期だったころは、「授乳しているので」と言えば、周囲も自然に理解してくれました。授乳期の飲酒については、ガイドラインに、授乳期中などには、家庭内などの周囲の理解や配慮が必要と書かれています(p.5)。
迷ったときの3つの質問
私が迷ったときに、自分に聞くことは次の3つです。
- 今日は、この後に運転や子どもの世話があるか。
- 体調は、いつも通りか。
- 飲みたいのは、お酒そのものか、場の雰囲気か。
3つ目が「場の雰囲気」なら、同じ雰囲気を、炭酸水やノンアルコール飲料で作れることが多いです。
飲まない夜の、小さな楽しみの作り方
飲まない夜を「何もない夜」にしないために、私は小さな楽しみを用意しています。
- 少し良い茶葉や、炭酸水を買っておく。
- 夜に食べるものを、少しだけ丁寧に用意する。
- 子どもが寝たあと、10分だけ好きな音楽を聴く。
- 翌朝の朝食を、前の晩に楽しみになるものにしておく。
飲み物を「お酒の代わり」と考えると、物足りなさが出やすいです。「別の楽しみ」と考えると、選ぶ気持ちがはっきりします。私は、冷蔵庫に炭酸水とレモンを切らさないようにしているだけで、夜の気持ちがかなり違います。
外食で、飲まない人が先に確認しておくこと
外食では、店のメニューを事前に見られるなら、ノンアルコールドリンクの種類を確認しておきます。子ども連れだと、席の都合や時間の制約もあるので、先に電話で確認することもあります。ドリンクの選択肢が多い店は、飲まない人にとっても居心地がよいと感じます。
また、ノンアルコール飲料の表記は商品によって違うので、気になる場合は、店員さんに聞いてしまうほうが確実です。聞くことは、恥ずかしいことではありません。
要点: 家・外食・集まりの場面ごとに、自分が選ぶ飲み物と、先に伝える言葉を決めておきます。
「飲まない」と決めた人が、気をつけたいことはありますか
断酒と、選んで飲まないことは、同じではありません
この記事で書いた「選ぶ」は、私のスタンスです。完全にやめる断酒とは違います。もし、飲酒をやめたくてもやめられない、飲まないと体調が崩れる、といった状態にある場合は、自己判断で続けず、医療機関や相談窓口に相談してください。
周囲に説明を求められたとき
説明する義務は、ありません。「体質で」「今日は控えていて」と、短く伝えるだけで十分です。それでも無理に勧められる場合は、先ほどのガイドラインにあるとおり、無理に勧めることは避けるべきという考え方が、国の文書にあります。
他の人の「飲む」を否定しない
私が気をつけているのは、飲む人の選択も、同じように尊重することです。飲まない生き方を選んだからといって、飲む人を否定する理由にはなりません。それぞれが、自分で選べばよいと思っています。
要点: 選んで飲まないことと断酒は別物です。つらさがあるときは、専門家に相談してください。
よくある質問
Q1. 飲まない人は、飲み会で浮いてしまいませんか。
浮かないための工夫として、最初の乾杯のときに、飲み物を先に決めておくことをおすすめします。炭酸水やノンアルコール飲料を持っていれば、見た目はほとんど変わりません。国のガイドラインにも、飲酒する習慣がない方に無理に勧めないという考え方があります。
Q2. 「飲めない」と「飲まない」は、どう違いますか。
「飲めない」は体質による場合が多く、ガイドラインでは、日本でフラッシング反応を起こす人は41%程度と言われています。「飲まない」は、飲めるけれど選ばない、という意味で使われることが多いです。私は後者を「選ぶ」と呼んでいます。
Q3. 授乳中のお酒は、どう考えればいいですか。
私は医師ではないので、個別の判断はできません。ガイドラインには、授乳期中などには周囲の理解や配慮が必要と書かれています。具体的な判断は、かかりつけの医師や助産師さんにご相談ください。
Q4. 飲まない生活は、続けられるものでしょうか。
私の場合は、「絶対に飲まない」と決めず、その日ごとに選ぶようにしたことで、続いています。2年が過ぎましたが、飲んではいけないという気持ちになったことは、あまりありません。
Q5. 家族や友人が、飲むことを勧めてきたらどうしますか。
「今日は選んで飲まないことにしているんです」と、短く伝えます。それでも続くときは、話題を変えるか、席を移動します。
最後に、今夜できることをひとつだけ。夕食のときに使うグラスを、お気に入りのものに替えてみてください。それだけで、「飲み物を選んでいる」という気持ちが、少し変わるかもしれません。
※本記事は一般情報であり医療的助言ではありません。妊娠中・授乳中の飲酒や体質・持病との関係は、医師や助産師にご相談ください。

